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雲ひとつ無い、青空──、 木々から落ちる木漏れ日が、風が吹く度にゆらゆらと揺れる この雰囲気が心地良くて…… 芝生に大の字に寝転がって、目を閉じた 聞こえるのは、鳥の囀りと風が草木を揺らす音 時折枝が折れる音に、水が流れる音……
近くにそれなりの大きさの滝もあるからか、 何とかイオン?が出てて涼しい 辺りを見渡せば、樹齢100年は越えているであろう巨木だらけで、神秘的な雰囲気が漂っている 勿論、近くに町や村なんてのも無い ───あるのは、俺が建てた家だけ
スバル
薄々気付いてはいたが、 どうやら俺は睡眠も、食事も出来ないらしい まぁ…正確には、必要無くなってたみたいだ ─────これだけ聞けば、凄く良さそうに聞こえるが全然そんなことは無くて、逆にめちゃくちゃ最悪だった ここに来てから初めて、木の実をひとつ食べてみた “前”は地上があんなんで食料なんて全く無かったし、 「不死だし、いいか」と、かなりの年月食事してこなかったのが仇になって、体が受け付けずに吐き戻してしまった ───それから10日くらいかけて、少しずつ慣らしていって少量だが何とか食べられるようになった そもそも味覚が無いから食べたとしても、 「熱い」か「冷たい」かくらいしか分からないから食の楽しみが無いし 何が何でも寝てやろうと、睡眠を促すアロマや音楽をかけても一向に眠気が来ないせいで、1日がやたらながぁ〜く感じる
───── そんな事もあって…… あれだけ大好物だったステーキやプリンなんかは、見た目と雰囲気で「あぁ、美味しそうだね」くらいしか思わなくなったし、 ──どうしても暇な時は、インベントリの中のアイテムを眺めて思い出に浸っているか、こうして外に出て日向ぼっこして過ごして何とか時間を潰していた
スバル
─────そういやこの後買い出しに行くんだっけ あー… 走ってきてるわ
スバルの事を大声で呼びながら 気配がひとつ、近付いてくる
スバル
「よいしょ」と、いかにもオジサンくさいセリフを口にしてスバルは立ち上がった
そしてスバルの前には少年が、 ゼェゼェと息を切らし、咳き込みながらも 腰に手を当てて立っていた
スバル
「体力が無い」 この言葉を聞いて眉間に皺を寄せて、恨めしそうにスバルを睨んでくる
その姿が凄く可愛く、面白くて 少年の頭をワシワシと両手で撫で回す
目を閉じて満更でもない表情をしたかと思うと、今度は耳まで真っ赤にして恥ずかしそうにモジモジと縮こまってしまった
スバル
この通り 俺には現在、息子がいる
勘のいい人なら、もう気付いているだろう そう、コイツは─────
スバル
スバル
─────あの、爽である
爽
遡ること半年前─────
結局あの2人の記憶は────消した
もう二度と思い出しませんように、と…
心の中で願った
スバル
爽(ソウ)
きっと、酷い顔をしていたんだと思う
爽が静かに寄り添ってくれていた
俺は、爽に抱きつき、 そのまま暫くふわふわの毛に埋まっていた
ソレが起きたのは、
俺が小さく吐いた溜息と
ほぼ同時だった
────ボンッ
─────僕はずっと思っていた…
父上と同じ、「人間」だったら… 父上と同じ、「言葉」を話せたら… ──────────と、
僕の母様と父様、それと3匹の兄様達は、ヤクサイと勇敢に戦って殺されてしまった この時、僕はまだ子供で…… 母様は、最後… 僕を隠すように覆い被さって、動かなくなった
覆い被さる母様の隙間から見れば… 父様と兄様たちが、ヤクサイに食べられていた そして数体、こっちを見たヤクサイが 次第に近付いて来ている
───僕はもう、死ぬんだと思った
そしたら
頭上に影がひとつ、通った
─────刹那、
鮮やかな鮮血と共に、 ヤクサイの首がひとつ 地に落ちた───
─────強い、 その「人間」は……本当に強かった ヤクサイに一切遅れをとることも無く、 一太刀で首を斬り落としていく姿は…… まるで───── ──────────「勇者」
僕は、その勇者の姿から目が離せなかった ……否、離させなかった その攻撃が、余りにもキレイで… ──飛び散るヤクサイの血が、 更にあの人の存在を引き立てる 剣に着いた血を払う動作さえも…… ────あんなに沢山いたヤクサイは 全てあの人が倒してしまった
「この人だ」
─────そう思うよりも先に、 僕はあの人に向かって走っていた
英獣には、必ず仕えるべき「主」が この世界の何処かに居るらしい それは運命のようなもので、 滅多に出会えないのよ、と 母様が教えてくれた ───僕は気になって、「主」とは何なのか 母様に聞いてみた事があった
母様も、詳しくは知らないと言われた …でも、出会った方を知っているらしい その方が言うには、
まず、直感が7割 そして、その方から見て取れる 「強さ」「優しさ」「偉大さ」やらが2割… んで、最後の1割は─────
途中で躓いて転ぼうと、 早くあの人の元へ行きたくて 無我夢中で走った 途中、僕に気付いてくれて 立ち去ろうとしていた足を止めてくれた
僕は足元に座って 真っ直ぐあの人の目を見た 逆光で殆ど顔は見えないけど、 この人も僕の事を見ているのは分かった ……間違いなく、この人だと確信した ────この人が、僕の「主」だと
…だってこの人からは─────、
最後の1割は、────「匂い」だ もし、その方が本当に「主」なら あったけぇ匂いがするんだ ───お前さんも、会えばわかるぜ
お日様と 桜の匂いがしたから
これが、父上との出会い
────ボンッ
スバル
いきなり、何かの爆発音がしたと思うと 爽が大量の煙に包まれてしまった 突然の出来事で、暫く固まっていると 次第に煙は薄れていった 一体何だったのかと不安に思っていると 爽に違和感があった
……ん? あれ?
なんか…、?
俺は、爽に目を向けた そしたらそこには─────
スバル
スバル
爽
人型になった、爽がいた─────