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小学校に興味津々なのは、 新入生の日菜ではなく、 双子の妖精たちだった。
トト
トトが澄ました顔で校舎を見上げる。
ララ
ララがそう言うと、 日菜は首を傾げて質問した。
日菜
ララ
トトは責められまいと日菜の後ろに隠れ、 ララからの視線を遮っていた。
日菜
トト
トトは日菜の背中を押し、 強制的に送り出した。
ララも優しく手を振って見送っている。
日菜
大きな赤いランドセルを背負い、 日菜は笑顔で走り出した。
式が終わり、 双子と合流した日菜は、 目を輝かせながら早口で喋っていた。
日菜
トト
トトがどれだけ言っても日菜は止まらない。
日菜
ララ
双子の姿は日菜にしか見えていない。
校門前で日菜がずっと一人で話しているのを、 周りの人たちは不思議そうな目で見ていた。
トト
ララ
トトは近くの男子トイレに入ると、 自分自身に魔法をかけた。
そして人間の姿で日菜のもとへと戻っていった。
トト
トトが日菜の後ろから静かに声をかける。
振り返った日菜は驚いて思考が停止していた。
日菜
トト
トトは上手く人間のふりを続ける。
日菜
優しく日菜の手を引き、 人ごみの中を進むトトの姿に見惚れていたのは、 周りの人だけでなく日菜も同様だった。
ララ
ララは後ろから小さく呟き、 もやもやした気持ちを抱えながら、 二人についていった。
人気のない場所に着くまで、 トトは一切表情を変えず、 笑顔で日菜をエスコートし続けた。
トト
トトは日菜から手を離し、 妖精の姿に戻った。
ララ
ララが呑気に大きな素振りで手を叩く。
トト
そう言って日菜に背を向けたトトの顔は、 赤く染まっている。
ララは二人の様子を見ながら、 またもやもやした気持ちに、 苛まれていたのだった。
学校から帰ってきた三人は、 最初に出会った森へと足を運んだ。
日菜
日菜は寝転がり、 青空を見上げていた。
トト
トトが純粋な疑問をぶつける。
日菜
日菜の表情が少し暗くなり、 双子は顔を見合わせた。
トト
ララ
日菜は特に表情を変えず、 淡々と答えた。
日菜
この時双子は、 事情を理解した。
トト
父親の代わりになれないとわかっていても、 トトは日菜のそばにいてあげたいと思っていた。
ララも同様に、 日菜を守ってあげたいと、 心の底から思っている。
日菜
日菜は少し元気を取り戻し、 双子に笑顔を見せた。
ララ
トト
ララの質問に張り切って答えたトト。
トト
そう言って、 トトは日菜を妖精の姿に戻し、 手を繋ぐ。
トト
その言葉を聞いて、 日菜はトトの手を強く握る。
トトを先頭に、 三人は木の幹の穴に、 思いきり飛び込んだ。
怖くて目を瞑っていた日菜は、 景色が明るくなったのを感じて目を開けた。
日菜はそれを見て、 思わず満面の笑みを浮かべた。
トト
トトが手を繋いだまま、 日菜に問いかける。
日菜
目に映る光景全てにはしゃいでいたが、 穴から勢いよく空中に飛び出した日菜は、 あることに気づく。
日菜
徐々に勢いを失い落ちていく。
もちろんトトだけでは、 日菜を持ち上げられない。
トト
滅多に聞かないトトの弱音に、 日菜も落ちる覚悟を決める。
その時日菜の左手を掴んだのはララだった。
ララ
トトは最後の力を振り絞り、 三人で緩やかに降下していった。
草原に足がつくと、 トトはへなへなと倒れ込んだ。
日菜
日菜が心配そうにトトを気遣う。
トト
ララ
ララの優しい言葉に、 トトはあるはずもない『裏』を指摘した。
トト
ララ
流石のララも声を荒げる。
トト
意地でも認めないトトの言葉に、 ララの怒りは最高潮に達した。
ララ
日菜
双子のけんかを仲裁した、 日菜の目には涙が溜まっていた。
その顔を見て、 双子は冷静さを取り戻した。
トト
トトが差し出したハンカチを。 日菜は軽く払い除け、 ララを見つめて言った。
日菜
ララの顔を見たトトは、 心に何かが深く突き刺さった。
トト
トトの真剣な言葉を聞いて、 俯いていたララはくすくすと笑い始めた。
トト
慌てるトトに対し、 涙を拭い顔を上げたララは笑顔で言った。
ララ
双子の絆を再確認した日菜は、 ぱんっと手を合わせ、 重苦しい空気を跳ね除けた。
日菜
「「もちろん!」」
三人は手を繋ぎ、 妖精界の探検に、 一歩踏み出すのであった。