新学期が始まりましたが皆さまいかが お過ごしでしょうか... sora自身なにかと多忙を極めてますが寒すぎてそれどころじゃないです()
今回本編では無いんですけど、みんな過去編は2話ずつ書いてるので特別に勇者一家編を書こうと思います!
いうて一話だけなんですけどね。 波乱の魔王討伐編に突入する前にゆるっと見てってください!そんなにゆるっとできる内容じゃないけど...
2025/01/17投稿
第60話
「オリウィン」
赤ん坊
父
父
母
父
父
そう言って母親の長い髪をなでる父親。 彼らにとってその赤ん坊は、待ちわびた大望の我が子だった。
母
母
父
父
母
父
父
父
母
赤ん坊は宿命と共に産まれてきた。
「勇者一族の当主になる」
その小さな体には到底背負いきれないほどの大役だった。 両親ともにそれをわかっていたのだろう。産まれる前からそのことを哀れんでいた。
父
父
母
赤ん坊
父
それでも悲しみに包まれているわけではなく、2人は紛れもなく幸せだ。
しかしそれは過去形に過ぎない。
いずれ大きな不幸の渦が、この家族を飲み込んでいくのだった。
母
父
紫
父
紫
紫
母
子供が生後1ヶ月になったばかりに親族へのお披露目会が開かれた。 北の山奥の一軒家であるその会場に向かうのは険しい道のりだ。
産後の母親の体調を気遣いながらの旅だった。
母
母
父
父
母
紫
父
父
母
父
父
両親は2人とも冒険者だった。 母はオリウィン一族であり父は曽祖父から続く剣士の家系だったが、2人は対等で身分などは関係無かった。
「人を助けるためにモンスターと戦う」という信念を共に持っている冒険者で、 己の力をすべて人のために使うような、そんな夫婦なのだ。
母
母
父
母
母
父
母
紫
当主(叔父)
母
父
当主(叔父)
当主(叔父)
紫
母親が顔を見せようと近づくと、赤子は目の前にあったふさふさの白い髭で遊び始めた。 長旅で退屈していたのだろう。それはもう絶好のおもちゃだった。
父
当主(叔父)
当主(叔父)
父
当主はなかなか笑顔を見せない人だったものだから、父親は顔に出るほど驚いた。 それを見て母がくすくすと笑う。
母
当主(叔父)
紫
父
母
当主(叔父)
乾杯!!
親戚たち
親戚たち
狭い山奥の一軒家なので、少ない親戚の数でもすし詰め状態だ。 料理と人で埋め尽くされている。
親戚は全員で9人。 最も一族が栄えていた時代とは比べ物にならないほど少なかった。
親戚たち
親戚たち
母
新しい子供は当主になるのだという共通認識を母親は黙って聞いていた。 彼女の感情が入り交じった険しい顔に気づいているのは父親と現当主くらいだっただろう。
親戚たち
親戚たち
母
母
親戚たち
母
母親の顔は強かった。 しかし、親戚一同それくらいで引き下がる者たちではない。ここにいる半数以上は剣士として鍛錬を積んできた人間だった。
親戚たち
父
父
親戚たち
母
母
親戚たち
親戚たち
母
自身の母親に止められ上がった息を整える。彼女の顔は真っ青だった。
母
母
親戚たち
母
当主(叔父)
当主(叔父)
当主(叔父)
ほっと緩んだ顔をした夫婦に間髪入れず続きを言った。
当主(叔父)
当主(叔父)
母
父
父
父親はもちろんオリウィンの者では無いが、剣士としての能力は冒険者の中でずば抜けて高かった。
パーティーは組んでいないものの、個人のランクはS相当だ。 母親のランクはAだった。
当主(叔父)
親戚たち
当主(叔父)
当主(叔父)
当主(叔父)
紫
当主の顔には笑顔が浮かんだ。
母
父
父
母
カンティッド村は都市から遠く、主要な道もひとつしかないような場所だったが、村民の数は多かった。
道が閉ざされたのが原因で輸入が出来なくなったようだ。 1部の品の値段が上がり、それにつられて経済が滞ってしまっていた。
父
父
母
父
母
古くから抱えていた領地問題の悪化により起こった各領の派閥での戦争。 カンティッド村は最前線に近い場所だった。
〈 オリウィンさんお手紙でーす
父
紫
父
母
紫
母
父
母
母
母
父
父
母
昼過ぎに届いた手紙にはこんなことが書かれていた。
「トムソン・オリウィン 死去。 よって一族の誓いを立てる。」
トムソンは、夫婦以外に唯一子孫を残せる可能性があった従兄弟違いだった。 結婚していなかった上に40半ばという年齢だったが、一族が少しの希望を見ていたのは確かであった。
「一族の誓い」
手紙の中に誓いについての説明は一文も無かったが、夫婦はその内容を理解していた。
母
母
父
父
父
戦争の激化は止まることを知らず、村は誰が見ても危険な状態だった。 家の塀が壊れ、畑も荒れ、兵士が常に巡回している日々。
それでも村に残ることを選んだ一家にオリウィン一族が立てた誓い。それは 「なにがあっても子供は死なせない」 そんな内容だった。
村はもう長くないことを、夫婦も一族もわかっていたのだ。
母
母
父
父
チュッ
すやすやと寝息を立てる我が子の頬に、 そっとキスを落とした。
紫
父
紫
紫
ドゴォォォォッッ"!!!
紫
近所の店前での昼下がり。 刹那、まるで地鳴りかのような振動と 轟音が親子を襲った。
父
店の人
店の人
父
紫
紫
父
店の人
父
父
背を向けて駆け足で道を行く父親。 子供の瞳に、強くその姿が焼き付いた。
店の人
紫
紫
店の人
店の人
紫
爆発音の正体は、村に侵入した敵の投げた大量の爆弾だった。 被害は今までよりも大きく、村は1日経っても混乱がおさまらないほどだ。
家は無事だったものの、父親の顔は無事では無かった。
父
母からの強烈なビンタを食らって悶えている。
母
父
母
母
父
紫
子も恐ろしがるほどの形相だったようだ。
母
父
父
ドゴォォォッン"!!!!
紫
紫
ドォォオオォォッ"ン!!!!!!
紫
連続的な爆発音が響く。 家はグラグラと揺れ、鍋も置き物も写真も全て倒れた。
母
ヒュルルル__
父
父
ドッカァァァァァンッッ!!!
間一髪で父親が2人を引っ張る。 屋根を突き破って飛んできたのは爆弾だった。
1秒前まで座っていた椅子の上には、焦げた屋根の木材が煙を上げて落ちてきていた。
母
父
紫
父
母
父
父
外の騒音で母親には聞こえていなかったが、父親はそう呟いた。
「ここ」の指す場所は家では無い。 村全体だった。 戦争によって村が消滅する未来が、父親には見えたのだ。
母
父
父
母
燃え盛る業火を前に手早く準備を始める2人。
連続的な攻撃が続いたあの日から1週間後だった。
火に囲まれているのを不思議そうに大きな瞳で見つめている子供を、大きな扉の着いた棚の中に座らせる。
母
頭を撫で、愛おしそうに名前を呼ぶ。 もう会えない我が子の姿を目に焼き付けていた。
父
紫
両頬にキスをされて不思議そうに両親を見つめているのも束の間、扉がゆっくりと閉められた。
紫
真っ暗な世界に独り取り残された子供は、名前は呼ぶものの扉を開けようとはしなかった。
ゆっくりと意識を手放していく。
紫
外の炎とは対照的に涼しいその場所に、静かな寝息が響いていた。
入り切らなかったので軽く補足タイムでございます。もっと上手く書くつもりだったんです許してください(
いや文字ちっちゃ....(小声)
とてもとても見にくいんですけど、下線引いてる人が赤ちゃんお披露目会に来てた人です。 呼び方はしょさん目線で書いてます。こんな遠い親戚の名前呼んだことないので間違ってたらすみません...
途中でお亡くなりになったトムソン・オリウィンは従兄弟違に当たります。 ちなみに現在生きているオリウィン一族は4人だけです。少なっっっ
補足タイム以上!! 次回お楽しみに〜!
コメント
10件
これからどうなるのかな…? 続き楽しみにしてます!(*ˊᗜˋ*)
毎回発想が天才すぎるぅ✨ 続き楽しみです!!!
うわわわぁ ... 悲しいですねぇ ... 😭