天
はぁ……
天
ガチ仕事めんどくせぇ
天
マジ部長なんなんだよ
天
俺の力量以上の仕事押し付けやがってさ
天
おかげで残業になったよ…
天
全く残業になって帰るの遅れるし…
天
学生って楽だったんだなって最近思うよ
揺れる電車の中そんな事を考えていた
天
そーいやみんなどーしてんのかな
天
有咲や煌牙は嫌な上司の下で働いてないだろうなぁ
天
俺みたいに妥協してリーマンしてないだろうし
天
俺も自分のやりたいこと極めとけばよかった
天
そうだ!久しぶりに会いたいし有咲辺りに連絡してみようかな
天
今大丈夫か?
有咲
大丈夫だよ〜
天
久しぶり
有咲
急にどうしたのよ
天
いやなんかふとみんなの事思い出してさ
天
何してんだろうな〜て
有咲
そーいうあんた何してのよ?
天
妥協してリーマンやってますw
有咲
まぁ安牌だしいんじゃない?
天
良くねぇんだよ!
天
まじで上司がクズ野郎なんだよ!
有咲
そりゃお疲れ様でーす
天
うっわ!心配とか思ってないよこの人
有咲
まぁ私の体じゃないし?
天
昔からその性格変わってねぇな
有咲
褒め言葉として受け取っととくわ
天
じゃあお前は今何してんだ?
有咲
私は花屋やってるわよ
天
お前が経営してんのか?
有咲
そのうちそうなるわね
天
どゆこと?
有咲
私の務めてるとこは知り合いのお店でね
有咲
その人があと数年で定年だからさ
天
それであんたが継ぐ感じなのか?
有咲
まだ分かんないけどね
有咲
あくまで候補に上がってるだけ
天
へぇー意外だな
天
てっきりお前もこっちの世界の人間だと
有咲
残念でしたー
天
(´・∀・`)ウザ
天
そう言えば煌牙は何してるか知ってるか?
有咲
煌牙、ね…
天
?
天
なんかあったのか
有咲
煌牙について聞きたいならこの後時間ある?
天
明日は休みだからあるよ
有咲
それじゃあ私の気に入ってるお店で話しましょう
天
俺はどこにいればいいんだよ
有咲
そうね〜……
有咲
あそこにしましょう!
天
だからあそこが何処だよ!
有咲
私達がよく遊んだあの公園ね
天
あー……なんとなくだけど覚えてるわ
有咲
そこならお店からも近いし
天
じゃあそこに行けばいんだな?
有咲
そこで待ってるから
天
はーい
居酒屋 道しるべ
天
なんで俺の方が公園に着くの早かったんだよ
有咲
女は支度に時間かかるの!
天
ハイハイごめんなさい
有咲
ぶっ飛ばすわよ?
天
勘弁してくれよ
有咲
それじゃあ久しぶりに会えたということで
天
乾杯
有咲
と言っても今から話すことはちょっと暗い話なんだけどね…
天
やっぱり煌牙に何かあったのか
有咲
そうね…
有咲
まずあんた煌牙についてどこまで知ってる?
天
どこまでって言われてもな
有咲
じゃあとりあえず私の知ってることを話す
有咲
まず煌牙なんだけど……
有咲
アイツは他界した…
天
は?
天
他界ってつまり…
有咲
えぇそうよ…
天
どういうことだよ!
有咲
簡単に言えば事故ね
有咲
煌牙は教師をやってたのよ
天
あいつが?
有咲
学力はあんたよりも下だったあいつがよ
天
おいその言い方トゲがあるんだが
有咲
煌牙は自分はバカだったかもしれない
有咲
でもそんな自分が教師になれば子供達の希望になれるかもしれない
有咲
そんな事言ってたわね
天
普通に良い奴じゃん
有咲
私らの知ってるあの破天荒な煌牙はいなかったよ
有咲
それでねそんな事言って彼なりに努力して
有咲
それが実になり教員免許を獲得して
有咲
それでその日初めての仕事って日に事故にあったの
天
………
有咲
事故を起こした犯人は居眠り運転をしてたみたい
天
そんな奴に煌牙は……
有咲
それ聞いて私すごいショックだったわ
有咲
それでこの話を天にもしようと思ったけど
有咲
私以上にショックを受けるだろうと思って
有咲
あなたから聞いてこない限り伝えようとは思ってなかったのよ
天
………
天
アイツはさ…
天
俺の初めての友達だったし
天
最高の友達でもあったんだ…
天
一緒に馬鹿なことして時には喧嘩もしてさ
天
あの時は本当に楽しかった…
有咲
私が花屋の店員になったのは煌牙の言葉がきっかけなんだ
有咲
私の小さい頃からの夢だった花屋の店員
有咲
でもその夢を小馬鹿にされ続けてその夢を放棄してたの
有咲
その事を伝えたらさ
有咲
「なんで好きな物好きって言いはれないんだ?」て言われて
有咲
その時私の中のモヤが一気に晴れた気がした
有咲
だから今こうして夢だった花屋の店員になれたんだ
天
アイツには俺ら2人助けられてんのにな
有咲
私らは煌牙を助けられなかった
天
でもまぁ…ずっと悔いてても仕方ないよな
有咲
まぁそうね…
有咲
これが私の知ってる煌牙の事よ
天
教えてくれてありがとうな
天
近いうちに煌牙の為に花でも買ってお供えしてくるよ
有咲
それなら一緒に行きましょ
有咲
煌牙が旅立ってもう2年も経つんだ
天
そんな経ってたのか
有咲
それでちょうど明日が煌牙の墓参りなんだよ
天
なら明日一緒に行こうか
有咲
うん
天
ここに煌牙が眠ってるのか
有咲
そうね
有咲
ほら掃除してあげて
天
分かってるって
有咲
ほらそこそこ!草生えてるからむしってよ
天
お前も手伝えや!
有咲
私今両手がふさがってる〜
天
この水かけるぞ?
有咲
そしたら私帰っちゃうけどいい?
天
水かけないので帰らないでください
天
私が帰れなくなってしまうので
有咲
分かればよし!
天
でもそれとこれでは話が違う!
有咲
ウヤムヤにしてやったのに…
天
諦めてお前も手伝う!
有咲
は〜い…
ーーーーーーーーーー
天
あとはこの花を添えて…
有咲
終わりね
有咲
はいお線香
天
ありがとう
天
煌牙元気でな
有咲
アイツなら大丈夫でしょ
有咲
もう2年も経ってんだし
有咲
あっちでも馬鹿なことやってるだろうよ
天
ははっ、だといいな
有咲
…さて、それじゃあ帰るわよ
天
そうだな
有咲
あれ?その写真どうするの?
天
あそこに置いてくさ
天
風とかで飛ばされないようにしたし
天
まぁバレなきゃ大丈夫だろ
有咲
それってバレたらアウトってことじゃん
天
気にしない気にしない
天
さ!とっとと帰ろう
有咲
ハイハイ
天
帰り俺寿司食いたい!
有咲
それじゃあ天の奢りね
天
えぇ!?
去りゆく2人にフワッと優しい風が吹く
その風と共に声が聞こえた気がした
ありがとう2人とも
その声は2人にしか聞こえてない
いや、声なんてものも聞こえたかどうかは 定かではない
だが2人はその風が吹いた方を見る
その視線の先には天が置いた写真がある
左に強気な女の子が居て 右には控えめな男の子が居る
そしてその真ん中に割り切るように入ってきている笑顔の男の子
写真はその【時】を写している それは何年何十年何百年経とうと
決して色褪せない至高の宝物なのだ
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コメント
3件
感動しました😭
サムネの花はワスレナグサです 花言葉は【私を忘れないで】だったと思います 最近花言葉にハマってサムネも物語に関係した花を使ってます







