TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

Corporate war ...

一覧ページ

「Corporate war ...」のメインビジュアル

Corporate war ...

18 - それぞれの休日 聖葵&雲愛

♥

111

2021年05月29日

シェアするシェアする
報告する

蜩 聖葵の休日

ピピピ,ピピピ… 起床を告げる目覚ましの音が鳴る。

蜩 聖葵

う,ぐ…。

ピピ!ピピ!ピピ! 目覚ましの音はテンポを上げ 主人を起こそうとする。

蜩 聖葵

やめ,ろ…。

蜩 聖葵

く,くる…な…。

ピー!ピー!ピー! なかなか停止ボタンが押されず 目覚ましは音量を上げ鳴り響く。

蜩 聖葵

それ以上部長をこっちに連れてこっちに来るのは止めろ瑠衣代!!

蜩 聖葵

ゆ、夢…か…。

左手で顔を覆うように掴み 頭を左右に振って、さらに意識を 起こして悪夢を振り払おうとする。

蜩 聖葵

気分を変えるのに今日は外でのんびりと過ごすか…。

AM9:00 特に予定を決めずに家を出た彼は 朝食を取りに近くの喫茶店に入店する。

蜩 聖葵

たまにはこう言った場所での朝食も悪くないな…。
ピザトーストか久しく食べていないからこれにするか、飲み物はロイヤルミルクティーでいいか…。

注文するものを決め 店員に声を掛けようとする。

蜩 聖葵

すいま…。

レイト

す、すいません…、注文…いいですか…?

聖葵よりほんの少し早く 隣のテーブルに座っていた 少年が手を上げて店員を呼んだ。

聖葵は少年に気付き呼ぶのを止め 少年も聖葵に気付いて 申し訳なさそうに会釈をし やって来た店員に注文を告げた。

レイト

ピ、ピザトーストを一つ…、あ、後…ロイヤルミルクティーを…。

蜩 聖葵

…。

自分と全く同じ注文に少し驚くが 「まぁこんなこともあるか」と 流して、自分のところに来た店員に 注文を告げる。

蜩 聖葵

ピザトーストとロイヤルミルクティーを。

レイト

…。

一瞬、少年がこちらを チラリと見た気がするが 気にせずに注文をした。

AM10:20

新統合都市の図書館の蔵書数は多く 大戦前、大戦後のあらゆる ジャンルの本が収められており、 棚を探すのも良し、 司書に読みたい本を伝え 電子版を席に備え付けられたタブレットで 読むこともできる。

蜩 聖葵

すいません、「電柱でも理解する薬学の勧めマスタークラス」という本のデータ版を1巻から3巻までお願いします。
席は0110です。

司書に読みたい本を伝え 途中目についた本をいくつか手に取り 自分の席に向かう。

席に着きタブレットに 届けられていた書籍を読み始める。 辺りにはページを捲る音が聞こえる。

レイト

よ、いっしょ…。

そんな静けさの中 1人の少年が重そうに本を 置く声が聞こえて視線をそちらに向ける。

蜩 聖葵

…。

そこにいたのは先ほどの喫茶店で 見かけた少年だった。 喫茶店から歩いて少しの距離に 図書館があるので同じ場所に やってくること自体驚きはないのだが、 聖葵はその少年が置いた本の 背表紙を見て驚き体をピクリとさせた。

その背表紙に描かれていたタイトルは 「電柱でも理解する薬学の勧め マスタークラス」 しかも1巻から3巻。

PM12:45

蜩 聖葵

全く奇妙なこともあるもんだ…。
あ、すいません。
カプレーゼとアラビアータ、それとバケットを2切れお願いします。

不思議な体験にリフレッシュするつもりが 変に疲れたと思い気分を変えるために 少し値は張るが二駅離れた場所にある レストランにやってきた…が。

レイト

あ…。

近くのテーブルで聞こえた声の方に 視線をやるとまた先ほどの少年がいた…。

蜩 聖葵

な…。

そして少年の元へ料理が運ばれてくる。

店員

お待たせしました。
カプレーゼとアラビアータとバケット2切れです。

レイト

え、あ、はい…。

蜩 聖葵

(なんなんだ、行く先々で彼と出会い注文するものが全く同じとは…、尾行されているのか…?彼は競合相手のスパイか?)
(いや、図書館では俺の方が先だったが喫茶店やこのレストランでは彼の方が先に店にいたはずだ…。)

日に同じことが3度も続き もやもやとした気分のまま昼食を取った。

そしてその後も…。

蜩 聖葵

…。

レイト

…。

美術館、服屋、ゲームセンター、映画館 そのどれもで2人は出会い 全く同じ物を見たり買ったりを繰り返す。

PM19:50 映画を見終わった聖葵は 堪らず出口で少年に声をかける。

蜩 聖葵

君、ちょっといいか?

レイト

え?あ、はい…。
ち、ちょうど…僕も声を掛けようと思って…ました…。

蜩 聖葵

率直に聞くが君は何者だ?
俺の後をつけているのか?

レイト

い、いえ…そんな事ないです…。
む、むしろ…貴方こそ…僕をつけているのでは…?

蜩 聖葵

…。

レイト

…。

蜩 聖葵

そうか、変なことを言ってしまいすまない。

レイト

い、いえ…こちらこそ…。

蜩 聖葵

日に何度も出会って同じ行動をしているようなのでつい…。

レイト

そ、それは僕もです…から…気にしないでください…。

蜩 聖葵

それでは俺はこれから焼肉を食べて帰ることにする。

レイト

あ、じゃ、じゃあ…僕はラーメンを…。

蜩 聖葵

お互い奇妙な1日だったな。
それじゃ。

レイト

あ、はい…それでは…。

2人はそのままお互いに背を向けて 逆方向に歩いていく。

蜩 聖葵

(これで出会うこともないと思うが万が一を考えて焼肉はやめて寿司にしよう。)
(財布にはかなり痛手ではあるが、あれぐらいの歳の少年では予算的に入る事が出来ないであろう高級店にするか…。)

レイト

(ついラーメンって言ってしまったけど、そんな気分じゃないだよね…。)
(あ、そうだ、この前玲奈さんに教えてもらったお寿司屋さんに行ってみよう、前回の仕事のお金もまだまだ残ってるし、あの人も焼肉って言ってたから出会う事ないよね…。)

その後寿司屋の前でバッタリ出会い 一緒に食事をする事になるのだが それはまた別のお話。

綿葉 雲愛の休日

私は今同僚との待ち合わせの とある喫茶店の前に居る。

綿葉 雲愛

位置情報だとここかな〜?
瑠衣代さんは先に入ってるみたいですね〜。

行く約束はしていたが ガッツリ寝坊をしてしまっている。

店内に入ると約束した人と 他に見知った人が1人いた。

燕 玲奈

いらっしゃい。

水無月 迅

む?綿葉も来たのか。

綿葉 雲愛

あれ〜?
水無月課長も瑠衣代さんに誘われたんですか〜?

水無月 迅

いや、私は別件で来ていたんだが…。

綿葉 雲愛

なるほど〜。
それで、カウンターに突っ伏して塵になりそうなのが瑠衣代さんですか〜?

店内には店の人間と思われる人物が2人 所属は違うが上司が1人 そして、虫の息になっているのが2人 1人は知らない人だからきっと客だろう。

瑠衣代 ルン

も、もう無理なのネ…。

同僚の前には直径30cmほどの 土鍋が置かれていた。 中身はラーメンだろうかグツグツと煮立ち これでもかと言うぐらいスープは赤く 山盛りの野菜と極厚のチャーシュー 花椒と唐辛子の匂いが食欲をそそる。

綿葉 雲愛

虫の息ですけどどうしたんですか〜?

瑠衣代 ルン

す、スープ一口で口の中と胃と鼻を破壊されたのネ…。

綿葉 雲愛

あらら、何かの罰ゲームですか〜?
それもとチャレンジメニューですか〜?

燕 玲奈

いや、特別メニューではあるがこの2人が注文した物だな。

水無月 迅

なんでもこの喫茶店に怪盗団のアジトがどうこう言ってたな。

綿葉 雲愛

ふ〜ん、そうですか〜。

グルリと店内を見渡してみると 確かにこの建物の構造は何かおかしい。 爆破解体の経験上建物の構造は 見ればある程度理解できる自信はある。 その経験から言えば確かに隠し部屋が ありそうな気もする。

綿葉 雲愛

これを食べ切ればそこに通してもらえるんですか〜?

燕 玲奈

いや、元々ウチにはそんなものはないよ。
ただ、残したら罰金だ。

綿葉 雲愛

なるほどなるほど〜。

まぁそう簡単には答えてくれないか。 でも正直に言えばそんな事はどうでもいい 今私の目の前には美味しそうな料理と いじりがいのある同僚が揃っている。

綿葉 雲愛

瑠衣代さん、残しちゃったら罰金らしいですよ〜?
金額は15万ぐらいらしいですよ〜。

瑠衣代 ルン

わ、分かってるけど箸やレンゲを持とうとすると手が震えるのサ…。
っていうか、そんな金額今初めて聞いたのサ…。

綿葉 雲愛

確かな情報ではないのに頼んじゃって、農家さんやお店の方に悪いと思わないんですか〜?

瑠衣代 ルン

う…、で、でも…。

水無月 迅

相変わらず毒を吐くな綿葉は…、だがそれぐらいにしてやってくれ、瑠衣代が再起不能になる…。

綿葉 雲愛

ふふふ、冗談ですよ〜。
あ、お店の方この料理は他の人が食べ切ってもいいんですか〜?

燕 玲奈

ん?あぁ、残さなければ問題ない。

綿葉 雲愛

なら、私がいただきますね〜。

水無月 迅

な…、わ、綿葉考え直せ…。
お前までこうなると真琴達に何言われるかわからん…。

綿葉 雲愛

え〜?
大丈夫ですよ〜、美味しそうじゃないですか〜。
はい、瑠衣代さんはそこどいて下さいね〜。

同僚を押し退けて土鍋の前に座り スープを一口…。

痺れる辛さと鼻に抜ける花椒の香り そして、しっかりと旨味のあるスープ。

綿葉 雲愛

美味し〜。

水無月 迅

…。

燕 玲奈

…。

瑠衣代 ルン

…。

その場にいた誰もが私を見ているが 気にしないでおこう。

綿葉 雲愛

あ〜、美味しかったです〜。

水無月 迅

本当に食べ切ったのか…。

瑠衣代 ルン

ば、化け物なのネ…。

綿葉 雲愛

2人とも酷くないですか〜?

水無月 迅

あ、すまん…。

瑠衣代 ルン

何にせよありがとうなのネ!
これでボクは罰金払わずに済むなのネ!

綿葉 雲愛

瑠衣代さん、誰もタダとは言ってませんよ〜?
代理手数料いただきますね〜。

瑠衣代 ルン

う…、仕方ないなのネ…。

美味しいものと楽しい時間 こうして私の休日は過ぎていった。

燕 玲奈

まさかアレを食べ切る人間がいるとは…。

笹原 恵

驚きですね…。

吹雨希 悠穂

お、俺もお金払うから食べてもらおうかな…。

この作品はいかがでしたか?

111

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚