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ゾム
鏡の前で、ゾムは固まっていた。
ミルクティー色の髪はサラサラと肩に落ち、ハーフアップにされた毛先は軽く巻かれている。 普段はフードや髪によって隠されているペリドットは、朝露が葉に落ちてきらめく瞬間を切り取ったように、美しく澄んでいた。 強さも、幼さも、無邪気さも、危うさも、すべてを一度に映し込むようにキラキラと輝いている。
鬱先生
鬱が、心底感心した声で言う。
ゾム
鬱先生
鬱はネクタイを整えながら言う。
ゾム
鬱先生
任務内容は単純だった。 “カップル限定の”パーティに潜入し、主催者である“A国の王”が持つUSBを盗み出す。 引き付け役▷▶ゾム。 情報の抜き取り▷▶鬱。
鬱先生
鬱先生
鬱が、ゾムの顎に軽く指を添える。
鬱先生
ゾム
鬱先生
ーーパーティ会場にて。
ゾム
鬱先生
ゾム
鬱先生
会場に入った瞬間、 空気が変わった。 ゾムに視線が、一斉に集まる。
鬱先生
鬱が小声でゾムに話す。
ゾム
ゾムは、ゆっくりと歩いた。 周りの視線を絡めながら微笑みかけて。 A国の王が、すぐに食いついた。
A国の国王
ゾム
ゾムは声を少し柔らかくして話す。
ゾム
A国の国王
男の視線が、鬱に移る。
鬱先生
A国の国王
A国の国王
再び王の視線がゾムへ向けられる。
A国の国王
鬱先生
鬱先生
A国の国王
その瞬間。 国王の手がゾムの腰に、 そっと手が回される。
ゾム
鬱先生
鬱の声が、耳元に落ちる。
鬱先生
ゾム
男は完全にゾムに夢中だった。 話しかけ、グラスを渡し、距離を詰める。 その隙に。 鬱は、背後に回った。 情報の入ったUSBは、内ポケットの中。 指先が、静かに忍び込む。
鬱先生
鬱はゾムに対し、任務が成功した時の合図を送る。
ゾム
ゾムはホッと息を吐いた。
A国の国王
男はゾムの手を取る。
A国の国王
ゾム
笑顔のまま、ゾムは一歩下がる。
鬱先生
鬱が、はっきり言った。
鬱先生
国王が文句を言う前に、 2人は会場を抜けた。
会場から少し離れた静かな街。 夜風が2人の髪を揺らす。
ゾム
ゾムがそう言いながらしゃがみこむ。
鬱先生
鬱がゾムに自分が着ていたジャケットをかける。
鬱先生
ゾム
鬱先生
ゾム
鬱先生
鬱先生
鬱先生
ゾム
鬱先生
少しの沈黙。 ゾムが顔を上げる。
ゾム
ゾム
鬱は少し考えてから言った。
鬱先生
鬱先生
鬱先生
鬱先生
鬱先生
そう鬱から告げられた瞬間、ゾムの胸が、きゅっと鳴る。
鬱先生
鬱先生
ゾム
ゾム
ゾム
そうゾムが発する前に、鬱はゾムに抱きついていた。
夜の街に、2人の影が重なる。 ーー嘘は夜に溶けていった。