テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

あなたとの、一年間。

それは。

私にはもったいないぐらいに、

幸せでした。

〜1月〜

隼人

ねえ、起きてよ。

隼人

もうすぐ年明けだろ。

里愛

ん…

こたつで丸くなって寝そうな私を 起こしてくれたよね。

隼人

一緒に年を越そ、っていったの、
お前だろ。

里愛

ん…わかった。

寝ぼけなまこでこたつから出た私を 面白そうに眺めて、髪を くしゃくしゃにして撫でてくれたよね。

里愛

んもぅ、何すんのよ。

隼人

ほら、聞こえるぞ。

ゴーン………ゴーン………ゴーン………

夜明けを告げる、除夜の鐘の音がした。

里愛

隼人。

里愛

新年、あけましておめでとう!

隼人

おめでとう、里愛。

里愛

それにしても新年初めて口に出した言葉が、隼人ってなるとはねぇ…。

隼人

何だよ、文句あんのかよ。

里愛

いーえ、別に。

ちょっとからかったとき、

キミは照れたときのくせで、 私から視線を外して、手いじりしてたよね。

〜2月〜

里愛

鬼はー外っ!

隼人

うわ、俺に豆投げつけんじゃねーよ!

里愛

福はーうち!

隼人

だから、聞いてんのかよ!

里愛

うわー、豆だらけ!

隼人

お前がやったんだろ!

里愛

あはは!

里愛

おーにさーんこっちよー!

隼人

何で急に鬼ごっこなんだよ…

ふざけて鬼ごっこし始めた私に 呆れながらも付き合ってくれたよね。

隼人

よっ…と

隼人

って、お前、すばしっこいな

里愛

隼人、意外に鈍い?

隼人

くそっ!

隼人

逃がすか!

〜3月〜

里愛

………。

隼人

おい、元気だせよ。

落ち込んでて意味もなく星を見てた私を慰めてくれて、

めったに見せない笑顔で勇気付けてくれたよね。

隼人

寒いだろ。

隼人

3月とはいえ、まだ冷えるんだから
暖かくしとけよ。

里愛

うん、ありがとう…

隼人

ほら。

里愛

え?

里愛

これ…

隼人

お前の好きな、ココア。

隼人

…………元気だせよ。

ぶっきらぼうに告げて、帰ってくキミを、私は微笑んで見つめてた。

〜4月〜

里愛

わあ…きれい!

二人で桜を見に行って、 お花見をしたよね。

隼人

あぁ、きれいだな。

里愛

この桜の花びら…

里愛

押し花にして、本の栞にしよっと!

隼人

はぁ…

隼人

始まった、本地獄。

隼人

ホント好きだよな。

里愛

うん!

里愛

でも、この栞は一番大切にする!

隼人

なんで?

里愛

えー…?

里愛

…秘密。

隼人

そこまで言うんなら、教えろよ!

里愛

やだよー

隼人

お願いだから

里愛

イヤですー

隼人

なんでだよ!

里愛

や~だ

隼人

おしえろって!

里愛

いーや!

隼人

頼むから!

里愛

やー!

私は、理由を教えなかった。

だって、

キミとの初めてのお花見だから… なんて、言えるわけないもん。

キミは、ずっとお願いしてたよね。

〜5月〜

里愛

えっ?

里愛

単身赴任?

隼人

あぁ。

里愛

なんで今なのよ!

里愛

なんで家を出るとき、教えてくれなかったの?!

隼人

心配させるから。

里愛

違う!

里愛

心配かけたくなかったとか、そうじゃなくてっ!

里愛

ちゃんと行ってほしかった…

里愛

知らされたのが現地に着いてからなんて、

里愛

悲しすぎるよ…

隼人

…ごめん

隼人

そんなに心配させるなら、
言って来れば良かった…

里愛

大丈夫だから。

里愛

1ヶ月後、か。

里愛

待ってるから。

隼人

ああ、待っててくれ。

里愛

じゃあ、ね。

隼人

あぁ。

キミは最後まで、「ああ」だったけど、最後の返事に少し寂しさが含まれてたことは、ちゃんと知ってるよ。

〜6月〜

その日は、6月らしく 雨が降っていて、

まだかな…って、空港でキミの帰りを待ってたよね。

隼人

里愛っ

里愛

隼人?

キミの懐かしい声が聞こえてきた瞬間、涙が出てきて、おいおい泣いちゃったよね。

隼人

おい、なんで泣いてんだよ。

里愛

だっ…て、

里愛

はやっ…とが、なん、にも言わず…っに、どっか、行っちゃうん…だ、もん…

隼人

ごめんって言ったろ?

里愛

でっ…も…

里愛

さみしっ…かっ、た、んだか、ら!

隼人

わかったから、泣きやめ。

泣いている私に、優しく声をかけてくれたよね。

〜8月〜

里愛

お待たせっ!

隼人

……

仕事の都合でお祭りが現地集合になったけど、私がゆかたで表れたら、少し頬を染めて、褒めてくれたよね。

隼人

まあ、似合ってんじゃねーの?

里愛

……。

キミがそんな事言うから、 私のほうが恥ずかしくなってきたのは、キミにはナイショね。

〜9月〜

夏の終わり、秋の気配。

今度は私が、単身赴任。

里愛

じゃあ、行ってきます。

隼人

おう、気をつけて行けよ。

里愛

連絡、してよね。

里愛

帰ってきて家が汚かったら許さないから!

隼人

分かってるって。

隼人

安心して、行ってこい。

里愛

うん。

私の姿が見えなくなるまで、 静かに見守っててくれたよね。

〜10月〜

里愛

今日、何かあったっけ?

キミに呼び出されたのは学校が見える公園。

隼人

お前の、誕生日、だろっ!

里愛

あっ…そうだっけ?

隼人

自分で忘れてどうするんだよ。

笑うキミに照れくさくなって、 自分の誕生日も知らないフリを したっけ。

隼人

はい、これ。

里愛

わぁ…私がほしかったやつ!

隼人

あぁ。

隼人

誕生日、おめでとう。

里愛

ありがと!

私の誕生日は、キミのおかげて 最高の日になりました。

〜11月〜

里愛

お誕生日、おめでとっ!

隼人

…っ!

この日は、キミの誕生日だったよね。

お祝いしたら、目を見開いて、 プレゼントを二度見してたね。

隼人

おぼえて、たのか。

里愛

うん!

里愛

隼人、私の誕生日、祝ってくれたでしょ。

隼人

あぁ。

あのときのめったに見られない照れくさそうな笑みは、少し、してやったり!と、思ってしまいました。

〜12月〜

里愛

やっぱ、大晦日は紅白歌合戦だよね〜

隼人

…俺は笑ってはいけない派なんだが。

里愛

えぇ〜?!

里愛

めっちゃ意外。

隼人

そんなに驚くことか?

里愛

皆さん、速報です!

里愛

新事実!隼人は笑ってはいけない派だった!

隼人

おい、やめろよ。

里愛

や〜だね。

隼人

あ、雪。

里愛

ホントだ。

隼人

なぁ。

里愛

ん?

隼人

今年は寝るなよ。

里愛

うん!今年こそは。

意気込む私を優しく見守っててくれたよね。

里愛

隼人、

里愛

良いお年を。

季節はめぐり、

また、1月。

里愛

ねぇ、あけましておめでとう!

里愛

今年もよろしくね。

そんな事を言って、笑いあったよね。

でも。

幸せな日々は、

長く続かない。

ピッピッピッピッ

無機質に響く音。

私はゆっくりと目を開けて、

隣の隼人を見た。

隼人

死ぬなよ…っ!

里愛

はやと。

里愛

私、最期の一年、振り返ってた。

里愛

ねぇ、聞いて?

愛してる。

そう、キミの耳に吹き込んで、

微笑んだ。

隼人

俺もっ!

キミは、私に今まで見せたことのない、涙を、見せた。

ゆっくりと目を閉じる。

そこから私のまぶたが 開くことは無かった。

キミと笑いあったこと、

何気ない会話、

全部が宝物。

ゼッタイに忘れない。

キミとの一年。

それは。

宝物に溢れていました。

あなたは、大切な人との 一年は、

どんなものでしたか…?

この作品はいかがでしたか?

102

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚