医院
真那
……
医者
…で、こっちのは新しいやつじゃからの、食後にな…
千寿郎
…これは……で
はい、ありがとうございます
はい、ありがとうございます
医者
…
医者
聞いとるんかいっ!
真那
ん?
医者
全部お前さんの話じゃろうが!
真那
…全部飲んどきゃいいんだろうが
医者
あのなぁ、薬ってのは時間も順番も
真那
あーあー!
真那
もうやってられるかっ!
バタンッ!!
千寿郎
あ、あの、
私がちゃんと管理致しますので
私がちゃんと管理致しますので
医者
…
千寿郎
あの、、、
医者
病持ちにとって、
ここが勝負時なんじゃよ…
ここが勝負時なんじゃよ…
帰り路
真那
ちっ…
千寿郎
……
子分
あ、真那姉貴ー!
真那
あぁ!五月蝿えな
…あー、名前聞いてなかったな
…あー、名前聞いてなかったな
権太
なっ名前で呼んでくれるんですかい!俺は権太、ごんたですぜ!
真那
ごんた、五月蝿えよ
権太
はいっ!
千寿郎
(初対面時では考えられなかった関係性だなぁ)
権太
で!姉貴!
前にあのおばばの和菓子屋行ってたでしょ?
みたらし団子が始まったんですよ!
前にあのおばばの和菓子屋行ってたでしょ?
みたらし団子が始まったんですよ!
真那
みた…何だ?
権太
とにかく美味いんす!けどあのおばば、気の向いた時にしか作らねえんすよ!
食べねぇと次いつになるか!
食べねぇと次いつになるか!
千寿郎
わぁ!
真那さん、寄ってみましょうか⁈
真那さん、寄ってみましょうか⁈
権太
ほら、煉獄の兄貴も言ってますし、
千寿郎
ええっ⁉︎兄貴⁉︎
あ、あの私には兄がいましてその…
あ、あの私には兄がいましてその…
真那
行かねぇ
権太
えぇ!
千寿郎
……
真那
気分じゃねぇ
ばばぁには…
ばばぁには…
真那
いや、何でもねぇ
千寿郎、俺は帰る
ごんたも食い過ぎんなよ
千寿郎、俺は帰る
ごんたも食い過ぎんなよ
権太
真那のあねき〜〜
千寿郎
私も帰ります!
権太さん、ではまた!
権太さん、ではまた!
てくてく、てく
真那
んっ、ごほっごほっ
千寿郎
大丈夫ですか⁈少し休みましょう!
真那
いちいち気にすんなよ
千寿郎
千寿郎
真那
いつもの、事だろ
千寿郎
真那さん…そんな…
真那
ぐっ、ごほっっ
煉獄家
真那
……
千寿郎
……
千寿郎
真那さん…少しでも何か食べて下さい…薬を飲まなければ…
真那
なら食べねぇ
真那
どうせ治らねぇ
千寿郎
まっ…
真那
…もう、どれだけ経ったんだよ…
千寿郎
真那さん…
真那
千寿郎!
俺が今まで見てきた病持ちの奴はなぁ!
俺が今まで見てきた病持ちの奴はなぁ!
真那
どれだけ元気そうに見えてても
次の日には死んでいったんだよ!
次の日には死んでいったんだよ!
千寿郎
あ、うぅ…っ
真那
くそっ
いいんだよ、死んでいいんだよ
元々そうだったじゃねぇかよ!!
いいんだよ、死んでいいんだよ
元々そうだったじゃねぇかよ!!
ばしっ!!
千寿郎
そんな事、、、
千寿郎
うぅ………
すっ……
煉獄
薬を投げてはいけないな、真那
千寿郎
兄上…
真那
捨てとけよ、杏寿郎
煉獄
駄目だ
真那
なら勝手にそこら辺にほっておけよ
俺は飲まね…
俺は飲まね…
真那
うっ…
真那
げほっ…げほっげほっ
煉獄
千寿郎!水を!
真那
いらねえって言ってるだろうが!
真那
げほげほっげほっ
真那
ぜぇぜぇ…んげほっ…う、うげっ…
千寿郎
兄上!桶を!
煉獄
うむ!
真那
げほっ、、がっがはっっっっ
煉獄
吐血っ…
真那、薬を飲むぞ!
いや、飲ます!
真那、薬を飲むぞ!
いや、飲ます!
真那
がはっっ…ちか、よんな…
きょうじゅ…げほごほっっ
きょうじゅ…げほごほっっ
……………
煉獄
…咳は出ていない様だな
千寿郎
はい…
煉獄
体調が急変してきてしまったのか…
千寿郎
お医者様は、ここが踏ん張り時だと
楽になったと感じだした時こそ安静を心がけないといけない…と
楽になったと感じだした時こそ安静を心がけないといけない…と
煉獄
むぅ……
それが真那を焦らせてしまったのか
それが真那を焦らせてしまったのか
真那
勝手な事いうんじゃねぇ、杏寿郎
煉獄
すまん、起こしてしまったか!
真那
起きてたよ…コホッ
煉獄
真那!!
真那
咳払いだよ
全く五月蝿いな、杏寿郎は…
全く五月蝿いな、杏寿郎は…
千寿郎
真那さん、、、
あの、お薬飲みましょう…
必ずっ必ず良くなりますから…
あの、お薬飲みましょう…
必ずっ必ず良くなりますから…
真那
千寿郎
千寿郎は会った時からずっとそれ言ってるな
千寿郎は会った時からずっとそれ言ってるな
千寿郎
…はい
煉獄
それは本心だからだ!
何度でも言うだろうっ!
何度でも言うだろうっ!
真那
本心か…
なあ、杏寿郎
なあ、杏寿郎
煉獄
何だろうか!
真那
どうして思っても無い事を杏寿郎は俺と約束した
煉獄
…!?
真那
取引の話だ
分かってるんだろ
分かってるんだろ
煉獄
…
真那
そうだよなっ
わかったとしか言ってないもんな
わかったとしか言ってないもんな
真那
いつか俺があのオトコとオンナを
殺しに行けたとしても
殺しに行けたとしても
真那
止める気…
いや、そもそも俺は行かないと
思ってだろ
いや、そもそも俺は行かないと
思ってだろ
煉獄
…そう、だな
煉獄
理由が何であっても
人を殺す事は見逃せない
人を殺す事は見逃せない
煉獄
俺は、とにかく真那に治療を受けさせる為に、させる気のない約束をしてしまった
煉獄
言い訳は…無い
千寿郎
で、でもっ
煉獄
よいのだ、千寿郎
本当の事なのだから
本当の事なのだから
真那
ははっ
気にするなよ杏寿郎
俺はそこまでもたねぇよ
気にするなよ杏寿郎
俺はそこまでもたねぇよ
真那
それまでに、死ぬさ
千寿郎
う、うううぅぅ…
千寿郎
(こんな言い合い聞きたくない
二人のこんな、こんな…)
二人のこんな、こんな…)
真那
…
真那
良かったのにな、それで
千寿郎
!?
真那
いつ死んでも良かったのにな
真那
なんで、、何だろうな…
煉獄
真那…
真那
ああ、嫌だ…
真那
嫌だ嫌だ嫌だっ!
真那
…しにたくない
真那
もういい!あいつら殺すとか
もういい!医者に一生通うのでもいいさっ
もういい!医者に一生通うのでもいいさっ
真那
少しくらい苦しかろうが
我慢するから…
我慢するから…
真那
…
真那
生き…たい
杏寿郎…
杏寿郎…
真那
う…ううっ
くそっ何で、ああ…
くそっ何で、ああ…
煉獄
真那…っ
ぎゅっ…
真那
杏寿郎…
煉獄
真那
煉獄
真那の優しさにつけ込む様な
約束をした事は、本当にすまん
約束をした事は、本当にすまん
真那
もう、いいさ
真那
俺も多分分かってたんだ
煉獄
真那
真那
ん
煉獄
生きてほしい
煉獄
上手く、説明出来ないのだが
生きて笑って側にいてほしいのだ
生きて笑って側にいてほしいのだ
煉獄
俺が真那にしてやれる事は本当に少なく、正直歯痒い
煉獄
また押し付けかもしれぬし具体案も無いが言わせてくれっ!!
真那
きょっ…
煉獄
俺は真那を守る
煉獄
最後の最後まで
煉獄
必ず守る
真那
杏寿郎…
真那
ふっ
杏寿郎も会った頃から変わらねぇな
杏寿郎も会った頃から変わらねぇな
翌朝
真那
くそっ
千寿郎
真那さん?どうかしましたか?
真那
医者じじいの新しい薬
苦ぇ
苦ぇ
千寿郎
良薬は…とも言いますので
頑張りましょう!
頑張りましょう!
真那
これは無理だ
医者じじいの嫌がらせだ
苦すぎる!
医者じじいの嫌がらせだ
苦すぎる!
真那
よし、酒で流し込むか
真那
クソじじいー!
酒持ってこいやーー!!
酒持ってこいやーー!!
千寿郎
あわ!あわわ!真那さん!?
ガラッ!
槇寿郎
病人もどきが朝から叫ぶなと
何度言えばわかるっ!!
何度言えばわかるっ!!
槇寿郎
酒は飲むなっ!!
ばんっ!!
真那
クソじじいはずっとケチだな
千寿郎
(真那さんの呼び掛けに
父上がわざわざ来るなんてっ…)
父上がわざわざ来るなんてっ…)
煉獄
ふぅ!朝から良い汗をかいたなっ!
む、真那おはようっ!
む、真那おはようっ!
煉獄
何やら苦々しい顔をしているが
今日も美しいぞっ!
今日も美しいぞっ!
真那
ん?杏寿郎いたのか
煉獄
いたぞ!道場になっ!
千寿郎
早朝訓練
ご苦労様です兄上
手拭いを
ご苦労様です兄上
手拭いを
煉獄
すまんな!千寿郎!
真那
…なあ、杏寿郎
煉獄
どうした!真那!
真那
俺に対して何も出来ないって
言ってたけどよ
言ってたけどよ
煉獄
む…
真那
いつか、俺は…
真那
何も気にしねぇで
夜の桜を見にいきてぇ
夜の桜を見にいきてぇ
真那
みた…何とか食べながらな
煉獄
真那っ!!
千寿郎
真那さんっ!
真那
な、なんだよ
二人して
二人して
千寿郎
必ず!見に行きましょうね!
煉獄
その世を、俺は必ずっ!
真那
杏寿郎!千寿郎!
近ぇよっ!!
近ぇよっ!!
煉獄
はははははっ!!
俄然気合が入ったぞ!
俄然気合が入ったぞ!
煉獄
全てが真那を守る事に繋がっているのだな、、、うむ!!
真那
杏寿郎!また目から血流れてんぞ!目でかいんだからどうにかしろ!
煉獄
はははははっ!!
気合いの表れだなっ
気合いの表れだなっ
千寿郎
(……ふふっ)
千寿郎
(私もずっと夢見ていましたが、より鮮明になった…
夜桜の並木道、寄り添って散歩をしている兄上と真那さん…)
夜桜の並木道、寄り添って散歩をしている兄上と真那さん…)
千寿郎
(鬼のいない世の中、鬼殺隊や兄上、そして柱の方々が必ず実現して下さる)
千寿郎
私も真那さんをしっかりお守りします!
真那
千寿郎…
じゃあこの薬は気に食わねぇから止め
じゃあこの薬は気に食わねぇから止め
千寿郎
はい、お水と一緒に!
真那
…容赦ねぇな
不思議なもんだよな 毒気抜かれたなんて意味じゃねぇ
気付いてしまえばあんな遊郭の端で 生きていけねぇ だから見ない様にしてきた事
なぁ、杏寿郎 俺は… こんな普通の暮らしをしたかったんだ
………
真那
ありがとうな…