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こさめはなつ君のことが好きだった。初めは仕事仲間でしかなかったけど、一緒に過ごす内になつ君の色んな面を知って、気付いたら好きになっていた。でも、こさめは誰よりもなつ君のことを見ていたから気づいた。…なつ君はLAN君が好きなんだ…。
とはいえ、こさめも友達としてLAN君のことは好きだったし、良好な関係を築いていたと思う。…本当に、LAN君のことも好きだったんだ。
でも、こさめは悪い子だから。…LAN君が行方不明になった、って聞いて“これでなつ君はこさめを見てくれる”…そう思っちゃったんだ。だからこれは、そんな悪い子のこさめへの罰なんだ。
***
夜の見回りから帰ってくると、なつ君の姿が見えなかった。まニキとすっちーが談話室で話してて、こさめと一緒に見回りしてたみこちゃんは“報告書纏めてくるね”、と自室に戻った。
雨乃こさめ
特になつ君に用事があるとかじゃないんだけど、見回り中に何かあった時のために、見回りしない組も談話室で待機ってことになってるんだけど…。
すち
いるま
雨乃こさめ
そう言って談話室を出て、こさめは建物内を探す。
雨乃こさめ
この建物はこさめ達の所謂仕事場兼家でもある。この街の警察はこさめ達だけだし、いざという時連携が取れないと困るからって仲良くなる為に用意された家に、全員共同で住んでる。
それぞれの部屋と共通の食堂と台所とお風呂と厠。最初は気まずかったけど、年齢が近いのもあってすぐに仲良くなったし…こさめみたいに、友情以上の感情を抱いてる人も…。
雨乃こさめ
これで残ってるのは縁側くらい。でもこんな寒い日に、わざわざ縁側に出る理由があるとは思えないんだけどな…。
そう思いながらこさめは縁側に向かう。ひらりと舞うなつ君の制服の裾が見えた。
雨乃こさめ
声をかけようとして、目に映った光景に、こさめは言葉を失った。
雨乃こさめ
特徴的な黒と桃色の髪に、特徴的なイヤリング。…そして、人間にはない角と口元を隠すマスク。そんなLAN君と、なつ君がキスしていた。口元を隠しているマスクのせいで、直接キスしてるわけじゃないけど…。それでも、その光景はこさめにとってあまりにもショックだった。
いるまからLANが鬼となって生きてるかもしれない、という話を聞いた日から、俺は言いようのないもやもやを抱えていた。いるまの前ではああ言ったが、俺だってLANが生きてるならそれでいいと思いたい。けど、俺達は警察で。市民の平和を守る為に、鬼は抹殺しなきゃいけない。
こさめとみことが夜の見回り中、なんだか落ち着かない俺は談話室を抜け出して、縁側に来た。理由があったわけじゃないけど、一人になりたかった。今日みたいな寒い日にわざわざベランダに出てくるような奴はいないだろう。
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答えは帰ってこないとわかっていても、問い掛けずにはいられない。
人間のまま側に居てくれたら。恋人になりたいなんて烏滸がましいこと言わないから、ただ俺の側で笑ってくれてたら、それだけで幸せだったのに。
LAN
頭上から大好きな彼の声が聞こえた。顔を上げると、縁側の柵に立っているLANの姿。その姿は伝承通りの鬼そのものだった。
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LAN
一週間ぶりくらいに見たLANは、行方不明になる前と何も変わっていなかった。…いや、角が生えたこととマスクをしていること以外は。
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本当はすぐにでも抱き締めたかった。もう俺の前からいなくならないで、って懇願したかった。でも、LANは縁側の柵に立っているせいで、抱き締めることは叶わなかった。
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LAN
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それはつまり、俺達の元には帰ってこれないということだ。
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LAN
どうやら俺の好きという言葉は友愛の意味に捉えられたらしい。…LANにとって俺は恋愛対象外ってことか…。
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LAN
…どうせ俺のものにならないのなら。LANとは共存できないのなら。
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