香澄
実は私最近まで目が見えなかったんです
そうだったんですか…
香澄
あ!そんなに気を重くしないでください
香澄
別にあんまり気にしてませんから
香澄
今私は目が見えるようになって世界の形が分かって
香澄
それが今私の中では趣味にもなってるのかもしれませんね
それはいい事だと思いますよ
香澄
ふふっ、ありがとうございます
香澄
それでですね目が見える前まで私ずっと1人だったんです
香澄
もちろんお母さんやお父さんはいましたよ?
香澄
ですが真っ暗で何も見えないって恐怖だったり不安を煽るんです
香澄
それでずっと私1人だと勘違いしてたんです
香澄
そんなある日のことです
香澄
私の家はマンションだったようで
香澄
毎回エレベーターを使っていたのですが
香澄
あいにくその日は点検との事で仕方なく階段を使い
香澄
お外に出かけることにしたんです
香澄
もちろんお母さんも一緒です
香澄
それで私が1歩1歩慎重に階段をおりていた時
香澄
小石か何かを踏んだんでしょうね
香澄
それで体勢を崩してしまい
香澄
階段から落っこちちゃったんです
その時お怪我の方は?
香澄
ありませんでした
香澄
たまたま上がってきた男の人が私を優しく抱きとめてくれたのです
香澄
その後低い声で大丈夫?と声をかけてくれました
香澄
その声に私は何故か安らぎを感じたんです
香澄
その出来事以降私とその人の距離は深まっていきました
香澄
距離が深まり私の目の事を話すと
香澄
その人はすぐに手術をしようと言ってくれました
香澄
しかし私たちにそんなお金はありません
香澄
そう話すと彼は俺が払うと言いました
香澄
それは大変迷惑なので大丈夫ですと答えましたが
香澄
彼は一向に聞いてくれませんでした
香澄
なんでだと思います?
う〜ん…
やはりカスミ様が心配だからでしょうか?
香澄
実は私も分からないんですよ
これは1本取られましたね
香澄
理由を聞いてもウヤムヤにされたんです
香澄
そして私は彼の気迫に負けて手術をすることになりました
香澄
日時はあちらが決めてくれて
香澄
そして手術当日
香澄
私は病院に行くのがとても怖かったです
香澄
手術したのに見えなかったらどうしようって
香澄
そしたら彼は私にこう言ったんです
香澄
手術が終わったら俺が必ず迎えに行く
香澄
だから勇気をだして目を開けてくれと
香澄
その言葉を信じて私はその日病院に行き手術しました
香澄
手術は無事成功です
香澄
あとは少し様態を見て大丈夫だと分かったら退院出来るとの事でした
香澄
この事を彼に伝えようと思ってお母さんに伝えました
香澄
しかしお母さんは彼のことを知らないと言ったんです
香澄
そんなはずは無い
香澄
私達を送り出すとき彼はその場にいたし
香澄
お母さんもいたはずです
香澄
なのにお母さんは彼を知らないと言いました
香澄
腑に落ちないので私は彼との約束である彼が来たら目を開ける を破ったんです
香澄
私が彼を見つける為に
香澄
勇気をだして目を開けると光が入ってきました
香澄
これが眩しいって感情なのかと
香澄
その後ちゃんと辺りを見ることが出来ました
香澄
そしてお母さんと一緒に彼の自宅まで行きました
香澄
彼の部屋は私の部屋の2個隣の部屋に住んでました
香澄
私はその事を彼から聞いていたので場所はわかってました
香澄
その場所につきベルを鳴らすも返事はなし
香澄
ドアに手をかけると空いてました
香澄
中に入ると何もありません
香澄
もぬけの殻でした
香澄
私は誰と話していたのでしょうかね?
香澄
この時絶望感が凄かったです
香澄
誰も知らない私しか知らない彼との思い出は
香澄
全て私の作りだした幻想なんではないかと
香澄
でも私は現に目が見えるようになりました
香澄
そこで私は閃いたのです
香澄
目が見えるなら彼を探し出せばいいと
香澄
それから私ずっと彼を探してるんです
香澄
……と、こんなところですかね
…………
なるほどですね
その彼は見つけることが出来ましたか?
香澄
全然ですね
その彼は自分のことを見つけてと頼んだのでしょうか?
香澄
頼まれてません
香澄
だって私が彼に会いたいから
香澄
彼にあってお礼を言いたいから…
そうですか…
とは言っても彼はそれを望んでないと思いますね
香澄
なんでそれが分かるんですか?
カスミ様…
ずっと右手首を抑えてますよね?
香澄
………
いいですか?
あなたはここに来る人ではありません
あなたが切符なしにこの列車に乗車してるのは最初からわかってます
香澄
バレてましたか…
彼に会いたい気持ちは分かりますが
その独断で他の人を傷つけるのは彼はきっと望んでませんよ
香澄
………
それにあなたは彼からプレゼントを貰ってるじゃないですか
香澄
…そうですね
それだけでなくあなたの帰りを待つ人もいるのです
聞こえますか?あなたを呼ぶその声が
香澄
………
あなたはここに来るにはまだ早いです
さぁ途中下車してもらいます
香澄
……
香澄
あなたには勝てないですね……
列車は途中で止まり彼女はその列車から
降りていった
最後まで彼女を見送り彼女が見えなくなるのを確認すると
…………
本当にこれでよかったのですか?
あぁ………
俺を見たい知りたいがために
彼女がこちらに来るのはな…
左様でございますか…
では、まだ終点まで時間があります
今度はあなた様のお話を聞かせて貰えないでしょうか?
おいおい……
俺の話なんてつまらねぇよ?
まぁ簡潔に話してやる
では座って…
簡潔だから立ち話だよ
俺は元々重い病気を持っててな
その命は持って1年って時に彼女に会って
少ない時間の中俺は彼女を好きになったが
それは叶わぬ恋ってやつでな
だからせめて彼女に何かプレゼントを渡したくてな
それで手術代を渡したんだ
それと彼女が読書が好きと言っていたのは俺が話を読んであげてたからだな
………
ふふっ…良い人ですね
お人好しか単なる馬鹿だよ俺は……
今日もまた新たなお客様を乗せて
更なる旅路に誘います
お客様今日はご乗車誠にありがとうございます
退屈しのぎに私とお話でもどうですか?