小春
で、何ホラ吹いてんだテメェ
椿
待って誤解よ‼︎
小春
誤解だァ?
椿
彼女と世間話してたら話が日本史の話になったの
椿
月雲ちゃん、どうやら日本史マニアらしくて私の先祖について詳しく聞いてきたのよ
椿
それで抗体人間の話をしたら、その話が大好きだったらしく何時間も拘束されたの
椿
それでついお客様として来たアナタの名前を出したら、また詳しく聞いてきて...
椿
冗談で抗体人間の復活を目論んでるって言ったら本気にしちゃって...
椿
てへ♡
小春
はっ倒すぞ
小春
はぁ...聞き取り調査をする筈が聞いてすらもらえねーなァ...
小春
時間の無駄だし他を当たるぞ
椿
あら、誤解は解かなくていいの?
小春
どうせ会う機会なんてもうないだろうし、自由に言わせとけばいいだろ
椿
つまらないわねぇ...
小春
はいはい
椿と月雲...だったか? その2人の言葉を軽く受け流し アタシは店を出た。
外に出るとギラギラとした 太陽がアタシ達を 照りつけてきた。
小春
あっつッ‼︎
椿
もうお昼だしどこかで食べないかしら?
小春
あー、テメェと食事はしないって前誓ったんだが...
その時アタシのお腹が 大きく鳴った。
小春
はぁ...食欲には抗えない...か
小春
じゃあ近場の食事処探すぞ
そう言いアタシ達が 進もうとした時
「あれ?お前何してんだ?」
後方で聞き覚えのある 声がして、振り向くと
透
久しぶりだな、墓参り以来か?
小春
透...何でここにいるんだァ?
透
仕事の休憩だ
小春
仕事ってその格好...タクシー運転手かァ?
透
...まぁそんなところだ
椿
....
透
ん?隣の美人な女性は誰だ?
椿
あら、美人だなんて照れてしまうわ♡
小春
否定しないの腹立つな
椿
私は燐堂 椿、来魔裂市で花屋を営んでいるの
透
燐堂...だと?
小春
あ、コイツは抗体人間の燐堂 小鹿(りんどう ばんび)の子孫だ
透
なるほど...何だか運命的な出会いだな
椿
運命...⁉︎
小春
あ、やべ
椿
アナタは運命を信じるかしら?
透
え?い、いや信じるっつーか...あくまで表現の一種で
椿
あら、そんなこと言わずに...ねぇ、少しだけ2人で話さない?
透
お、おい⁉︎だから何を
椿
ねぇ、朝まで...どう?♡
透
は、はあ⁉︎
小春
昼からイチャつくな、見てらんねーぞ
透
違う‼︎俺は
小春
そんなことより早く飯食わねーかァ?
小春
透、どっか美味い店知らねーか?
透
そ、それならいい場所知ってるが...
居酒屋
小春
昼間っから居酒屋入る人初めて見たわ
透
お前は文句しか言えねーのか
透
で、ようやく落ち着いたみたいだが...
椿
...反省してるわ
小春
テメェは尾行失敗の分も含めて大いに反省してろ
透
もう気にしてないから反省はよしてくれ
透
...ところで、2人はどういう関係で、何で蛇蝎市にいるんだ?
椿
それは
小春
おい、ペラペラ人に言うもんじゃねーぞ
椿
あら、でもそれは大丈夫だと思うわ
小春
何でだよ
椿
だって...
椿
椿
アナタ、裏稼業の人間でしょう?
小春
...は?
透
...何を言って
椿
まずは“目”。一見普通な眼差しをしているけど、アナタはその奥に黒い何かを飼っているわ
椿
次に“表情”。本人は隠してるつもりだろうけど、私の目には普通を装ってるのが見え見えよ
透
ちなみに根拠は?
椿
ないわ、あくまでも私の主観だもの
椿
でも私は昔から人を見極めるセンスはあると自負してるの
透
はぁ...随分とよく見てるな
椿
あら?ということは正解?
小春
...テメェ本当に裏稼業やってんのか?
透
ああ
椿
やけに落ち着いてるわね
透
別にバレて困るようなことしてねーしな
小春
...ちなみに何をやってんだァ?
透
透
“運び屋”だ