借金を押し付けられまして。【NIZISANNZI】

あの日

結局私は借金を速く 返すため

両方を選んだ

仕事もしつつ性処理も することになった

とにかく怪我が治るまでは

自宅待機

私はソファに身を投げて

もんもんと

悩んでいた

私本当にマフィアの仕事 務まるのかなぁ…

するとベランダがある窓の方からノック音が聞こえた

窓の方に駆け寄ると ベランダに湊くんが居た

口パクで『あ・け・て』 と言われたので

私は慌てて鍵を解除し 窓を開けた

湊くんは 静かにしてとでも言うように

指を私の口の前に出してきた

とにかく部屋に入れて 窓とカーテンを閉めると

私は湊くんに向き直った

のぼるといっても この高さから落ちたら

死んじゃうのに

これ以上何を言っても 綺麗に反論される

そう思って私は 反論するのをやめた

いつからこんなに

手がボロボロだったっけ

料理をしながら ふと思った

絆創膏だらけの指

包帯が巻いてある腕

包帯の下には 切り傷、痣まみれ

おまけに包丁を持つと手が震える

あ、手が震えるのは関係ない？

怖かった

包丁が。

姉と兄に一度だけ 刺されたことがあるから

けど震えて嫌な記憶を 思い出すだけ

ただ、それだけ

指が切れたのは

手が震えて力が 入らなくなったから、、？

涙が溢れたのは

玉ねぎを切ったから、、？

火傷したのは

涙で前が見えなかったから。

慌てて駆け寄ってくれた湊くんは本当に心配してくれている目をしていた

家族から向けられた ゴミを見るような目と違って

指でそっと 私のまつげをなぞって

涙を掬ってくれる

湊くんの指は

心なしか少し震えていた

私の手を包むようにして 握ってくれた手は

あったかい。。

棚から絆創膏を取り出して 怪我をした指に巻いてくれる

そして私を覗き込むように して聞いてくれた

私が首を振ると 困ったような顔をした

すこし考えて 次は私を傷つけないように

もっと優しい口調で聴いてくれた

そうして2人で また台所に向き直る

その時急に私の部屋に 葛葉くん達が入ってきた

一度は脱走を 考えたし

この人達から 離れたいとも思った

けどやっぱり

みんなと居れて良かった