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新学期が始まりましたが皆さまいかが お過ごしでしょうか... sora自身なにかと多忙を極めてますが寒すぎてそれどころじゃないです()

今回本編では無いんですけど、みんな過去編は2話ずつ書いてるので特別に勇者一家編を書こうと思います!

いうて一話だけなんですけどね。 波乱の魔王討伐編に突入する前にゆるっと見てってください!そんなにゆるっとできる内容じゃないけど...

2025/01/17投稿

第60話

「オリウィン」

赤ん坊

んぎゃーっ!!んぎゃー!!

おぉ...!!

やった!!やったぞ男の子か!!

はぁ...あなたはたとえどっちでもその反応でしょう....w

そりゃそうだ第一子だぞ!

お前も頑張ったな、ありがとう

そう言って母親の長い髪をなでる父親。 彼らにとってその赤ん坊は、待ちわびた大望の我が子だった。

....この子も、叔父様みたいになるのかしら

男の子だもの。尚更だわ

ひげがフサフサになるってことか?

違うわよ!w

ふはっwwだろうなw

...まぁ、体を壊さず元気に育ってくれればいい

自分が嫌なことは嫌と言えるような子になるよ

言うだけじゃダメよ...運命からは逃げれないわ

赤ん坊は宿命と共に産まれてきた。

「勇者一族の当主になる」

その小さな体には到底背負いきれないほどの大役だった。 両親ともにそれをわかっていたのだろう。産まれる前からそのことを哀れんでいた。

じゃあこの星の裏側まで逃げれるような子にしよう

俺たちの子だ。運動神経は抜群だぞ

ふふっ...wほんとかしら?w

赤ん坊

おぎゃーーっ!!

おぉよしよし...力強い泣き声だな!

それでも悲しみに包まれているわけではなく、2人は紛れもなく幸せだ。

しかしそれは過去形に過ぎない。

いずれ大きな不幸の渦が、この家族を飲み込んでいくのだった。

ふぅ....さすがに遠いわね

大丈夫か?ちょっとそこに座ろう

あーっ(手を伸ばす

おぉ〜、初兎。どうした?寒いか?

うっ、あっ!

あーっ!

この子は元気ね...w

子供が生後1ヶ月になったばかりに親族へのお披露目会が開かれた。 北の山奥の一軒家であるその会場に向かうのは険しい道のりだ。

産後の母親の体調を気遣いながらの旅だった。

なにもこんな山奥でやらなくてもねぇ...

せめてふもとの村でやってくれればいいのに

それもそうだな

でも伝統なんだろ?

そうよ。面倒くさい伝統ね

うーっ?

あんまりそういうことを言うんじゃないぞ...w

いつかオリウィンに生まれてよかったと思う日がくるよ

そうかしら?

俺も同じだから

人の命を救える力を持てたんだ。神様からの最高のギフトだよ

両親は2人とも冒険者だった。 母はオリウィン一族であり父は曽祖父から続く剣士の家系だったが、2人は対等で身分などは関係無かった。

「人を助けるためにモンスターと戦う」という信念を共に持っている冒険者で、 己の力をすべて人のために使うような、そんな夫婦なのだ。

...ギフト、ね

私たち恵まれているわね

こんな可愛い子供もいて、幸せだよ

ほんと...

守らなきゃ

そうだな

この子も、あの村も、絶対に...(初兎を抱きしめる

うー...?

当主(叔父)

よく来たな。大変だったろう

お久しぶりです

お元気そうでなによりです!

当主(叔父)

あぁ、お前たちも

当主(叔父)

その子が?

あーっ!

母親が顔を見せようと近づくと、赤子は目の前にあったふさふさの白い髭で遊び始めた。 長旅で退屈していたのだろう。それはもう絶好のおもちゃだった。

あぁっ初兎!?

当主(叔父)

...いいんじゃ

当主(叔父)

赤子はみんなすることだよ(ニコッ

(当主さんが笑った...)

当主はなかなか笑顔を見せない人だったものだから、父親は顔に出るほど驚いた。 それを見て母がくすくすと笑う。

当主も抱きますか?

当主(叔父)

...あぁ、ぜひ

きゃっ、きゃっ!

嬉しそうだな...

気に入ったのかもね、w

当主(叔父)

初兎の誕生を祝って

乾杯!!

親戚たち

綺麗な目の子供じゃないか!美形だな!

親戚たち

父親似ね

狭い山奥の一軒家なので、少ない親戚の数でもすし詰め状態だ。 料理と人で埋め尽くされている。

親戚は全員で9人。 最も一族が栄えていた時代とは比べ物にならないほど少なかった。

親戚たち

もう子供は生まれないと思っていたから希望の光じゃ....

親戚たち

そうねぇ兄さん

...

新しい子供は当主になるのだという共通認識を母親は黙って聞いていた。 彼女の感情が入り交じった険しい顔に気づいているのは父親と現当主くらいだっただろう。

親戚たち

....それはそうと、お前たちはもうすぐあの村から引っ越すんだろう?

親戚たち

どこに住むんだ

いいえ....引っ越さないわ

あの村でこの子を育てるつもりよ

親戚たち

はぁ?戦争激化地区で子育てをするつもりか?

そうよ

母親の顔は強かった。 しかし、親戚一同それくらいで引き下がる者たちではない。ここにいる半数以上は剣士として鍛錬を積んできた人間だった。

親戚たち

その子がどれだけ大切な子なのかわかるでしょうに...

しかし、私たちがあの村から離れてしまえばあの村はモンスターに乗り込まれてしまいます

近くの森にはうじゃうじゃといるんです。それに、村に住む冒険者は私と彼女だけで__

親戚たち

みんな家族の身を案じて提案しているんだ。分からないのか

村の人達の命と一族の継承を天秤にかけるの?

それが本当に勇者セルフィウスの望んだことだと思っているの!?

親戚たち

やめなさい!

親戚たち

産後の体に障るわ。声を荒らげないで

っ....

自身の母親に止められ上がった息を整える。彼女の顔は真っ青だった。

なにが戦争激化地区よ...

私たちの故郷はあそこよ。そうでしょ母さん

親戚たち

それは...そうね

当主もカンティッドが故郷ですよね、?

当主(叔父)

....あぁ

当主(叔父)

わしの故郷は今も昔もカンティッドじゃ

当主(叔父)

しかし

ほっと緩んだ顔をした夫婦に間髪入れず続きを言った。

当主(叔父)

戦争が起きるほど不安定なのは事実であり、その子の負担になるかもしれないのもまた事実なのに変わりは無い

当主(叔父)

跡継ぎ云々はともかく、その子のことを思うならあの村は危険だ

っ....

...戦争からは僕らが守ってみせます

信じてください。初兎も彼女も絶対に死なせません

父親はもちろんオリウィンの者では無いが、剣士としての能力は冒険者の中でずば抜けて高かった。

パーティーは組んでいないものの、個人のランクはS相当だ。 母親のランクはAだった。

当主(叔父)

....そうか

親戚たち

いいのか当主?最後の子供かもしれないんじゃぞ

当主(叔父)

....

当主(叔父)

祝いの席ということを忘れていたな

当主(叔父)

今はその子の誕生を祝おう

あーっ!

当主の顔には笑顔が浮かんだ。

はぁ....近頃何もかも値段が高いわね

村長はもう少しで外からいろいろ入ってくると言ってたんだがなぁ

...街道からこの村までの道がふさがれたんだろうな。きっと

あそこ以外に道なんてないのに...

カンティッド村は都市から遠く、主要な道もひとつしかないような場所だったが、村民の数は多かった。

道が閉ざされたのが原因で輸入が出来なくなったようだ。 1部の品の値段が上がり、それにつられて経済が滞ってしまっていた。

この前、向こうの兵士がモンスターに襲われていた

助けたのよね?

あぁ

でも村にかなり近づいていたから、少し心配だな

政治もどんどんこじれていってるみたいだし、今みたいな生活も長くは続かないかも....

古くから抱えていた領地問題の悪化により起こった各領の派閥での戦争。 カンティッド村は最前線に近い場所だった。

〈 オリウィンさんお手紙でーす

はーい!

あーっい!

お、初兎も一緒に出るか!

ふふっw行ってらっしゃいw

スー...スー....zZZ

初兎は寝つきがいいわねぇ...(優しく撫でる

どんな子になるんだろうな

うーん...

素直で真っ直ぐで、芯の強い子....かしら

剣術を極めようが極めまいが、人のために動けるような子になってほしいわね

...そうだな

もし叔父さんの手ほどきを受けたら、すごい子になるだろうなぁ

っ....

昼過ぎに届いた手紙にはこんなことが書かれていた。

「トムソン・オリウィン 死去。 よって一族の誓いを立てる。」

トムソンは、夫婦以外に唯一子孫を残せる可能性があった従兄弟違いだった。 結婚していなかった上に40半ばという年齢だったが、一族が少しの希望を見ていたのは確かであった。

「一族の誓い」

手紙の中に誓いについての説明は一文も無かったが、夫婦はその内容を理解していた。

叔父さんなら絶対に不自由なく育ててくださるのはわかってるわ

でも....私たちが育てたい....っ

....そう、だな(背中をさする

決めた道はもう変えれないけど、その中でどれだけいい選択をできるかだろう?

"今"を見よう。3人で、一緒に

戦争の激化は止まることを知らず、村は誰が見ても危険な状態だった。 家の塀が壊れ、畑も荒れ、兵士が常に巡回している日々。

それでも村に残ることを選んだ一家にオリウィン一族が立てた誓い。それは 「なにがあっても子供は死なせない」 そんな内容だった。

村はもう長くないことを、夫婦も一族もわかっていたのだ。

そうね.....

大好きよ、初兎

愛してるぞ

"俺たちの宝物"

チュッ

すやすやと寝息を立てる我が子の頬に、 そっとキスを落とした。

とぉぉっ!(ヨタヨタ

元気いっぱいだなぁ!初兎は!(抱き上げる

げんき!

ふふんっ....♪

ドゴォォォォッッ"!!!

ビクッ

近所の店前での昼下がり。 刹那、まるで地鳴りかのような振動と 轟音が親子を襲った。

なッ....向こうか、

店の人

大丈夫かいあんたたち!!

店の人

早く中に入んな!

...すまない。初兎、ここで待てるか?

おとーさん、は....?

家まで戻って母さんの様子を見てくるよ

店の人

戻るってこと?大丈夫なのそれ?

大丈夫です!すぐ迎えに来ます

少しの間、初兎をお願いします

背を向けて駆け足で道を行く父親。 子供の瞳に、強くその姿が焼き付いた。

店の人

オリウィンさーん!?

う"ぅ.....

おと、さ....っ(ウルッ

店の人

あらら

店の人

初兎くんはこっちにおいで。お店は安全だから(抱き上げる

う"〜っ....グスッ

爆発音の正体は、村に侵入した敵の投げた大量の爆弾だった。 被害は今までよりも大きく、村は1日経っても混乱がおさまらないほどだ。

家は無事だったものの、父親の顔は無事では無かった。

イタイ....

母からの強烈なビンタを食らって悶えている。

まったく....初兎と村の人を置いて家の様子を見に来るなんて....!!

いや、家じゃなくて君の様子を__

どっちでもいいわよ!

近くにいる人を守らないでどうするの!!‪💢

すまない....

わぁ....

子も恐ろしがるほどの形相だったようだ。

はぁぁ....それにしても被害が大きすぎない?

なにか起きそうだ

今日はなるべく家に__

ドゴォォォッン"!!!!

ビクッ

う"...ぇっ"、ボロボロ(泣

ドォォオオォォッ"ン!!!!!!

あ"〜〜っ"!!(泣

連続的な爆発音が響く。 家はグラグラと揺れ、鍋も置き物も写真も全て倒れた。

なに....!?(初兎を抱きしめる

ヒュルルル__

っ!

こっちにこいお前たち!!!

ドッカァァァァァンッッ!!!

間一髪で父親が2人を引っ張る。 屋根を突き破って飛んできたのは爆弾だった。

1秒前まで座っていた椅子の上には、焦げた屋根の木材が煙を上げて落ちてきていた。

はぁっ...はっ....

怪我は無いか!?

い"やぁぁぁ"ッ!!あ"ぁぁ"!!ポロポロ(暴れる

大丈夫だ、初兎。大丈夫...

あなた....っ

....

"ここはもうダメだ"

外の騒音で母親には聞こえていなかったが、父親はそう呟いた。

「ここ」の指す場所は家では無い。 村全体だった。 戦争によって村が消滅する未来が、父親には見えたのだ。

外のみんなは大丈夫かしら....

俺が見てくるよ

お前は初兎と安全なここで待っててくれ

えぇ、気をつけて

燃え盛る業火を前に手早く準備を始める2人。

連続的な攻撃が続いたあの日から1週間後だった。

火に囲まれているのを不思議そうに大きな瞳で見つめている子供を、大きな扉の着いた棚の中に座らせる。

初兎....あなたは私たちの宝物よ

頭を撫で、愛おしそうに名前を呼ぶ。 もう会えない我が子の姿を目に焼き付けていた。

愛してるぞ、初兎

っ.....?

両頬にキスをされて不思議そうに両親を見つめているのも束の間、扉がゆっくりと閉められた。

おと...さ、おかぁさん....、?

真っ暗な世界に独り取り残された子供は、名前は呼ぶものの扉を開けようとはしなかった。

ゆっくりと意識を手放していく。

スー...スー....

外の炎とは対照的に涼しいその場所に、静かな寝息が響いていた。

入り切らなかったので軽く補足タイムでございます。もっと上手く書くつもりだったんです許してください(

いや文字ちっちゃ....(小声)

とてもとても見にくいんですけど、下線引いてる人が赤ちゃんお披露目会に来てた人です。 呼び方はしょさん目線で書いてます。こんな遠い親戚の名前呼んだことないので間違ってたらすみません...

途中でお亡くなりになったトムソン・オリウィンは従兄弟違に当たります。 ちなみに現在生きているオリウィン一族は4人だけです。少なっっっ

補足タイム以上!! 次回お楽しみに〜!

無謀なクエスト挑戦中

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371

コメント

10

ユーザー

これからどうなるのかな…? 続き楽しみにしてます!(*ˊᗜˋ*)

ユーザー

毎回発想が天才すぎるぅ✨ 続き楽しみです!!!

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