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さくらは教科書に載っている写真を見つめた。
まあるい耳の、ふわふわとした、可愛らしいぬいぐるみが朝日の中でほこりを払っている。
それはとっても愛らしくて、ちょっとシュールだった。
見てると心が暖かくなる様な、小さな幸せを感じる。
ひかるは文章中の「ぬいことば」という単語が気になったのか指でなぞったりして首を傾げている。
あおいは興味のあまり少し身を乗り出している。
特に、「おたすけぬい」の部分になると、うんうんと頷いている。
読み終えると先生はチョークを置いて体をこちらへ向けた。
桐野先生
桐野先生
桐野先生
その問い掛けに真っ先に手を挙げたのはあおいだった。
あおい
あおい
あおい
先生は嬉しそうに頷いて
桐野先生
桐野先生
さくらも、それを見てそっと手を挙げた
さくら
クラスから軽く笑いが零れた
でもさくらは真剣だった
先生は少しいたずらっぽい微笑みを浮かべて
桐野先生
桐野先生
それを聞いてひかるが軽くさくらの肩をつついた。
ひかる
それを聞いてさくらはぱっと笑顔になった。
さくら
あおい
春の光が黒板の白らかな文字の上できらり、と揺れた。
ぬいぐるみの国の話は子供達の心の中に小さなふわふわの種を落としていくのだった。