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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

サカナ

どうも皆様、サカナです

サカナ

いやぁ…意外と話って尽きないんですね

サカナ

皆様は亡くなられた方と夢で会ったこと、ありますか?

サカナ

私が今までで1番怖かった夢は、ちっさい頃に見た大量の人喰いてんとう虫に追いかけられる夢ですね

日帝

はぁ…

最近、子供たちが危険な目に遭う確率が高い

にゃぽんは具合が悪くなって学校を休み、日本は危うく死にかけた

後者はともかく、前者は嘘をついていることくらいお見通し

何があったのかは知らないが、何か子供たちを危険から守る術はないだろうか…

日帝

ナチスの目的は、本当は私ではなく、子供たちなのか?

日帝

あの子たちを守る私を排除して、その上で殺すとか…

だが、彼とあの子たちで接点はない

ナチスの息子であるドイツくんか私を経由しなくては、会うことも稀だったろう

しかしながら、彼らを会わせた覚えはない

日帝

そんなことしても意味がないしな…

奴の目的は不明瞭にも程があるが…

とにかく、私に出来ることをするまでだな

 

日帝

美味いか?

日本

とーっても美味しいです!!

日本

生きててよかった!

にゃぽん

お兄ちゃん、それ笑えないってば〜

日帝

全くだ

日帝

お前たちはもっと危機感をだな…

にゃぽん

お父さんが言えたことじゃなくない?

日本

1番危ない目に遭っているのはあなたですよ

日帝

………

最近、子供たちが強くなっている

日帝

…もう11時か

日帝

早く寝よう

仮にも現代に生きる私には、仕事が必要だ

しかし人の下につくことはあまり慣れていないので、国連からこうして書類仕事を任せられることがある

もう夜も遅い

日帝

今日はここまでだ

 

 

気がつけば、私は車に乗っていた

自分が乗っている、あの車

隣にはナチスの姿があった

あぁ、夢か

そう思うのに、時間はかからなかった

日帝

また妙な夢でなければいいのだが…

ナチ

どうした?日帝

日帝

…いや、なんでもない

問いかけてくるナチスはあの頃のままで、きさらぎ駅や神社での雰囲気とはまるで違った

たまには、このような平和な夢もありだろう

日帝

調子はどうだ?

ナチ

良いとはあまり言えないな

ナチ

向こうの世界は時間の感覚がおかしくなってくる

意外にも、設定は彼の死後らしい

私は彼のことを“死んだ”と完全に認識できているようだった

別に生きていると思っていたわけでもないが、夢でこのように話すのは珍しいことのように思う

日帝

そうか…大変なんだな

ナチ

お前こそ

ナチ

あんなものに憑かれて大変だな

日帝

あんなもの?

ナチ

まあ、犯人は私なのだがね

日帝

なんのことだ?

ナチ

わからないのなら、それでいい

夢とは、見ている者の記憶から成るものではなかったか?

ナチスは私がわからないことを言ってきた

あんなもの、とは何のことだろう?

聞きたくても、何故か私の口は開かなかった

まるで、さっきまでの会話が定められていたように

それ以上話すことは許されないとでもいうように

ナチスも黙り込み、私はただひたすらに山道へ向かって車を走らせる

しばらく走っていると、前方に長い車列が確認できた

事故でもあったのだろうか、と思ってみるも、これでは進めない

ナチ

………

心なしか、ナチスの顔が険しくなっている

懐かしい、お前は待つのが苦手だったな

子供のようだ、とイタ王たちと笑っていたことを思い出した

日帝

前の車に事情を聞いてくる

日帝

すぐ戻るから、そこで待っていてくれ

ほとんど意識せずに、そんな言葉がすっと出てきた

シートベルトを外し、ナチスを置いて車の外へ出る

弱々しく伸ばされた手に触れることはなかった

止まっていた前方の車の横に、見覚えのある人物が立っている

江戸

よう、日帝

日帝

父上!ソ連まで....どうしてここに?

笠を被り、和服を着た父上と、最後に見た時から一切変わっていないソ連

江戸

我が子の危機に駆けつけぬ
親などおらん

江戸

だが、久しぶりに会えて嬉
しいぞ

ソ連

久々の再会を楽しみたいところだが、生憎そんな暇はねえんだ

ソ連が私の背後を見ていたので、振り返る

ナチ

………

そこには、凪いだ怒りを滲ませるナチスの姿があった

日帝

ナチス...

江戸

おっと、日帝、それ以上近寄るでないぞ

日帝

ですが彼は...

ソ連

お前の命を尾け狙ってるんだから、気にしなくていいだろ

江戸

そうだな、蘇国の言う通りだ

父上とソ連が会話している情景はひどく不自然に思えて、何が何だかわからない

ナチ

...貴様らはどこまで邪魔をすれば、気が済むんだ

地を這うような恐ろしい声を出したナチス

その声も、私には覚えがない

怒りからか手を強く握っている

江戸

息子に手を出すのをやめるまで、わしらは貴殿の邪魔をし続けるぞ

ソ連

お前が日帝にご執心なのは十分わかった

ソ連

だがいい加減やめて、キッパリお別れしてくれ

ソ連

俺も疲れたんだよ

嗜めるように言うソ連は、よく見ればボロボロだった

ところどころコートが汚れていたり、わかりにくいが頬に傷もある

ナチ

嫌だ

2人は睨み合い、父上はその様子を一瞥してから私の方へ歩み寄ってきた

江戸

ほら、日帝、もう帰る時間だぞ

にこやかに笑う父上は記憶の通りで、男のくせに泣きそうになってしまう

江戸

お前のことはわしらが守る

江戸

だが、あの青年は異様なほどに力を持っているんだ

私の肩に手を置いて、はっきりとした口調で告げる父上

晩年には会話すら困難で、まともに話したのもいつ以来だろうか

江戸

お前は人望があるから、数多の国々が協力してくれている

江戸

しかしそれでも、完全に止めることは難しい

日帝

ナチスの力は、そこまで強大なのですか?

江戸

本来ならあり得ないほどにな

江戸

思いの力が強すぎるのか、他に要因があるのか、それすらわからないが…

江戸

一先ず、これだけは伝えておこう

江戸

明日は車に乗るなよ

日帝

えっ、それはどういう…

江戸

じゃあな日帝、わしやお前の兄弟の分も、生きてくれ

問いの答えを聞く前に、私の視界は白に覆われた

 

 

チュンチュンッ

日帝

父上…

目が覚めてしまった…

にしても、現実味のない夢だったな

もしかしたら、夢ではないのかもしれない

日帝

車に乗るのはやめろ、と仰っていたが…

今日は、日本を少し遠くまで送らねばならないのだ

再就職してから初の出張ということで、日本は私にも来て欲しいと言っていた

しかし、私の夢は何かしら意味を持つことがある

ナール・ナーシュのような例もあるわけだから、大人しく従うが吉か

日帝

日本には悪いが、電車で行こう…

まあとにかく、朝食と弁当の用意をしなくては

 

にゃぽんも起きてきて、皆で朝食を食べる

もぐもぐと美味しそうに食べる2人は空と海の子とは思えぬほど愛らしく、私の事情に巻き込んでいることを恥じる気持ちになった

日帝

…日本、一つ話があるのだが、大丈夫か?

日本

はい!

元気よく返事をした日本

しかし、私はお前にとって残念な知らせを運んでいる

日帝

実は、車の調子が悪くてな…

日帝

今日は電車で行くことになるのだが…いいだろうか?

我ながら苦しい言い訳だ

点検は昨日も行っていることを知られているし、約束を受けたのは私だ

たまには父さんと2人になりたい

日本はそう言っていたのに、裏切ってしまったことに罪悪感が募る

日本

仕方ありませんね…

日本

車は修理とか大丈夫なんですか?

日帝

あぁ、少し不安というくらいだから…

日帝

また今度、2人でどこかへ行こう

日本

約束ですよ?

日帝

あぁ

眉を下げる日本の頭を撫で、再び食事に戻った

 

日本を送り、私は帰宅した

日帝

はぁ…英国は相変わらずだな…

先日日本が危ない目に遭ったこともあり、英国には警戒するよう言ったものの、彼のことだ

おそらく重要視はしていないだろう

しかし、日本があんなに楽しそうに働けるようになったのはありがたい

ふとテレビをつけてみると、こんなニュースが放送されていた

臨時ニュースです

先ほど、〇△山付近の道路にて、トラックと乗用車がぶつかる事故が起きた模様です

トラックの運転手が居眠り運転でハンドルを切り、隣の車線を走っていた乗用車に激突

そのまま崖の側面に強くぶつかり、乗用車に乗っていた3人家族は全員死亡

トラックの運転手は現在行方不明とのことで、警察が捜査をしています

次のニュースは、と語り続けるアナウンサーの言葉を遮り、私はテレビを切った

日帝

あの道路は、夢で見た場所だ…

更には乗っていた家族が死亡し、トラックの運転手は行方不明という大惨事

時間帯も、私たちが向かっていた時間と等しい

日帝

父上はこのことを話していたのか…

あの夢は、私が忠告を聞かずに車で向かっていた場合の現実かもしれない

私と、日本

そして、助手席に座っていたナチス…

日帝

3人…

もし、父上がいてくださらなければ

もし、私が忠告を聞いていなかったら

もし、日本が車を確かめてしまったら

日帝

私たちが、事故に巻き込まれていたのかもしれないな…

 

ナチ

またか…

そろそろ、日帝を私の手で殺さねばならないかもしれない

しかし、それにはまだ力が足りないだろう

ただでさえ今は忙しく、限界に近くなっているのだから

ナチ

あぁ…イライラする…

ナチ

日帝は旧国なのだから、こちらにいるのが正しいはずなんだ…!!

ナチ

どうして、何故止められる!?

ドンッと音を立てて机を叩く

ナチ

っ…頭痛がする…

ナチ

はぁ…

ナチ

私をわかってくれるのは…日帝、お前だけ…

ナチ

そうだよな…

ガンガンと痛む頭を押さえて、地下室で適当に敷いた硬い布団に横たわる

今日は現世に干渉しすぎたのか、いつもより痛い

だが、もう私は止まれない

日帝を殺す

現世に干渉し、友であった奴らを傷つけ、既に何人か殺している

日帝の娘を狙ったことも

日帝の息子を狙ったことも

こちらに招き寄せたことも

ただの人形を呪いの人形に仕立て上げたことも

今日、日帝とその息子を殺そうとして、無関係な人間どもを殺したことも

決して、償えるようなことではない

ナチ

…っ〜〜…痛い…

こんなに激しい痛みはいつぶりか

怪我をしたら日帝が治療をしてくれて、病に臥せば看病してくれて

イタ王やフィンランド達もいたが、本当に心配してくれたのは日帝だけだろう

1人寂しく、彼岸でフラフラしているくらいなら

ナチ

…日帝を、殺して…

ずっと一緒にいた方がいい

私の意識は、そこでプッツリと途切れた

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