鈴木
鈴木
芬
特に意味もなく、歓楽街で来ては消える人の波を眺めていた。 常識に囚われる生き方は嫌いだった。
何もせずただ何かを眺めているだけの生活の方が、 俺の性分に合っている。
所謂、“現実逃避”をして、一時的な心の余裕を繕う時間なのだ。
波に揉まれて生きるより、その波を遠くから眺めていた方がマシだという 個人的な思想を持っていた。
頭の中で自分のことに関わる事を考えては消して、 なんて意味の分からない行動を繰り返していると、不意に肩を叩かれた。
芬
露
芬
露
自分から聞いておいて、薄い反応を示すロシア。 別に反応がどうかなんて何も咎めないが。
...此奴と一緒に居ると何故か心の余裕が生まれる。 其れは、繕って生まれた物ではなく、自然に生まれる物だった。
サファイアの様に綺麗で透き通った眼の中に、 少しでも俺を閉じ込めてはくれないだろうか。
この感情の名前も知らずに生きる事は罪なのだろうか?
俺は未だにそれを知らずに、 歓楽街とは反する様に、ゆっくりと生きていた。
歓楽街の喧騒の中、1人静かに其処に居る彼奴を見つけた。
その後ろ姿は、100年以上生きてきた歴史と経験、 そして彼奴の何かが醸し出す、人を魅了する様な儚い雰囲気を纏っていた。
その姿が何故か魅力的に見えて。 駆け寄りたくなる様なそんな姿が。
如何しようもなく好きだ。
フィンランドに用も無いのに、つい肩を叩いてしまった。
芬
露
俺がそう問いかけると、フィンランドは平然と答えた。 ...でも、その眼が少し曇った様にも見えて。
芬
露
...その眼が伏せられた理由は? 何も分からなかった。
俺はまだ...フィンランドの事を何も知らない。
鈴木
鈴木
鈴木






