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※この連載では一部キャラの名前、読みを変更しています。

※意図的なものです

ここは魔法が存在するセカイ

このセカイには魔法使いしかいない。

これはそんな中、魔力を持たずに生まれてしまった少年の話。

友人A

司〜

ビクッ

あ、ああ!どうした?

友人A

いや、次移動だぞ。早く行こうぜ。

ああ、すまない。行こう

(次は飛行訓練か…)

中庭

"ウォラートゥス(飛行魔法)"

友人A

おおー!流石だな!

ああ、まぁな!

友人A

俺なんてまだ杖浮かせれるだけなのに。コツとかあるのか?

うむ…まぁ、練習あるのみだな。

友人A

やっぱそうかー

(…本当に、血のにじむ努力をしなければならんのだ)

天馬司。オレには人に言えない秘密がある。

それはオレが、魔力を持っていないということだ。

誰しも生まれた時から必ず魔力を持っているはずなのに、何故かオレは持たずに生まれてしまったらしい。

魔力を持たずに生まれた者の前例は無いが、恐らく政府によって始末されるか迫害されるだろう。

だからオレはこの17年間、ずっと隠して生きてきた。

魔力が無いのに何故魔法が使えてるかって?

それは家族から魔力を預かって、それを使わせてもらってるからだ。

元々魔力を持たないオレが、借り物の魔力で魔法を使うのは想像を絶する難しさだった。

だけどオレはこの世界で生き残るために血のにじむ努力をし、こうして自然にこの世界に溶け込んでいる。

努力のお陰もあって、オレの成績は中々に上位な方だ。

(家族には本当に申し訳ない。こんな…出来損ないに生まれてしまって)

(だから精一杯、頑張って成績を残さねば)

昼休み

いつも通り昼食を摂っている時だった。

友人A

〜〜でさ!

ははっ、なんだよそれ

友人A

面白いだろ?

ああ、中々…

「キャアッ!?」

聞こえてきたのは、女子の甲高い悲鳴だった。

?!

振り返ろうとした瞬間、部屋全体が大きく振動した。

ガタガタガタッ!

友人A

うわっ?!

机に掴まれ!

その時、オレが見たのは

魔法によって生み出された巨大なゴーレムだった。

何故ここにゴーレムが…!?

友人A

わ、分かんねぇけど…やばくね?!

(しかもあれ…魔法だ。誰かがゴーレムを操作している?)

ゴーレムは手当り次第に机を破壊したり、部屋で暴れ回っている。

(まずい…このままだと怪我人が…!)

その時、オレの体が咄嗟に動いた。

"スクートゥム(守護魔法)"!!

友人A

司?!

(今のこの教室で、1番戦えるのは恐らくオレのみ…)

(魔力を消費してしまうが、今はそんなこと言ってられん!)

"フランゲンス(打ち砕け)"!!

魔法を放ち、ゴーレムはバラバラと崩れ落ちた。

教室が静寂に包まれる。

友人A

す、すげぇ……

ワァアアアアア!!

教室に歓声が響き渡った

クラスメイト

すごい!カッコよかった!

クラスメイト

一瞬でバラバラーって!

クラスメイト

ありがとう!

…はは、

(良かった…誰も怪我はしてない、)

(……マズイ、魔力を使い切ってしまった、)

(このままだと…今日のこの後の授業は…)

(とうとう潮時か……)

(悔いはない…守れたんだ、みんな。)

友人A

つ…司?どこ行くんだよ?

少し外の空気を吸ってくる。…すぐ戻る。

中庭 裏

(…)

(嫌だなぁ……)

(折角ここまで頑張って、積み上げたのに…)

(…早退、という手もあるか、)

(そうだ!何諦めてるんだ、冷静になれ!)

(今日の授業は休めばいいだけのこと!家に帰ってまた家族から魔力を預かれば、明日からもいつも通りだ!)

(…よし、早退しよう。)

ガサッ

!!

誰だ?!

び、びっくりした…こっちのセリフだよ。

む…

…誰だ?

えっ

…僕のこと見えてる?

あ、ああ。

え…?

な、なんだ?ま、まさか幽霊…!?

ああ、いいや。生きてるよ。

でも…おかしいな。

魔力のある人間に、僕は今見えてないはずなんだ。

!!

君…もしかして、

待ってくれ!!!

頼む……!!誰にも……誰にも、言わないでくれ……!!

オレは……オレはまだ、ここにいたい……!!家族に、迷惑をかけたくないんだ…!!

天馬司くんだよね?

えっ?

な、何故オレの名を…?

有名だもん。秀才だって。

魔力を持たない者が、魔法を扱う…相当難しいだろう。それでもそこまで成績優秀なのは、君が想像を絶する程努力したんだろうね。

僕はそんな人の努力を、一瞬で踏みにじるようなことはしないよ。

な……そ、それは…

レイ

僕は神代レイ(じんだい れい)。よろしく、天馬くん。

!!

レイ

大丈夫、誰にも言わない。約束するよ。

あ……ありがとう!!

えっと…レイでいいか?

レイ

どうぞ。

その制服…インペラトル寮の生徒か?

レイ

うん。

説明し忘れてたが、この学校には4つの寮がある。

オレはアストラ寮。 輝くスター性のある者が入る寮だ。

インペラトル寮は少し変わった者の集まりで、物凄い才能を秘めた者が入る寮。

残りの2つも説明しておくか。

アエキウィタス寮。 公平で正義感が強い者が入る寮だ。

シレンス寮。 魔力量や才に恵まれた秀才が入る寮だ。

隣の寮なのに…今まで一度も見た事ないんだが。

レイ

だろうね。寮から出る時は認識阻害魔法を使ってるから。

に、認識阻害魔法…?

レイ

意識されない限り、人から認識されない魔法だよ。

な、何故そんなものを?

レイ

目立たないようにサボるためさ。

さ、サボ…そうか。

レイ

ねぇ、次の授業はなんだい?

え?ああ、魔植物だ。たしか花を咲かせる単元だったか?

レイ

その状態で出るのかい?

あ…いいや、流石に早退しようと思う。

レイ

そんなの勿体ないよ。折角積み上げてきたのに。

レイ

…今日の授業一日分なら、僕の魔力分けてあげてもいいよ。

何?!

い、いや、しかしそれは…レイの魔力が無くならないか?

レイ

それは大丈夫なんだ。僕は…

レイ

…君の秘密も知っちゃったし、不平等だもんね。

レイ

僕は人より魔力が多いんだ。

レイ

普通の人の持つ魔力を1とするなら、僕の魔力量は1000になる。

?!

レイ

…内緒だよ。

もちろんだ!

レイ

だから全然大丈夫。分けてあげるよ。

あ、ありがとう!

しかし…分けるってどうやって?

レイ

一瞬だけ目閉じてくれる?

唇に何か柔らかいものが触れた

…?!?!?!

レイ

不快だった?

い、いや!!驚いただけだ!嫌では無かったぞ!

か、確認だが今のってき、キス…

レイ

え、違うけど…

?!

い、いやだって今…!!

レイ

人差し指を君の唇に当てただけだよ。

レイ

キスした方が良かったかい?

〜〜〜?!?!?!

レイ

…冗談。気持ち悪いこと言ってごめんね。

き、気持ち悪くなんかないぞ!

ちょっとイラッとはしたが…

レイ

イラッと…

レイ

…ふふ、そうかい。それはすまないね。

(何故嬉しそうなんだ…?)

レイ

もう分けたから、それで使えると思うよ。

む?あ、本当だ。ありがとう!

レイ

うん。

レイ

…じゃあね、天馬くん。授業頑張って。

ああ!本当にありがとう!

(しかし…優しい奴だったな。ちょっと掴みどころがない感じではあるが、)

(何はともあれ、恩人だ。また礼をしなければ。)

友人A

司!大丈夫か?

あ、ああ!さっきは魔力を使いすぎて少し体調が悪くなってしまったんだ。

友人A

やっぱりか…みんな心配してたぞ。

すまんな。もう大丈夫だ。

ルカ先生

は〜い。授業始めますよ〜

翌日

(昨日のゴーレム…やはり魔法によるものだったらしい)

(一体誰が…?なんの目的で…?)

(あれほど立派なゴーレムを生み出せるのは只者ではないはずだ。相当優秀な生徒もしくは、魔力量の多い…)

(……いやいや、まさかな。レイ以外にも魔力量の多い生徒なんてたくさんいるだろう。)

(すぐ疑うのは悪い癖だ。レイは恩人なのに。)

おーい、レイ〜

(あ、魔力がある時は見えないんだったか?)

レイ〜いないか?

レイ

どうしたんだい?

おお!レイ!!

レイ

何か用かい?

ああ、昨日の礼をしようと思ってな!

レイ

そんな…いらないのに、

まぁまぁ。ちょっと座ろう。

レイ

ああ。

クッキーを焼いたんだ。食べられるか?

レイ

うん、食べられるよ。

良かった!お礼としては弱いが、受け取ってくれ。

レイ

そんな事ないよ。ありがとう。

レイ

…美味しい!

そうか!良かった!!

レイ

美味しいよ、これ。ありがとう。

まだあるから、たくさん食べてくれ!

レイ

うん。

(クッキーを両手持ち……ちょっと可愛いな)

レイ

…天馬くん。

なんだ?

レイ

この後の授業で魔力ってどのくらい使う?

え?あー、この後はあまり使わないな。

レイ

なら、ちょっと魔法見せてくれない?

レイ

どんなのか見てみたいな。

ああ、もちろん構わないぞ!

何の魔法がいいか…そうだ!昨日習った花を咲かせる魔法でいいか?

レイ

うん、お願い。

"アペルティオー・フローリス(花よ咲け)"!

何も無い地面に向かって唱えると、白く輝いた美しい花が咲いた。

レイ

む、これは初めて咲いたな。中々に綺麗な出来だ!

レイ

…すごい

レイ

この花…初めて見たよ。

そうなのか?

レイ

…綺麗だねぇ

(…そういうお前の方が、何倍も…)

(…ん?何倍も…なんて思った?!)

レイ

ねぇ、天馬くん。大事に育てるから、これ僕の部屋に持って帰ってもいい?

え?あ、ああ!もちろん構わないぞ!

レイ

ありがとう。…大事にするね。

ああ!

レイ

あ、あと天馬くん。

レイ

外で大きな声で僕を呼ぶのは、今後控えて欲しいな。認識阻害魔法の意味が無くなっちゃうから。

す、すまない!分かった!

だが…それならどうやって探せばいいんだ?

レイ

え?探す必要なんて…

レイ

……

レイ

これ…あげるよ。持ち合わせで悪いけど、僕の指輪。

む…綺麗だな。

レイ

それ、見えないところに隠し持っておいて。それがあれば僕のこと見えるから。

ああ、分かった!ありがとう!

レイ

じゃあね、天馬くん。

ああ!また今度!

(こんな綺麗な指輪を預かってしまった…)

(見えないところに隠し持つか…ネックレスにでもするか?)

(しかし本当に綺麗だ…お、よく見たら模様みたいなのも彫られてる。)

(大事にしよう。)

オレは大切に指輪をポケットにしまった。

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ノヴス・オルド・セクロールム 〜二人の王〜

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コメント

8

ユーザー

意図的に変えてるってことは、なにか少なからず意味がありそう………あかまるが妖怪とか神話とか好きだって言ってたと思うから、それと関係があったりするのかな…??レイはカタカナだけど司は普通に漢字だから、後々ホンモノの「神代類」が出てきたり…⁉️😆💞

ユーザー

レイさん…好き() 性癖全部詰まってる😭 どうしたらこんな神作が生まれるの?? 私は結局コメディになっちゃうからな、

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