キヨレトの場合

突然聞こえてきた声に驚き声のした方を見ると、そこにはザ・ぶりっ子と言っていいほど化粧の濃い、露出の高い服を着た女の人がこっちに向かってきていた

女にバレないようにキヨくんの背中の服の裾をクイッと引っ張る …こんなの、嫉妬しないわけないじゃん、

すると、すぐにキヨくんの手が伸びてきて、裾を掴んだ手に指が絡み恋人繋ぎになる 安心させようとしてくれてるのかと、思わず微笑んでしまった …下を向き、微笑んでる顔を見られないようにしていたから気を抜いていたのだと思う

グイッ

キヨくんが急に沈黙したため、どうしたんだろうと思っていると恋人繋ぎを女に見せつけるように手を彼の顔の横にグイッと引っ張られ頬をすり寄せられる

そう言うとキヨくんは女には見向きもせずこっちをパッと振り返った

手は握ったまま、まだポカンとしている女の横を通り抜ける 少し歩いた後、キヨくんが不安そうな顔をしながら聞いてきた

なに、もしかしてずっとそんなこと考えてたの？ そんな顔までして…

正直、さっきからニヤニヤしすぎて少しうざいくらいだ

恥ずかしくて下を向いて何も喋らずに歩いていると、急にキヨくんがいつもより甘い声で話しかけてきた

コテッと首をかしげ、俺の顔を覗きこむ

真っ赤になっているであろう顔でキヨくんを睨み付ける そんな俺を見てくつくつと楽しそうに笑う彼 …からかいやがって…望むところだ、 今日は恥ずかしさを捨てて、思う存分上書きしてやろうと思った

ガッチ牛の場合

え、ガッチくん…？と声のした方を見ると、思わずうわ、と言ってしまいそうな感じの女性が走ってきていた

女から隠れるようにガッチさんの後ろに隠れる …いや、正確にはこれ以上女とガッチさんのやりとりを見ないようにするため これ以上、この感情を膨らませたくない

俯き、早く終わってくれと思いながら待っていると、突然ガッチさんがため息をついた声が聞こえた どうしたんだろ、と思ってるとき頭にずしっと重みがくると同時に抱き締められる

口ではそんなことを言いながらも、差し出された手をギュッと強く握りしめた

今日は朝までコース確定だなぁ…と目の前の“俺の”かっこいい彼氏の背中を見つめた