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────空亡との戦いが終わった

酒呑ハルヤ

…人間界も、
退屈はしなかったな

酒呑ハルヤ

さてと

酒呑ハルヤ

一杯やるか

“ハルヤ”から”酒呑童子”へと姿を変える

盃を片手に持ち、その場から 立ち去ろうとする

酒呑童子

だが、

酒呑童子

どうも気分が乗らんな

酒呑童子

洞潔…

酒呑童子

朱夏様…

酒呑童子

もう俺に、残されたものなどない

ふと、朱夏の生まれ変わりであるナツメのことを思い出す

酒呑童子

天野ナツメ…

???

私の友達…!!

酒呑童子

ん…?

???

出てこい!!

酒呑童子

ついに幻聴まで聞こえるようになったのか…

???

酒呑童子!!

酒呑童子

ッ!?

体がどこかへ吸い込まれる

ドロンッ

酒呑童子

酒呑童子!!

酒呑童子

っは!?

酒呑童子

ここは…

天野ナツメ

酒呑くん!

酒呑童子

姫!?

天野ナツメ

ありがとう、来てくれて

酒呑童子

(いや、あなたが勝手に呼んだんでしょう…)

天野ナツメ

酒呑くん、わたしね

天野ナツメ

あなたにお礼を言いたかったの

酒呑童子

礼とはなんの…?

天野ナツメ

ほら、あのとき

天野ナツメ

わたしが空亡に襲われかけたとき、酒呑くんが助けてくれたこと

酒呑童子

あれは姫のナイトとして当然のことをしたまでです

酒呑童子

…礼など勿体なきお言葉

天野ナツメ

ううん、だってもしあのとき酒呑くんがいなかったら

天野ナツメ

今頃わたしは無事じゃなかったもん…

天野ナツメ

本当にありがとう、
酒呑くん

酒呑童子

酒呑童子

姫、私は最後にあなたのお役に立つことができ、光栄に思います

天野ナツメ

最後…?

酒呑童子

はい

酒呑童子

私はもうこれ以上、”ここ”に居座る意味はないので

天野ナツメ

え…?

天野ナツメ

(あっ…)

そのとき

仲間であった洞潔も 頼みの綱であった朱夏も

何もかも失った酒呑童子の心境を悟る ナツメ

天野ナツメ

…酒呑くん

天野ナツメ

酒呑くんは、
ひとりじゃないよ

酒呑童子

…!!

天野ナツメ

ここには私たち、妖怪探偵団のみんながいる

酒呑童子

…何をおっしゃるのですか

酒呑童子

そもそも俺はこの世界に居て良い存在では

天野ナツメ

…良いんだよ

天野ナツメ

あなたはこれまで一緒に戦ってきた、私たちの大切な仲間なんだから

酒呑童子

姫…

酒呑童子

鬼に情けなど要りません

酒呑童子

それに姫にとって俺の存在など…

天野ナツメ

酒呑くん!

天野ナツメ

…それにね
トウマからも聞いたの

天野ナツメ

ビャッコ大霊槍を手に入れたとき、そのアシュラ豪炎丸を酒呑くんがトウマに譲ってくれたって

酒呑童子

(月浪トウマ…)

天野ナツメ

アシュラは酒呑くんにとってすごく大切なものだったはず

天野ナツメ

でもあのとき、酒呑くんが
”覚悟”を決めてくれたおかげで

“覚悟”と聞いたとき、 亡き洞潔との言葉が重なる

酒呑童子

…!

天野ナツメ

わたしは覚醒して、この世界を救うことができた

天野ナツメ

本当にありがとう

天野ナツメ

だから…お願い、

天野ナツメ

自分のことをそんな風に言わないで

ナツメの一つ一つの言葉が心に響く

酒呑童子

…姫

天野ナツメ

それに…わたしは今のあなたを一人にだなんてできない

そのときだった

酒呑童子

…は!!

天野ナツメ

…!?

天野ナツメ

なに、この光っ…

ナツメから出た光が朱夏へと変わる

朱夏

…酒呑童子よ

酒呑童子

…!!

朱夏

礼を言うのが遅くなってすまない

朱夏

そなたは、長い年月をかけて妾を探し出してくれたのだな

朱夏

…そしてそこには数々の苦難や葛藤があっただろう

朱夏

…大義であった

それを伝えると、朱夏の姿は消えた

酒呑童子

朱夏様…!

天野ナツメ

今のは…朱夏?

天野ナツメ

あれ、でもなんでだろう?

天野ナツメ

朱夏の魂は空天と一緒に天に還ったはずじゃ…

酒呑童子

うぅっ…ぐっ…

急に涙を流す酒呑童子に驚くナツメ

天野ナツメ

酒呑くん!?

酒呑童子

はっ…!!

酒呑童子

情けない姿をお見せして申し訳ありません…姫

天野ナツメ

いいの

天野ナツメ

…酒呑くんはずっと我慢してたんだよね

天野ナツメ

みんなの前では強がってたけど、本当は…

ナツメの言葉でさらに涙腺が緩む

酒呑童子

うっ…ぐすっ…

天野ナツメ

酒呑くん…

傍に行き、優しく背中を撫でるナツメ

天野ナツメ

(…酒呑くんが泣いてるの、初めて見たかも)

涙が落ち着いた酒呑童子

酒呑童子

姫にこのような姿を見せるなんて…

天野ナツメ

だからそういうのいいってば…

天野ナツメ

人間だって、悲しいときは泣くんだよ

天野ナツメ

誰かに見られるのは恥ずかしいかもしれないけど

天野ナツメ

それは絶対に悪いことじゃないから

酒呑童子

姫…

天野ナツメ

こんな姿、洞潔先生が見たらきっとびっくりするよ…笑

酒呑童子

洞潔…

酒呑童子

そうですね…でも

酒呑童子

あいつにだけは見られたくないな…笑

天野ナツメ

そうだね笑

空を見上げるナツメ

天野ナツメ

でも良かった、酒呑くんが笑ってくれて

酒呑童子

え…?

天野ナツメ

だって酒呑くん、あれから笑わなくなっちゃったからさ

天野ナツメ

何か自分にもできることはないかなってずっと考えてたんだ

酒呑童子

そんな…

酒呑童子

不甲斐ないです…

天野ナツメ

気にしないでってば

優しい風が吹き、桜の花びらが散る

天野ナツメ

あっ!桜だ!

酒呑童子

ナツメが見とれていると

酒呑童子

姫には…
まだ話していなかったでしょうか

天野ナツメ

酒呑童子

我ら鬼族の”鬼桜”のことです

天野ナツメ

鬼桜…?

酒呑童子

はい
それはもう見事な大樹で

酒呑童子

何千年もの前からその姿はその場所で変わらず、朽ちることはなかった

天野ナツメ

(…なんだろう、初めて聞くのに)

天野ナツメ

(懐かしい感じがする…)

酒呑童子

そして、この桜の花が満開になったとき

酒呑童子

“朱夏様の生まれ変わりがいるかもしれない”と…

酒呑童子

私は人間界へやってきたのです

天野ナツメ

へぇ〜

天野ナツメ

その桜がなかったらわたしたちと酒呑くんは出会ってなかったんだ

酒呑童子

…そうですね

天野ナツメ

きっと…朱夏もお気に入りの場所だったと思うな

天野ナツメ

…鬼桜か〜
わたしも見てみたいな

酒呑童子

…申し訳ありません、姫

酒呑童子

あの木は、私が洞潔をアシュラ豪炎丸で斬ったと同時に燃え尽きてしまいまして…

天野ナツメ

あっ…そうだったんだ!

天野ナツメ

ごめんね、辛い話させちゃって…

酒呑童子

姫が気にされる必要はありません!

酒呑童子

もっと早くこの話をしておけば…

天野ナツメ

いいのいいの!

天野ナツメ

…それに多分、
これで良かったんだと思う

酒呑童子

…?

天野ナツメ

だって

天野ナツメ

酒呑くんが、もう過去に囚われずに生きていけると思うから

酒呑童子

私が…?

天野ナツメ

うん

天野ナツメ

空亡との戦いも、朱夏の神話も、何もかもあの戦いで終わった

天野ナツメ

でもいつかまた、酒呑くんがあの桜を見たら

天野ナツメ

…全部思い出しちゃうんじゃないかって

酒呑童子

姫…

天野ナツメ

だから、これで苦しい過去とはもうお別れ!

天野ナツメ

またここから新しい物語が始まろうとしてるんだよ!

そのナツメの前向きな姿に 朱夏の面影を感じた酒呑童子

酒呑童子

…!

酒呑童子

…姫

天野ナツメ

ん?

酒呑童子

私は、こうしてあなたに思いを打ち明けたことで

酒呑童子

ずっと背負っていた肩の荷が、だんだんと下りていったように感じます

酒呑童子

この一時の間で、あなたの言葉がどれだけ私の心を救ってくれたでしょうか

天野ナツメ

そんな!大袈裟だよ

酒呑童子

姫…いや、

酒呑童子

天野ナツメ

酒呑童子

朱夏様の生まれ変わりが、“あなた”で良かった

ナツメの目をまっすぐ見つめる酒呑童子

天野ナツメ

そんなに見つめられると恥ずかしいんですけど…

酒呑童子

ふっ笑

酒呑童子

それでは、
私はそろそろ行きます

天野ナツメ

えっ?

天野ナツメ

行くってどこに?

酒呑童子

妖魔界です

天野ナツメ

天野ナツメ

やっぱり…帰っちゃうの?

酒呑童子

…はい

酒呑童子

私は本来、あちらの世界に在るべき存在ですからね

酒呑童子

そして私は表の妖魔界ではなく、裏社会と呼ばれる場で活動している妖怪なので

酒呑童子

尚更、人間界に長居すべきではないのです

天野ナツメ

そっか…

天野ナツメ

さっきはそんなことも知らずに引き止めようとしてごめんね…

酒呑童子

!!

酒呑童子

…いえ、寧ろ

酒呑童子

姫が私を必要としてくださることが、嬉しかったです…

天野ナツメ

酒呑くん…

天野ナツメ

じゃあ、
これが最後の”命令”ね?

酒呑童子

天野ナツメ

たまには人間界にも遊びに来なさいよ?

酒呑童子

…はい!

酒呑童子

姫も、困ったことがあればいつでもお呼びください

酒呑童子

たとえ地の果てでも駆けつけます

天野ナツメ

酒呑くんも、ピンチのときは私たちを頼ってね

酒呑童子

ありがとうございます
姫…

酒呑童子

では、さら…

天野ナツメ

待って!

酒呑童子の手首を掴むナツメ

酒呑童子

…?

天野ナツメ

酒呑くん、もう学校にも来ないってことだよね…?

酒呑童子

あぁ…そのことでしたら心配はご無用です

天野ナツメ

わっ!

酒呑童子が”酒呑ハルヤ”へと姿を変える

酒呑ハルヤ

クラスメイトには、私は別の学校へ転校したとお伝えください

天野ナツメ

そんな…

天野ナツメ

(学校からも酒呑くんの存在は消えちゃうんだ…)

酒呑ハルヤ

姫…

酒呑ハルヤ

そんな顔をなさらないでください

ナツメの手を両手で握り返すハルヤ

酒呑ハルヤ

私のことは、
あなたさえ覚えてくれればそれでいいのです

天野ナツメ

酒呑くん…

天野ナツメ

(そうだよ、わたしだって乗り越えなきゃ)

天野ナツメ

分かった!

天野ナツメ

少し寂しくなっちゃうけど、何だかんだわたしに

天野ナツメ

”普通じゃない日常”をくれてありがとね!

酒呑ハルヤ

はい、姫

酒呑ハルヤ

あなたの傍にいることができて、わたしは光栄でした

酒呑ハルヤ

はっ!!そうだ…!

天野ナツメ

どうしたの?

酒呑ハルヤ

ミッチー先輩にも最後の挨拶をしなければ!!

天野ナツメ

ガクッ

天野ナツメ

なんで今ミッチーの名前が出てくるのよ…

酒呑ハルヤ

あのお方は姫のボディーガードの大先輩ですので!!

天野ナツメ

(思い出した、たしかあんたが2号になるとか言ってたっけ…)

天野ナツメ

(あと前々から思ってたけど…)

天野ナツメ

(酒呑童子と酒呑ハルヤって本当に同一人物なの…?)

天野ナツメ

はぁ…

天野ナツメ

大丈夫よ、それも私が伝えておくから

酒呑ハルヤ

ありがとうございます!

天野ナツメ

それはいいんだけど…

酒呑ハルヤ

はい…?

天野ナツメ

その手、そろそろ離してくれない?

天野ナツメ

なんか恥ずかしいから…

酒呑ハルヤ

ッ!!

酒呑ハルヤ

これは失礼しました…!

ハルヤがナツメの手をパッと離す

天野ナツメ

(あれ…)

酒呑ハルヤ

それでは、姫

酒呑ハルヤ

お元気で

天野ナツメ

…酒呑くんもね!

そう言うとハルヤの姿は消えてしまった

天野ナツメ

行っちゃった…

次の日・探偵事務所にて

有星アキノリ

ふぅ〜

有星アキノリ

空亡も倒したし、また新たな怪奇案件でも探しますかっ!

月浪トウマ

…そういえば

月浪トウマ

酒呑くんってあれから見てないよね

有星アキノリ

あ〜
そういえばそうだな

有星アキノリ

あいつ、なんも言わないでどこいったんだ?

有星アキノリ

あ、ナツメならハルヤからなんか聞いてるんじゃないか?

暗い顔を見せるナツメ

月浪トウマ

…ナツメ?

月浪トウマ

大丈夫?

天野ナツメ

あ、ごめん

月浪トウマ

酒呑くんのこと何か聞いてない?

天野ナツメ

…それなんだけど

ハルヤのことを説明するナツメ

月浪トウマ

…そうだったんだ

月浪トウマ

じゃもう酒呑くんはほとんどこっちに来ないんだね

有星アキノリ

まああれだけ姫〜姫〜ってうるさいのがいなくなって

有星アキノリ

清々したんじゃないか?

天野ナツメ

っ…
そんなこと言わないで!

天野ナツメ

あ、ごめんねアキノリ

月浪トウマ

ナツメ…

天野ナツメ

そうね、騒がしいボディーガードがいなくなって気が楽になったわ

天野ナツメ

これで”姫”って呼ばれることもなくなったし

月浪トウマ

天野ナツメ

さ、今日の怪奇案件はなんだろう〜?

案件を解決し終えた三人

有星アキノリ

じゃ、またな〜!

アキノリが家へ入る

月浪トウマ

ねぇ、ナツメ

天野ナツメ

どうしたの、トウマ?

月浪トウマ

なんか今日、一日中元気ないけど…

天野ナツメ

え…そ、そうかな?

月浪トウマ

もしかしてだけど…

月浪トウマ

酒呑くんのことが…

天野ナツメ

え!

天野ナツメ

何言ってるのよ
トウマったら

天野ナツメ

さっきも言ったでしょ

天野ナツメ

姫姫うるさいのがいなくなって良かったって…

月浪トウマ

その割には、あんまり嬉しそうじゃないけど…

天野ナツメ

天野ナツメ

本当はね

天野ナツメ

…ちょっと寂しいかも

月浪トウマ

月浪トウマ

やっぱり、そうだったんだ

天野ナツメ

え?

月浪トウマ

僕も、もうちょっと酒呑くんと話してみたかった

天野ナツメ

トウマ…

月浪トウマ

…実はね

月浪トウマ

ビャッコ大霊槍をナツメの元へ届けに行ってるとき

月浪トウマ

酒呑くんが

沈黙が続く二人

月浪トウマ

ねぇ、酒呑くん
ちょっといいかな?

酒呑ハルヤ

なんだ、月浪トウマ

月浪トウマ

ナツメが姫って分かったとき、僕は…

月浪トウマ

酒呑くんが、ナツメを無理やりにでも妖魔界へ連れて行くと思ったんだ

酒呑ハルヤ

フッ

酒呑ハルヤ

何を語り始めたかと思えば…

月浪トウマ

だって酒呑くんは

月浪トウマ

鬼族を復興させるために、何年もこっちで姫を探してたんでしょ?

月浪トウマ

君なら、そのぐらい大胆な行動に出てもおかしくないはずなのに

酒呑ハルヤ

…それができるなら
そうしていただろう

酒呑ハルヤ

だが、

酒呑ハルヤ

お前も知っての通り、姫は妖魔界の統治を拒んでいらっしゃる

酒呑ハルヤ

そしてきっとこの先も、
その意志が変わることはないだろう

月浪トウマ

月浪トウマ

なら、君たちの悲願は…

酒呑ハルヤ

…ああ

酒呑ハルヤ

叶わぬ夢となってしまった

酒呑ハルヤ

しかし、姫の命が狙われている今となれば

酒呑ハルヤ

我らの悲願など…

言い切る前にかつての仲間、 洞潔のアシュラ豪炎丸を見つめるハルヤ

月浪トウマ

…?

酒呑ハルヤ

(…洞潔)

酒呑ハルヤ

(お前の思いも…俺は…)

酒呑ハルヤ

…いや、

酒呑ハルヤ

どんな結末になろうと
覚悟はできている

月浪トウマ

…!

酒呑ハルヤ

姫が支配することを否定しようがせまいが

酒呑ハルヤ

俺は姫の考えを尊重する

酒呑ハルヤ

それが姫の”ナイト”である者の務めだからな

月浪トウマ

(酒呑くん…)

月浪トウマ

…って言ってたんだ

天野ナツメ

そんな…

天野ナツメ

まさか酒呑くんが、そんなに私の気持ちを考えてくれてたなんて…

月浪トウマ

うん…

月浪トウマ

酒呑くんってああ見えて

月浪トウマ

結構、優しいんだよね

月浪トウマ

ちょっと不器用なところもあるけど…

天野ナツメ

…わたし
そんなことも知らないで

天野ナツメ

ずっと我儘言ってたんだ…

月浪トウマ

ナツメ

月浪トウマ

僕はナツメに、自分を責めてほしくてこんな話したんじゃない

月浪トウマ

酒呑くんがナツメにそうしたように

月浪トウマ

今度は僕が、ナツメを守りたいんだ

天野ナツメ

トウマ…

天野ナツメ

あなたは十分、わたしを守ってくれたじゃない

月浪トウマ

いや…そうじゃなくて

月浪トウマ

僕は

月浪トウマ

…”一人の男”として

月浪トウマ

君を守っていきたいんだ

天野ナツメ

…え?

天野ナツメ

トウマ、それって

月浪トウマ

あっごめん
これ…伝わってるかな

天野ナツメ

…ありがとう

天野ナツメ

その想い、ちゃんと”ここ”に届いたよ

胸に手を当てるナツメ

天野ナツメ

伝えてくれてありがとう

天野ナツメ

…わたしもトウマが好き

月浪トウマ

…!

夕焼けのせいか 顔が赤くなっている二人

月浪トウマ

ナツメ…

天野ナツメ

でも、守られてばっかじゃダメね…笑

天野ナツメ

わたしだってトウマを守ってみせるわ

月浪トウマ

え?

天野ナツメ

…だってわたしは

天野ナツメ

朱夏の生まれ変わりだもん!

月浪トウマ

ナツメ…

天野ナツメ

これからもお互い、助け合いながらやっていこうね!
トウマ!

天野ナツメ

あ、玄冬!

月浪トウマ

ははっ笑

月浪トウマ

はい、朱夏様!

天野ナツメ

ふふっ笑

そんな二人を影から見ていた者がいた

有星アキノリ

…よくやったぞ、トウマ

有星アキノリ

やっぱりナツメと両思いじゃん!

???

…むむっ!

有星アキノリ

わっ!?

ミッチー

アキノリ…
今、誰と誰が両思いと言った?

有星アキノリ

ってなんでお前がいるんだよ!

ミッチー

いいから答えろー!!

有星アキノリ

見りゃ分かんだろ!

有星アキノリ

トウマとナツメだよ!

ミッチー

ミッチー

はああぁぁあー!!?

天野ナツメ

あれっ?

月浪トウマ

ん?どうした?ナツメ

天野ナツメ

なんか今、誰かの叫び声
聞こえなかった?

月浪トウマ

え、そうかな?

一方…

有星アキノリ

バカッ!うるせーよ!

有星アキノリ

(ベシッ)

ミッチー

…ッイデ!

有星アキノリ

いや〜
前からあの二人お似合いだと思ってたんだよな

ミッチー

ナ、ナ、ナツメさん…

有星アキノリ

ん?あっ…

ミッチー

私の…ナツメ…しゃん

有星アキノリ

…ミッチー?

ミッチー

許せない…月浪トウマ…

ミッチー

私の許可なくナツメさんとムフフな思い出を作るなんて!!

有星アキノリ

(…やっぱこうなるよな)

ミッチー

それにあいつはいつからナツメさんのことを気にかけていたというのだ!!?

ミッチー

私はあんなに一生懸命ナツメさんのボディーガードに務めていたというのに!!

有星アキノリ

それ、付きまとってたの間違いじゃ…?

ミッチー

ううぅ…そんなぁ…

ミッチー

あなたの近くにはこの”ミッチー”というナツメさんを守るのに最も適任な男がいるというのに…!!

思ったより酷く落ち込むミッチー

有星アキノリ

まあ…気持ちは分かるよ

ミッチー

アキノリ…

有星アキノリ

でも、今のナツメの顔見てみろよ

ミッチー

満面の笑みを浮かべるナツメ

有星アキノリ

あんなに嬉しそうだぜ?

ミッチー

!!はっ…

有星アキノリ

お前、ナツメのボディーガードなんだろ?

有星アキノリ

ナツメが幸せそうなら、
お前もナツメの幸せを見守ってやれよ

ミッチー

アキノリ…

有星アキノリ

だから、そういつまでもへこたれてんな!

ミッチー

ッアキノリ!!

急に立ち上がるミッチー

有星アキノリ

うわぁ!!

有星アキノリ

いちいち大声出すなよ!

ミッチー

お前の言う通りだ

ミッチー

このミッチー…感動したぞ

有星アキノリ

え?

ミッチー

よし!これからはお前をナツメさんのボディーガード3号として認めよう!!

有星アキノリ

…は?3号?

ミッチー

そして共にナツメさんを守ろうではないか!!

有星アキノリ

ちょ、なんで俺までナツメのボディーガードすることになってんの!?

ミッチー

ナツメさぁ〜ん!!

有星アキノリ

あ、おいバカッ!

ナツメの元へ駆け出すミッチー

天野ナツメ

ミッチー!?

月浪トウマ

うわっ…!

天野ナツメ

ちょっと、あんたいつから居たのよ!!

天野ナツメ

って…

天野ナツメ

アキノリまでっ!?

有星アキノリ

あはは…笑

天野ナツメ

まさか…
あんたたちずっと見てたの?!

有星アキノリ

いやそれは〜

有星アキノリ

一応ここ俺の神社だし…

有星アキノリ

“たまたま”ね〜…

ミッチー

はっはっは!!

ミッチー

ナツメさんの幸せは私の幸せだ〜!!

天野ナツメ

はー!?
なによそれ!!

月浪トウマ

ふふっ笑

天野ナツメ

ちょっと!!
笑ってないでトウマも…

月浪トウマ

ナツメのそういうとこも好きだな

天野ナツメ

…!!

天野ナツメ

恥ずかしいってば…

ミッチー

ぬあぁぁあぁぁ!!

有星アキノリ

ラブラブだなっ!

天野ナツメ

ちょっと2人とも!!……

有星アキノリ

(…ある意味、ハルヤがいなくて良かったかもな)

有星アキノリ

(こんなん見られたらすげぇ嫉妬するだろうし…笑)

ꕤ︎︎ꕤ︎︎ꕤ︎︎ꕤ︎︎ꕤ︎︎ これからも私たちの日常は続いていく

新しい春に向かって、ね────

───その頃、妖魔界では

酒呑童子

姫は今頃何をされているだろうか…

酒呑童子

!?

酒呑童子

はっ…くしゅん!!

酒呑童子

今のは一体…

酒呑童子

ま、ただの風邪か

世の中には 知らないほうが良いこともある

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