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時刻は、丁度7時
思ったより、早く学校に着いた
────何時もよりも歩幅を… 歩く速度を…上げていたからかも知れない…、
まだ、校門の前にすまない先生は居ない
────それも、その筈だ
皆が登校する時間よりも 1時間以上、早く来ているのだから…
分かっている…
分かっているはずなのに…
不安と恐怖に心臓を掴まれ 締め付けられるような痛みを感じて、苦しい
息が出来ず、肺が破裂しそうな程に
──ガラッ──
教室の扉を開ける
密閉されていた教室の空気が ふっと、動いた様な気がした
何時もなら絶対にしないが 教室の窓を、ひとつ開ける
カラカラカラ、と アルミニウム製の窓枠の上を滑らせた
タイミングを見計らっていたのか 風が滑り込むように、サラリと入る
木々や、花壇の花の間を通り抜けた風が 朝露に濡れた草木の匂いと共に
ヒュッと、頬を掠め 教室内に、跳ねる様に流れていく
────ふと、時計を見た
カチ、カチ、と 規則正しく時を刻んでいる
秒針の進む音だけが響く教室には
周囲の音を、少しだけ掠め取る様な
何処か夜の海に似た 静かで、穏やかな静寂が訪れた
Mr.ブラック
───気付けば、もう7時30分
いつの間にか、30分が経っていた
……もう少しすれば、皆が来る
それまで…気を紛らわせたくて 席に着き、パソコンの電源を付けた
キーボードにそっと指が触れた瞬間
ガラッと、教室の扉が開いた