テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

第58話 - バトル９　カウントアップゼロ【６】

2025年01月23日

#ミステリー

#心理戦

#デスゲーム

#推理

#第4回テノコン

日比野響

先ほどの自分と同じように、初手での【ノンオープン】に誘い込んだつもりだった七星。

あえて初手で【３】を回避し、失策したら相手に【３】を取られてしまうという、ある意味愚策を講じたわけだが、まさかそれが本当に愚策になってしまうとは思わなかった。

七星

(なぜだ？)

七星

(なぜ、ピンポイントでナンバーを当ててくる？)

初手で【ノンオープン】まで誘い込んだまでは良かった。

しかし、そこでまさか、ピンポイントで七星の出したナンバーを当ててくるなんて、まるで予期できていなかった。

十一月二十九日

さ、確認させてくれ。

七星

(もし【ノンオープン】を失敗していたら、私にポイントが入っていたんだ。なぜ、この男は迷うことなく、しかもまず選ばれないであろう【１】を当てることができたんだ？)

七星

――相変わらず見事だな。よくも、こんな変則的な出し方をしたナンバーを当てられたものだ。

オープンされた七星のナンバーは……【１】。

十一月二十九日

まぁ、なんていうか――俺、見えちゃうんだよね。

十一月二十九日

相手がなに考えてるのかがさ。

七星

(この男の余裕。まさか、本当に私の心が読めているのか)

七星

(いや、仮に万が一にもそうだったとしたら、二戦目で私が初手の【ノンオープン】を仕掛けてくることも予測できたはず。だが、こいつはそこで失点しているんだ)

七星

(この男の言ってることは、勝負を有利に運ぶための戯言でしかない)

七星

(だが、気になる)

七星

(なぜ、ピンポイントで私のナンバーを当てることができるんだ？)

七星

(ただ、当てずっぽうがたまたま続いているだけか？)

七星

(可能性はゼロではないが、しかし疑う余地はある)

十一月二十九日

これで俺が２ポイント。

十一月二十九日

次、俺が取れば、俺の勝ちだ。

ゲーム開始からしばらく、とうとう追い詰められてしまった七星。

次はなんとしてでもポイントを取らねば負けてしまう。

七星

取れればいいな……。

警戒をしつつも、次のゲームへと移る。

次は十一月二十九日が先攻。

七星

(十一月二十九日になにもさせずに勝つためには、初手で【ノンオープン】を仕掛けるしかないが、どうもセオリーから外れたことをやりたがるらしい。ここは大人しく様子を見たほうがいいかもしれない)

十一月二十九日

それじゃ、俺はこいつにするぜ。

十一月二十九日

セット。

十一月二十九日が絵本を伏せる。

気味の悪い水玉模様が、七星のことを見つめていた。

七星

ここは【オープン】だ。

先ほどのはセオリーという根拠があるからこそ成立した奇襲であって、二度目は多少なりとも警戒される。

ゆえに、七星は【ノンオープン】を温存する。

十一月二十九日

あ、そう。

七星の宣言を受けて、十一月二十九日、絵本をオープン。

浮かび上がった数字は……【２】。

十一月二十九日

さっきみたいに元気よく【３】を宣言してくれると思ったのによ。

やはり十一月二十九日はセオリーを無視。

七星

(ここで【ノンオープン】を仕掛けていたら危なかったな。だが、おかけで次が迷いどころだ)

七星

(合計値を【３】にするためには、ここで【１】を出す必要がある。合計値を【３】にすれば有利に立ち回れるが、それだけこの場面で【１】を出す根拠が強くなる)

七星

(そこに絞られて【ノンオープン】を仕掛けられたら、目も当てられないぞ)

七星

(だが、かと言ってセオリーを外しても……。いや、ここはあえて勝負に持ち込むか)

七星、絵本を選択。

選んだナンバーは……【３】だった。

七星

(ここが通ってくれれば、合計値は【５】となる。つまり、次で【２】を通せば十一月二十九日の勝ちという状況になる。あえて、その環境を作っておいて、そこで勝負できれば――)

七星

セットだ。

絵本を伏せるとセットを宣言する。

十一月二十九日

んー、どうするかなぁ。

十一月二十九日

なんだか【ノンオープン】の応報戦だけじゃ、ゲーム的につまんねぇしなぁ。

十一月二十九日

ここは……通すか。

十一月二十九日

【オープン】だ。

あえてセオリーから外した七星の一手。

十一月二十九日は【ノンオープン】を宣言せず。

七星

そうか――。ならば、少しばかり場が荒れそうだな。

七星が絵本をオープン。

出したナンバーは【３】であるがゆえに、これで合計値は【５】となる。

次で【２】を通せば、十一月二十九日の勝ち。

十一月二十九日

へぇ、面白い出し方をするねぇ。

七星

どうやら正攻法では貴様に勝てないようだからな。

セオリーを崩してくる相手には、こちらもセオリーを崩していくしかない。

十一月二十九日

それじゃ、今度は俺の番だな。

七星

(ここまで勝負をしてきて、合計値が【７】になったことはない。だからこそ、この男――最後は【７】を成立させて勝とうとするはず)

七星

(残念ながら確信はない。確信はないが、私が見た十一月二十九日という男は、おそらくそのようなタイプ)

七星

(どうせ勝つなら、地味な勝ち方ではなく派手な勝ち方をするはずだ)

七星

(ならば、私がすべきことはひとつだけ)

十一月二十九日

セット。

十一月二十九日がセットするとほぼ同時だった。

七星

【ノンオープン】だ！

ここで七星仕掛ける。

十一月二十九日という男の傾向から考える、彼女なりの答え。

それは――。

七星

ナンバーは【２】だ！

すなわち、十一月二十九日の【７】狙い！

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