誰かに恋をする
それは誰にでもあること
好きになったら
自分の気持ちを素直に 伝えればいい
そう単純に考えていた
あの子に出会うまでは
先生
カナタ
今は高校2年の7月
カナタ
勘ぐりはしない方だけど
前の学校のままの制服が
少し気になった
マキ
マキ
カナタ
カナタ
俺は彼女の整った容姿から
目が離せなかった
カナタ
カナタ
先生
マキ
カナタ
カナタ
時田がゆっくりと、俺の隣を通り過ぎる
石鹸の清潔な香りが、鼻腔をくすぐった
玲奈
隣の席の女子が、時田に声をかける
玲奈
マキ
マキ
玲奈
マキ
紬
紬
紬
カナタ
時田マキは
転校初日から クラスで浮き始めていた
昼休み
カナタ
カナタ
蒼
カナタ
蒼
カナタ
蒼
蒼
昼休みも一人
黙々と弁当を食べている
カナタ
俺の視線は、 時田マキの小さな弁当箱に向けられている
蒼
蒼
カナタ
蒼
カナタ
だからといって
カナタ
カナタ
カナタ
紬
紬
紬
玲奈
マキ
マキ
マキ
カナタ
カナタ
紬
玲奈
玲奈
前の学校で 何やらかしたの?
その言葉が
俺の頭に残った
放課後
悩み事を抱えておくのは、性にあわない
部活仲間の従兄弟に、相談する事にした
カナタ
カナタ
カナタ
進
カナタ
進
進
進
カナタ
進
進がため息をついて
サッカーボールを蹴り飛ばした
ボールは真っ直ぐとゴールへ向かって飛んでいく
俺は進みたいに器用じゃないから
練習よりも、試合よりも
自分が大切
進
進
カナタ
カナタ
進
進
カナタ
正直、考えていなかった
ただこのモヤモヤが晴れれば、それで良い
それだけ
進
進
カナタ
進
カナタ
カナタ
何にたいしてもドライで
冷静な判断の出来る進
歳は、一つしか変わらないのに
進はすごく大人に見えた
進
進
進
カナタ
カナタ
進
2週間後
紬
カナタ
女子達はこりもせず
時田マキに声をかける
カナタ
カナタ
カナタ
なんて思ってた
玲奈
紬
マキ
カナタ
不意に、この間の会話を思い出す
蒼
蒼
カナタ
紬
紬
マキ
マキ
玲奈
玲奈
紬
紬
カナタ
カナタ
女子校がどうとか…
玲奈
玲奈
玲奈
マキ
マキ
時田が身を乗り出して窓の外を見る
そこに誰かを見つけたのか
慌てて教室を飛び出す
紬
玲奈
紬
紬
時田の様子が気になって
窓の外を覗く
校門前には 他校の女子高生が居た
時田と同じ制服の…
カナタ
カナタ
じっと様子を見ていると
時田がその女子高生の元へと駆け寄る
もちろん、ここからでは会話の内容はわからない
マキ
時田は
泣いているように見えた
紬
紬
紬
玲奈
紬
玲奈
時田は女子高生の肩に寄りかかる
カナタ
あんな時田を
見たくなかった
放課後
カナタ
カナタ
カナタ
進
カナタ
カナタ
カナタ
進
進
カナタ
気づき始めたこの気持ち
無かった事には出来ない
カナタ
進
カナタ
カナタ
進
カナタ
カナタ
カナタ
進
進
進
進
カナタ
カナタ
進
カナタ
カナタ
普通とか
普通じゃないとか
何が良くて
何が悪いんだろう?
答えの出ないまま
次の日になり
マキ
時田はいつも通り
授業を受けている
玲奈
紬
カナタ
カナタ
時田を守れるのは
自分しか居ない
そう強く思った
授業が終わると同時に
教室を飛び出す
蒼
蒼
カナタ
カナタ
カナタ
俺は校門に向かって走った
カナタ
カナタ
門の前に…あの子は居た
泣きそうな表情で、校舎を見上げている
カナタ
ミク
カナタ
ミク
ミク
女の子が不思議そうに俺の顔を見る
カナタ
カナタ
カナタ
カナタ
ミク
ミク
ミク
“人を待ってる”
カナタ
カナタ
ミク
ミク
ミク
カナタ
人を避ける仕草と
言葉が
時田と重なって見えた
カナタ
カナタ
ミク
カナタ
カナタ
ミク
カナタ
カナタ
ミク
カナタ
カナタ
カナタ
カナタ
カナタ
最悪…
カナタ
カナタ
カナタ
自分が想いを伝えられないからって
俺、八つ当たりしてる
ミク
ミク
ミク
時田の元カノは
泣きそうな顔でその場から立ち去った
カバンを取りに教室へ戻る
蒼
カナタ
蒼
蒼
カナタ
“変な感じ”
“嫌なやつ”
それが、今の自分
カナタ
やっと分かった
俺は時田が好きだ
だけど『好き』とか
『恋』って
もっと…
綺麗なものだと 思っていた
次の日
カナタ
時田は学校に来なかった
その次の日も
時田は学校を休んだ
カナタ
クラスメイトに からかわれても
元カノに、寄り添って帰った次の日だって
学校に来ていたのに
玲奈
紬
紬
玲奈
玲奈
紬
紬
カナタ
女子の甲高い声が頭に響く
玲奈
玲奈
紬
紬
玲奈
玲奈
カナタ
ガタッ
蒼
カナタ
カナタ
玲奈
紬
紬
カナタ
カナタ
カナタ
玲奈
カナタ
カナタ
カナタ
蒼
蒼
蒼に注意されなかったら
机を蹴り飛ばしていたかもしれない
カナタ
一言だけ残して
教室を出た
真っ先に向かったのは 保健室
カナタ
学校を早退する勇気が 俺には無かった
保健室の先生
保健室の先生
カナタ
カナタ
保健室の先生
保健室の先生
カナタ
横になりたい
休んで、あの2人に謝って
カナタ
考えただけで頭が痛い
ガラガラ
保健室には先客が居た
カナタ
マキ
カナタ
カナタ
カナタ
カナタ
…時田が好きなのに、まともに話した事も無い
マキ
マキ
カナタ
カナタ
カナタ
マキ
マキ
マキ
マキ
カナタ
カナタ
カナタ
ずっと気になっていた
マキ
時田の具合
時田と元カノの関係
マキ
マキ
マキ
カナタ
カナタ
マキ
マキ
マキ
マキ
時田のぎこちない笑顔に、胸が痛む
カナタ
カナタ
彼氏になんてなれないけど
話し相手くらいには、なれるからさ?
マキ
マキ
マキ
カナタ
マキ
マキ
マキ
カナタ
マキ
カナタ
カナタ
カナタ
マキ
マキ
カナタ
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
話しながら天井を見上げる時田の目から
透明な粒がこぼれ落ちる
空から舞い落ちる 小雨のように
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
カナタ
カナタ
カナタ
カナタ
マキ
気がついたら俺は、時田を抱きしめていた
マキ
マキ
そして、思いっきり突き飛ばされる
マキ
時田が肩を掴んで震えた
カナタ
悪いとは思うのに…
抱きしめた肩が思ったより小さかった事
手に触れた腕が 柔らかかった事に
ドキドキしていた
カナタ
時田の顔は、少し赤い
だけど
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
マキ
カナタ
ギュッと唇を噛みしめる
カナタ
思い知った
俺の“好き”はきっと
時田や 時田の元カノみたいに
“綺麗”じゃない…
カナタ
マキ
カナタ
カナタ
カナタ
カナタ
気づいてしまった
カナタ
俺はきっと、時田を壊してしまうと
時田の心の中から、無理やり元カノを追い出して
自分だけの物に、してしまいしたかった
カナタ
カナタ
一番身勝手なのは俺
クラスの女子達よりも、時田を理解したつもりでいて
本当は誰よりも、二人の仲を許せないでいる
カナタ
カナタ
天井を見上げると、鼻の奥がツンと痛む
カナタ
カナタ
カナタ
元カノを想って泣く時田を
今までで一番
美しいと思った
コメント
6件
人それぞれの考えがありますもんね.... 主人公は時田さんのことを思いすぎたんでしょう.... 主人公、メラメラと恋心が燃えてますね~
自分の考えが正しいと思う主人公…若い男の子の真っ直ぐな感情が伝わりました
ギャーギャー騒ぐ外野に啖呵を切ったのはスカッとしたけれど「俺が理解してやる」「俺が忘れさせてやる」というのは若いが故の傲慢ですね…