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俺は嫌われたい、殺されたい

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俺は嫌われたい、殺されたい

165 - 161話『古の記憶』

♥

31

2023年11月25日

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継国緑壱

誰かに話を聞いて欲しかった

継国緑壱

随分考えて思い浮かんだのが

継国緑壱

お前とすやこの顔だった

竈門炭吉

2年振りでしょうか

竈門炭吉

お元気そうで良かったです

竈門炭吉

あと時赤ん坊だったすみれも

竈門炭吉

こんなに大きくなりました

継国緑壱

幸せそうな人間を見ると

継国緑壱

幸せな気持ちになる

継国緑壱

この世はありとあらゆるものが美しい

継国緑壱

この世界に生まれ落ちることが

継国緑壱

できただけで幸福だと思う

継国緑壱

私の母は信心深い人だった

継国緑壱

この世から諍い事が無くなるよう

継国緑壱

毎日毎日祈っていた

継国緑壱

太陽の神様に私の聞こえない耳

継国緑壱

温かく照らしてくださいと祈り

継国緑壱

耳飾りのお守りまで作ってくれた

継国緑壱

私が口を利かなかったために

継国緑壱

余計な心配をかけてしまい

継国緑壱

申し訳なかった

継国緑壱

私の兄は優しい人だった

継国緑壱

いつも私を気にかけてくれた

継国緑壱

父から私に構うなと殴られた翌日も

継国緑壱

笛を作って持ってきてくれた

継国緑壱

『助けて欲しいと思ったら吹け』

継国緑壱

『すぐに兄さんが助けにくる』

継国緑壱

『だから何も心配いらない』と

継国緑壱

赤紫に腫れた顔で笑った

継国緑壱

私は忌み子なので

継国緑壱

母が病死した跡すぐに家を出た

継国緑壱

出家するよう言われていたが

継国緑壱

結局寺へは行かなかった

継国緑壱

どこまでも続く美しい空の下を

継国緑壱

思いっきり走ってみたかった

継国緑壱

だが私は一昼夜走り続けても

継国緑壱

疲れて足が止まるという

継国緑壱

ことがなかった

継国緑壱

山の中で

継国緑壱

ふと気づくとこぢんまりした

継国緑壱

田んぼと畑がある場所に出た

継国緑壱

誰かがぽつんと1人で立っていた

継国緑壱

同じ年頃の女の子だった

継国緑壱

女の子は桶を持ったまま

継国緑壱

長い間ぴくりとも動かなかった

継国緑壱

何をしているのか聞いてみると

女の子

流行り病で家族みんな死んじまった

女の子

1人きりになって寂しいから

女の子

田んぼにいるおたまじゃくしを

女の子

連れて帰ろうと思って

俺は嫌われたい、殺されたい

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