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それは言わば奇襲といってもいい。

まさかの初手からの【ノンオープン】は、相手にとっても寝耳に水だろう。

七星

(当然、このタイミングでの【ノンオープン】は時期尚早。普通、もう少し後のタイミングで仕掛けるべきだろう)

七星

(だが、むしろ初手だからこそ、根拠がある)

七星

(このゲームは、先に【3】を抑えた方が有利に立ち回れる。だからこそ、先攻のやるべきことは決まっている)

七星

(下手に【1】や【2】を出してしまうと、相手に【3】を取られてしまう。もちろん【0】を出すなんてもってのほか)

七星

(ゆえに、ここは【3】なんだ)

七星

(これはもはや暗黙の了解だが、しかし初手であるがゆえに心理的に【ノンオープン】は仕掛けられない)

七星

(だからこそ、ここで仕掛ける)

十一月二十九日

へぇ、随分と強気だなぁ。

十一月二十九日

これで【ノンオープン】をしくじったら、こっちが勝ちに王手をかけるってのに。

七星

悪いが、少々せっかちでな。

七星

いずれ【ノンオープン】を仕掛けることになるのであれば、早い方がいいと思ってな。

七星

(むしろ、下手に戦況が進んでからの【ノンオープン】より、初手の【ノンオープン】の方が、まだ根拠がある)

七星

(ここは、これで間違っていないはずだ)

七星

ナンバーは……【3】だ。

七星からすれば、これはかなり攻めたやり方だった。

暗黙の了解で成り立ってしまっているロジック。

【3】を取った方が有利になるがゆえに、先攻の取れる行動が決まってしまっているという事実を逆手に取り、仕掛けた【ノンオープン】。

七星

さぁ、絵本を改めさせてもらおうか。

十一月二十九日

あぁ、分かった。

七星に促されてオープンされた十一月二十九日の出した絵本は……【3】だった。

初手であるからこそ【ノンオープン】を躊躇してしまう。

そんな心理的な弊害を取っ払い、迷うことなく仕掛けた初手の【ノンオープン】が、見事に十一月二十九日を喰った。

七星

これで私も1ポイントだ。

十一月二十九日

なるほど、まさか初っ端から仕掛けてくるとはなぁ。まぁ、次からはうまく行くと思わないほうがいい。

七星

あくまでも、忠告として受け取っておこうか。

七星

(これでポイントはイーブン。二度、同じ手が通用するとは思えないから、次の一手を考えておかねばならない)

十一月二十九日

それじゃあ、先攻はまたそっちからだ。

互いに1ポイントずつのイーブン。

改めて七星が先攻にて仕切り直し。

七星

(ここは先にポイントを取ってアドバンデージが欲しいところ)

七星

(しかし、それはあちらとて同じはず)

七星

(ならば、どこで仕掛けてくるか――だ)

七星

(ここは、あえて初手から――なんてことをやり返してくるかもしれない)

七星

(ならば、多少はしんどくなるだろうが――)

七星、次に出す絵本を選択。

七星

(私がここで出すのは【1】だ)

これもまた、セオリーからは外れた策略だった。

先手であるゆえに【3】を取りに行かねばならない。

その暗黙のルールからあえて逆行する。

ましてや、次で相手に【3】を取られてしまう【1】なんて、出していいものではない。

七星

(これで、あっちが【ノンオープン】を仕掛けてくれば、セオリー通りの【3】を宣言する可能性が高い)

七星

(ちょっと捻くれて【0】なんて可能性もあるだろうが、中途半端な【1】や【2】はまず予期できない)

七星

(ここでうまく引っかけることができればラッキー。仮に通しとなってしまっても、あちらのターンでは【3】を取るために【2】が出てくる可能性が高まる)

七星

(どちらに転ぼうが、私にとっては有利にことが運んでくれるはず)

七星、絵本を伏せて出す。

七星

セット!

七星

(ここでさっきの私を追いかけて【ノンオープン】を仕掛けてきたら儲けものだが)

十一月二十九日

ん、もち【ノンオープン】だ。

七星

(……かかった!)

七星

(ここで宣言する。私には二度と通用しないと言い放った、初っ端からの【3】潰し)

七星

(しかし残念だったな……。私の選んだナンバーは【3】ではなく)

十一月二十九日

うーん、じゃ【1】で。

七星

(……なんだと!?)

見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

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