テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

第71話 - 最終決戦　インディアン絵本当て【２】

2025年02月05日

#ミステリー

#心理戦

#デスゲーム

#推理

#第4回テノコン

日比野響

変則ＢＢ　インディアン絵本当て　ルール概要

参加人は全員で９人。

使用する絵本は10冊。

その中から１冊を除いた９冊が、ランダムにそれぞれへと振り分けられる。

他の人間の絵本がなんであるかを知ることはできるが、自分の絵本がなんなのかを知ることはできない。

解答するのは誰でも良いが、一宮側、十三形側、共に一度しか答えることができない。

自分の絵本を言い当てることができれば勝ち。言い当てることができなかったら負けとなる。

一宮

もう、ゲームは始まってるんだよな？

全員のところへ、文字通りに絵本が飛んで行き、その絵本の中身が頭上に表示されている。

それなのに、どんなに自分の絵本を見ようとしても見ることができない。

二ツ木

なんだか、始まった感じがないねぇ。

十三形

まぁ、最初から動きがあるようなゲームじゃないからな。

十三形

互いに牽制し合うって意味でも、こんなもんじゃないか。

四ツ谷

まぁ、とりあえずはみんなの絵本を確認して、絞り込んで行くだろうな。

四ツ谷

ちなみに、みんなは使用される絵本がどの絵本なのか分かってるか？

四ツ谷

それが分からないと、そもそも自分の絵本を当てることなんてできない。

九条

分かってはいますけど、念のために共有したほうがいいのではないですか？

十一月二十九日

あぁ、そうしたほうがいい。

四ツ谷

分かった。

四ツ谷

それじゃ共有しておこう。

四ツ谷

このゲームで使用されている絵本は――。

四ツ谷

【桃太郎】
【浦島太郎】
【金太郎】

四ツ谷

【人魚姫】
【シンデレラ】
【かぐや姫】

四ツ谷

【オオカミ少年】
【赤ずきん】
【ジャックと豆の木】

四ツ谷

あれ？
あと１冊は……。

十二単

俺の絵本だな。

十二単

なんだかんだで、こいつで戦うのは、これが初めてだったりする。

十二単

【ヘンゼルとグレーテル】だ。

七星

普通の勝負ならば、バリエーションにも幅があるから強そうな絵本だな。

十二単

まぁ、本領なんて発揮できなくていい。

十二単

こんなもの、あるだけで恐ろしいからね。

四ツ谷

やっぱり、絵本のこと共有しておいて良かったな。

七星

あ、あぁ……。

七星

そうだな。

十日市

と、とにかく自分の絵本を当てるだけでいいんでしょ？

十日市

だったら、今自分が見えている絵本と10冊を照らし合わせて、残りの２冊のどっちかが自分の絵本ってことになるよね？

十三形

――俺はいつでも答えてやっていいんだぞ。

十三形

なんなら、お前達の出方を伺っているくらいだ。

十一月二十九日

はぁ？

十一月二十九日

もう自分の絵本が絞り込めたってことか？

十一月二十九日

そんなことできるわけがねぇだろうが。

二ツ木

どのタイミングでも、選ぶ絵本が２分の１なのは変わらない。

二ツ木

そこから簡単に絞り込めるわけがない。

十三形

――立場の違いって言うかなぁ。

十三形

俺は別にお前達に負けても、痛くも痒くもない。

十三形

ご存知の通り、俺はこの世界でしか生きられない、死んだはずの人間だから。

十三形

俺が本当の意味で死ねば、きっと呪いの絵本は呪いの絵本ではなくなる。

十三形

この世界からも解放されることだろう。

十三形

でも、たったそれだけだ。

七星

たったそれだけ？

七星

たったそれだけのせいで、六冥は死んだというのか！？

四ツ谷

三富と八橋だって、本当は死ぬべき人間じゃなかった。

二ツ木

でも、お前が殺した。

二ツ木

思い通りに事が運ばないという、利己的かつ馬鹿らしい理由で。

十三形

なんとでも言えよ。

十三形

さて、それじゃあ、後５分だけ待ってやるよ。

十三形

それまでにそっちの解答がなければ、俺は容赦なく答えるぞ。

十三形

単純にお前達が勝つ確率は２分の１。

十三形

俺が勝つ確率も２分の１。

十三形

良いほうに転ぶか、それとも悪いほうに転ぶのか。

十三形

これまで、お前達が懸命になって集めていた絵本。

十三形

命を賭けたゲームが、全て運任せになるんだ。

十三形

これだったら、最初から丁半博打でもすれば良かったじゃないか！

十三形

あははははははっ！

十三形

間抜けな話だなぁ！

一宮

(一か八かで勝負に出るなら、誰にだってできる)

一宮

(でも、ここまで呪いの絵本に執着し、死してなお俺達の前に現れた十三形が、そんな形で呪いの絵本が途絶えることを良しとするのか？)

一宮

(もしかして、何か方法があるのかもしれない)

一宮

(自分の絵本を見分ける方法が)

一宮

(あるとすれば――もう俺の覚悟は決まっている)

一宮

(十三形、仕掛けられるものなら仕掛けてみろ！)

十三形

残り４分だな。

突如として始まった、決着までのカウントダウン。

一宮はただ、黙って耐え続ける。

その時が来ることを願いながら。

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