継国緑壱
誰かに話を聞いて欲しかった
継国緑壱
随分考えて思い浮かんだのが
継国緑壱
お前とすやこの顔だった
竈門炭吉
2年振りでしょうか
竈門炭吉
お元気そうで良かったです
竈門炭吉
あと時赤ん坊だったすみれも
竈門炭吉
こんなに大きくなりました
継国緑壱
幸せそうな人間を見ると
継国緑壱
幸せな気持ちになる
継国緑壱
この世はありとあらゆるものが美しい
継国緑壱
この世界に生まれ落ちることが
継国緑壱
できただけで幸福だと思う
継国緑壱
私の母は信心深い人だった
継国緑壱
この世から諍い事が無くなるよう
継国緑壱
毎日毎日祈っていた
継国緑壱
太陽の神様に私の聞こえない耳
継国緑壱
温かく照らしてくださいと祈り
継国緑壱
耳飾りのお守りまで作ってくれた
継国緑壱
私が口を利かなかったために
継国緑壱
余計な心配をかけてしまい
継国緑壱
申し訳なかった
継国緑壱
私の兄は優しい人だった
継国緑壱
いつも私を気にかけてくれた
継国緑壱
父から私に構うなと殴られた翌日も
継国緑壱
笛を作って持ってきてくれた
継国緑壱
『助けて欲しいと思ったら吹け』
継国緑壱
『すぐに兄さんが助けにくる』
継国緑壱
『だから何も心配いらない』と
継国緑壱
赤紫に腫れた顔で笑った
継国緑壱
私は忌み子なので
継国緑壱
母が病死した跡すぐに家を出た
継国緑壱
出家するよう言われていたが
継国緑壱
結局寺へは行かなかった
継国緑壱
どこまでも続く美しい空の下を
継国緑壱
思いっきり走ってみたかった
継国緑壱
だが私は一昼夜走り続けても
継国緑壱
疲れて足が止まるという
継国緑壱
ことがなかった
継国緑壱
山の中で
継国緑壱
ふと気づくとこぢんまりした
継国緑壱
田んぼと畑がある場所に出た
継国緑壱
誰かがぽつんと1人で立っていた
継国緑壱
同じ年頃の女の子だった
継国緑壱
女の子は桶を持ったまま
継国緑壱
長い間ぴくりとも動かなかった
継国緑壱
何をしているのか聞いてみると
女の子
流行り病で家族みんな死んじまった
女の子
1人きりになって寂しいから
女の子
田んぼにいるおたまじゃくしを
女の子
連れて帰ろうと思って