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木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
放課後、産地直送の新鮮な情報を届けてやったというのに、吾蓮の口からはそんな感想しか出て来なかった。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
男子なら、麻ちゃんの情報はどうやってでも手に入れたいものだと思っていたのだが。
まさか同じ学校に通いながら、いや、日本に住んでいながら、麻ちゃんの魅力を知らないのだろうか?
ならば、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
予想もしていなかった言葉に、体が固まる。
そんな、そんな、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
真っ赤になって罵倒してくる吾蓮。
くそ、言わせておけば。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
白い目で言い返す吾蓮。
が、わたしは不敵な笑みを崩さない。
そしてその笑みのまま、わたしは秘密兵器を投入した。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
効果音付きで屋上の影から取り出したるは、相羽尊。
吾蓮の、弟だ。
尊君は現在、両手両足を縄で縛られ、眼隠しと耳栓を強制装備中である。その状態を見て、吾蓮は一言。
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
言われて、自分の背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。
確かに、この状況は変態性を見せつけているようにしか見えないだろう。
「変態女子高生、小学生男子を拉致」という見出しで、明日の朝刊のトップを飾れそうな勢いだ。
しかし、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
しまった。最後の方、ちょこっとだけ本音が出た。
違う違う、今はそんなプレイを楽しんでいる場合ではない。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
大事な弟を人質に取られ、目を細める吾蓮。
その顔に対してわたしは、爆弾を落とした。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
分かりやすい驚愕を表す吾蓮。
変な格好で固まり、顔を真っ赤にしている。
まるで、好きな子を友人に言い当てられた小学生のようだ。
そして、それは間違っていない。
わたしは懐から数枚の写真を取り出し、吾蓮に示した。
その写真には尊君と、尊君を変質者の目でストーキングする兄の姿が写っていた。
その目は妖しく光り、今にも尊君を犯してしまいそうな危うさを孕んでいた。だがそれはまだ序の口だ。
二枚目に写っているのは、尊君の写真に口づけを敢行しようとする姿だし、三枚目には、吾蓮が自分の家の風呂場を覗く(入っているのは尊君)姿が写っていた。
相羽吾蓮(あいば あれん)
震えた声で叫ぶ吾蓮。
当然、奈琴大先生からの提供である。
「入手ルートは秘密❤」とのことなので、皆も突っ込まないよーに。怖いお兄さん達が来るよ。
しかし、わたしはそれを吾蓮に伝えなかった。その代わりに、わたしは写真を冷たい目で一瞥し、吾蓮に言ってやった。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
先程と寸分違わぬリアクションを取る吾蓮。それは、肯定以外の何物でもなかった。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
わたしは挑発するように叫んだ。
吾蓮は、青い顔でそれを全身で受けている。
だが、ここで止めるほどわたしはお人好しではない。わたしは叫んだ。
とどめの一撃を。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
吾蓮の顔から生気が抜ける。
この世の終わり。そんな顔をしていた。
だが、吾蓮もここで折れてしまうほど弱くはなかった。
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
いや、色々悪いだろう。
そう思ったが、わたしは口を閉ざした。
口を閉ざし、吾蓮の言葉に耳を傾ける。
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
変態だ。
正真正銘、最強最悪の変態が目の前にいる。
わたしは震えてしまった。
こんな、こんな人間が存在していていいのか?
お巡りさん、超危険人物がここにいます。国家転覆を目論むテロリストよりも危険です。
しかし、吾蓮はわたしの様を見て、何やら勘違いをしたようだった。
相羽吾蓮(あいば あれん)
屋上で自身の変態性をカミングアウトし、更には開き直っている変態がいた。
こいつ、どんだけメンタル強いんだよ。
だが、吾蓮の発言は的外れだった。
「吾蓮の変態性をネタに強請る」?
そんなこと、わたしがするはずがないだろう?
このわたしが、そんな生温い交渉術を使うと思っているのか?
木崎姫歌(きさき ひめうた)
わたしは口元に笑みを浮かべ、身動きの取れない尊君を抱き寄せた。
相羽吾蓮(あいば あれん)
その様子を見て、目を見開く吾蓮。そして状況が分からず、首を傾げる尊君。
わたしは尊君の顔に己の顔を寄せ、言った。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
今日一番の声を上げる吾蓮。
ちなみに、尊君にキスの経験がないのは、奈琴大先生から得た知識だ。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
射殺す様な視線を飛ばす吾蓮。
わたしは言葉を返す代わりに、唇を少し、尊君に近付けた。
相羽吾蓮(あいば あれん)
吾蓮の咆哮がこだました。
それを聞き止め、わたしは一時停止。
相羽吾蓮(あいば あれん)
吾蓮の声は、蚊が鳴くようにか細かった。
相羽吾蓮(あいば あれん)
吾蓮は涙ながらに訴えてきた。
そこにいるのは、ただのイケメン・相羽吾蓮などではなかった。
そこにいるのは、超絶変態・相羽吾蓮だった。
そんな彼に対し、わたしは胸元から一枚の紙切れを取り出し、言った。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
吾蓮は、そんなわたしをキッと睨み、一言。
相羽吾蓮(あいば あれん)
私立椿奈高校男子バスケ部、部員一号誕生の瞬間だった。
ちなみに、実は尊君は拉致ってきたわけではない。
本人から了承を得て縛らせて貰っている。
「砂姫とデートをさせてやろう」
その一言で、尊君はわたしの配下と成り下がった。
チョロいぜ、相羽兄弟。