10.友人
一臣
康平!
高坂は警備員の康平に声をかける
康平
一臣、何?
一臣
いや、お客様を迎えようと思って入り口に…それにしても珍しいなぁ
高坂はニヤニヤする
康平
何?気持ち悪い…
康平は高坂の笑みに引く
一臣
いつも無表情のお前が笑うなんて。友としてなんだか微笑ましいよ〜
高坂は康平の背中をポンポンと叩く。康平は少し顔を赤くして、その手を払う
康平
そういえば一臣、悪かったな。急にチケット頼んで
康平は高坂にお礼を言う
一臣
別にいいよ。同級生のよしみだ…って一体誰宛のチケットなんだ?
康平
いや、知らない方が身の為だ
康平はどんより暗くなる
一臣
その様子では彼女とかではなさそうだな?
高坂は苦笑いする
康平
とにかくすごい人って言っておく
一臣
すごい人って言われても‥誰だろ?
康平の言葉に高坂は乗船するお客様を見ていくが有名人がいるわけでもないので分からない
康平
そういえば今日、従業員、人数少ないんだってね?
一臣
そうなんだよ。従業員の半分は夏風邪だよ。急遽、スー・シェフと真白にも手を貸してもらうことになった
康平は高坂の言葉に驚き思わず聞き返す
康平
一臣、お前…朽木さんを名前で呼んでるの?いつから?お前らそういう仲?
一臣
え?違うよ。本人の前では苗字だよ。それで他人と話す時は名前で呼んでる感じかな。だって同じ仕事場に2人の朽木さんがいるから戸惑うでしょ?
高坂はきちんと訂正する
康平
まぁな。ま、俺は朽木親子と関わることはあまりないから関係ないけど
康平は一息ついた