TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
お題に挑戦シリーズ

一覧ページ

「お題に挑戦シリーズ」のメインビジュアル

お題に挑戦シリーズ

15 - お客様旅路にお話は如何ですか?

♥

31

2020年07月05日

シェアするシェアする
報告する

私の仕事はお客様と会話をすること

この優雅な旅路を寄り良いものにするため

私はお客様の話し相手になります

もちろん仕事ということもありますが

1番はお客様のお話がとても刺激的なものが多く、私の趣味にもなりだしてます

この列車は完全予約制の貸切列車

終点までお客様と共にお供します

今日も私はこの列車にて

お客様のお話し相手になってます

その方はどうやら次の駅で降りるそうです

長かった旅路は終わりを告げました

その方がここを後にして私が

列車内を点検しているとある少女が

こっそり乗っているのに気が付きました

しかし私はあえて見て見ぬふりをした

そして列車が動き出してから少しして

その少女に話しかけてみた

少女は何食わぬ顔でテーブル席に座り

ただ窓の流れる景色を見てました

私の問いかけに気がついてないようです

香澄

………

香澄

あ!す、すいません

香澄

流れる景色に見とれてて気が付きませんでした

いえいえ

お客様今お時間ありますでしょうか?

香澄

はい…

香澄

どうせ今私やる事ないので

それでは失礼します

そう言って私は対面の席に腰を下ろす

今日は一人旅ですか?

香澄

まぁそんなところです

おひとりで少し寂しくないですか?

香澄

寂しくもありますが開放感もあります

香澄

なんというか複雑な感じですね

そうですか…

なぜ今回この列車に?

香澄

この列車から見える景色がとても綺麗だと友人に言われましてね

左様でございますか

この列車の終点の景色はこの世のものとは言えないとても素晴らしく

見るものの心を浄化し天にも登る気持ちになるものと

口コミではそう言われてますからね

香澄

スタッフさんは見た事ないんですか?

残念ながらないんです

あくまで私らはこの列車のスタッフですから

駅から離れることは許されてないのです

なので今言った情報もこの列車に乗っていた

お客様方のお話なので私はどんなものかは存じ上げません

香澄

そうですか…

もしやあなた様もそれを見に?

香澄

えぇ…そんなところです

でしたらここからかなり時間がかかりますゆえ

おひとりですとつまらないでしょう?

良ければですが私とお話しませんか?

香澄

ちょうど私も話し相手が欲しかったところです

左様でございますか

香澄

とは言っても何話しましょうか?

実は私お客様の人生について聞くのが好きでして

香澄

人生?

はい

人によって人生は違いますからね

それがまた面白いんですよ

人によっては波乱万丈の人生なんてものも

私何度か聞いてますから

香澄

ふふっ…少し変わってますね

自分でも思いますけどね

香澄

でも私の人生なんてまだまだ短いよ?

短くともそこにはその人の時間があるのです

私はそれを聞くのが好きなんですよ

香澄

そうですか

香澄

ではちょっとゲームみたいな感じでお話しましょう

お気遣いありがとうございます

香澄

私はそんなに長く生きてないですからね

香澄

とりあえずサラッと私のことを話しましょうか

香澄

私の名前は香澄です

カスミ様ですね

香澄

はい

香澄

趣味は読書ですかね

それはそれは良い趣味ですね

香澄

と、言ってもこれは最近のなんですけどね

香澄

あと私関連で話すことは……

香澄

特にありませんね

自己紹介なんてものはそんなものですよ

香澄

ですよね

香澄

それじゃあ私の人生についてお話しましょう

香澄

実は私最近まで目が見えなかったんです

そうだったんですか…

香澄

あ!そんなに気を重くしないでください

香澄

別にあんまり気にしてませんから

香澄

今私は目が見えるようになって世界の形が分かって

香澄

それが今私の中では趣味にもなってるのかもしれませんね

それはいい事だと思いますよ

香澄

ふふっ、ありがとうございます

香澄

それでですね目が見える前まで私ずっと1人だったんです

香澄

もちろんお母さんやお父さんはいましたよ?

香澄

ですが真っ暗で何も見えないって恐怖だったり不安を煽るんです

香澄

それでずっと私1人だと勘違いしてたんです

香澄

そんなある日のことです

香澄

私の家はマンションだったようで

香澄

毎回エレベーターを使っていたのですが

香澄

あいにくその日は点検との事で仕方なく階段を使い

香澄

お外に出かけることにしたんです

香澄

もちろんお母さんも一緒です

香澄

それで私が1歩1歩慎重に階段をおりていた時

香澄

小石か何かを踏んだんでしょうね

香澄

それで体勢を崩してしまい

香澄

階段から落っこちちゃったんです

その時お怪我の方は?

香澄

ありませんでした

香澄

たまたま上がってきた男の人が私を優しく抱きとめてくれたのです

香澄

その後低い声で大丈夫?と声をかけてくれました

香澄

その声に私は何故か安らぎを感じたんです

香澄

その出来事以降私とその人の距離は深まっていきました

香澄

距離が深まり私の目の事を話すと

香澄

その人はすぐに手術をしようと言ってくれました

香澄

しかし私たちにそんなお金はありません

香澄

そう話すと彼は俺が払うと言いました

香澄

それは大変迷惑なので大丈夫ですと答えましたが

香澄

彼は一向に聞いてくれませんでした

香澄

なんでだと思います?

う〜ん…

やはりカスミ様が心配だからでしょうか?

香澄

実は私も分からないんですよ

これは1本取られましたね

香澄

理由を聞いてもウヤムヤにされたんです

香澄

そして私は彼の気迫に負けて手術をすることになりました

香澄

日時はあちらが決めてくれて

香澄

そして手術当日

香澄

私は病院に行くのがとても怖かったです

香澄

手術したのに見えなかったらどうしようって

香澄

そしたら彼は私にこう言ったんです

香澄

手術が終わったら俺が必ず迎えに行く

香澄

だから勇気をだして目を開けてくれと

香澄

その言葉を信じて私はその日病院に行き手術しました

香澄

手術は無事成功です

香澄

あとは少し様態を見て大丈夫だと分かったら退院出来るとの事でした

香澄

この事を彼に伝えようと思ってお母さんに伝えました

香澄

しかしお母さんは彼のことを知らないと言ったんです

香澄

そんなはずは無い

香澄

私達を送り出すとき彼はその場にいたし

香澄

お母さんもいたはずです

香澄

なのにお母さんは彼を知らないと言いました

香澄

腑に落ちないので私は彼との約束である彼が来たら目を開ける を破ったんです

香澄

私が彼を見つける為に

香澄

勇気をだして目を開けると光が入ってきました

香澄

これが眩しいって感情なのかと

香澄

その後ちゃんと辺りを見ることが出来ました

香澄

そしてお母さんと一緒に彼の自宅まで行きました

香澄

彼の部屋は私の部屋の2個隣の部屋に住んでました

香澄

私はその事を彼から聞いていたので場所はわかってました

香澄

その場所につきベルを鳴らすも返事はなし

香澄

ドアに手をかけると空いてました

香澄

中に入ると何もありません

香澄

もぬけの殻でした

香澄

私は誰と話していたのでしょうかね?

香澄

この時絶望感が凄かったです

香澄

誰も知らない私しか知らない彼との思い出は

香澄

全て私の作りだした幻想なんではないかと

香澄

でも私は現に目が見えるようになりました

香澄

そこで私は閃いたのです

香澄

目が見えるなら彼を探し出せばいいと

香澄

それから私ずっと彼を探してるんです

香澄

……と、こんなところですかね

…………

なるほどですね

その彼は見つけることが出来ましたか?

香澄

全然ですね

その彼は自分のことを見つけてと頼んだのでしょうか?

香澄

頼まれてません

香澄

だって私が彼に会いたいから

香澄

彼にあってお礼を言いたいから…

そうですか…

とは言っても彼はそれを望んでないと思いますね

香澄

なんでそれが分かるんですか?

カスミ様…

ずっと右手首を抑えてますよね?

香澄

………

いいですか?

あなたはここに来る人ではありません

あなたが切符なしにこの列車に乗車してるのは最初からわかってます

香澄

バレてましたか…

彼に会いたい気持ちは分かりますが

その独断で他の人を傷つけるのは彼はきっと望んでませんよ

香澄

………

それにあなたは彼からプレゼントを貰ってるじゃないですか

香澄

…そうですね

それだけでなくあなたの帰りを待つ人もいるのです

香澄!起きてよ!香澄!!

聞こえますか?あなたを呼ぶその声が

香澄

………

あなたはここに来るにはまだ早いです

さぁ途中下車してもらいます

香澄

……

香澄

あなたには勝てないですね……

列車は途中で止まり彼女はその列車から 降りていった

最後まで彼女を見送り彼女が見えなくなるのを確認すると

また列車の点検を始める

…………

本当にこれでよかったのですか?

あぁ………

俺を見たい知りたいがために

彼女がこちらに来るのはな…

左様でございますか…

では、まだ終点まで時間があります

今度はあなた様のお話を聞かせて貰えないでしょうか?

おいおい……

俺の話なんてつまらねぇよ?

まぁ簡潔に話してやる

では座って…

簡潔だから立ち話だよ

俺は元々重い病気を持っててな

その命は持って1年って時に彼女に会って

少ない時間の中俺は彼女を好きになったが

それは叶わぬ恋ってやつでな

だからせめて彼女に何かプレゼントを渡したくてな

それで手術代を渡したんだ

それと彼女が読書が好きと言っていたのは俺が話を読んであげてたからだな

………

ふふっ…良い人ですね

お人好しか単なる馬鹿だよ俺は……

その列車はお客様を最大限もてなします

最後の最期まで楽しさに触れられるよう

今日もまた新たなお客様を乗せて 更なる旅路に誘います

お客様今日はご乗車誠にありがとうございます

退屈しのぎに私とお話でもどうですか?

お題に挑戦シリーズ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

31

コメント

1

ユーザー

サムネの花はツユクサです花言葉は「ひとときの幸せ」でした 解釈次第では悲しくもありますよね

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚