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戯言

第2話 - 自信

2021年02月03日

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#人間関係

とりさん

自己肯定感。

最近巷で少し耳にする言葉。

わたしは
「自分が好き」
っていう感情がわからない。

感覚がわからない。

友達は

自分のことを天才だと思うことだよ！

って言った

その友達も自分自身のことが好きだそうだ。

その時は不思議と羨ましいとも思わなかった。

彼女は

自分が活躍している妄想が出来るそうだ。

やはり羨ましくは思わなかった。

先日美術の授業で講評会があった。

生徒の作品を並べて

先生がそれぞれの作品の評価を行い

生徒が作品のアピールポイントを発表し

作品の良かった点や反省点を共有するものだ。

正直なところ絵を描くことは好きだが

とくに講評会は苦手だ。

美術の授業は嫌いだ。

自分で自分の作品の良かった点を見つけるのが辛かった。

自分の絵を評価されることが怖くて、

気持ち悪くて、

感情を吐き出しながら形にしていくのが楽しいのに

その吐瀉物が美しいか否かだなんて

よく分からない、と

そんなふうに感じた時、講評が嫌いになった。

だから、その時も心の中では勘弁してくれよと思っていた。

今回の作品は静物画だった。

自分の番が回ってきて、作品の良い点を言わなければならなかった。

心底言うことなんてないと思ったから

アピールポイントは特にありません。

と言った。

先生は

そんなことないですよ、

これなんか良く描けてますね、

とかなんとか言った。

なんにも響かなかった。

最初に思い描いていた作品のイメージとは全然違うものになったし

歪んだものだらけの絵なのに、

こんなにも汚い絵に

こんなにも汚い感情が混ざった絵に

評価するところなんてあるわけがない_

やっぱり講評会は嫌いだと思った。

放課後、友達がふと

もっと自分に自信を持ちな！

と言った。

美術の時もさ

あんなにも上手いのに

なんでアピールポイントはありませんとか言っちゃうの？

絶対はぁ？って思った子いると思うよ

わたしはちょっと思った

自分の作品に自信を持ちなよ！

…

私の発言で不快になった人がいたら

本当に申し訳ないと反省した。

でも

アピールポイントはないと思ったのは事実で

嘘はつきたくなかった。

自信を持ったところで作品のアピールポイントは見つかったのだろうか？

そもそも自信ってどうやって持つんだ…

そんなことばっかり頭の中を巡っていた。

やっぱり講評会は嫌いだと思った。

自己肯定感。

自信。

周りの人たちは知らないうちに身についていたのだろうか？

自信とは

持つものだろうか。

つけるものだろうか。

少なくとも、

わたしには無い感覚かもしれない。

もう既にあって

まだ気づかないだけかもしれない。

・・・

ある時

中学の音楽の授業の

「歌のテスト」は

歌うことは嫌いじゃないのに

まともに歌えなかった。

声すら出なかった。

情けなくて涙が出てきた。

歌えずにテストを終えた私に待っていたのは

クラスメイトの冷たい視線。

｢ただ歌うだけなのに……｣

｢なんで出来ないの？｣

とでも言いたげな視線たち。

怖かった。

なんで出来ないんだろう、と3年間苛まれ続けた。

また歌えなかったら？

またクラスメイトに見られたら？

ずっと考えていた。

・・・

自分を愛せない人は他人も愛せない

そんなことを以前目にした。

わたしは周りの人や家族を

友達を

こよなく愛しているつもりだが

もし本当だとしたら

私の周りの人への愛は

偽物だ。

こんなにも人を愛しているのに、

そうすることでこんなにも辛いのに、

痛いのに____

自己肯定感。

自分が存在していることを自分で認めること。

自分が好き、という感覚。

自信。

自分が天才だと思えること…

私にそんなものを見つけられる日は来るのだろうか？

今の私にはまだ

難しいことばかりかもしれない…

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