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零円の告白

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零円の告白

17 - after story1

♥

136

2025年04月14日

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23歳、春。

街の景色は少し変わったけど

私の隣には

あの日と同じ香りがした

○○

よし…

私は鞄を肩にかけ

会社へ向かった

ビジネス街の一角

高層ビルの10階

その一室で私はネクタイを締めた

男性社員たちに囲まれていた

社員

新人のくせに

社員

やけに冷静だよな

社員

白井

一人の社員が私を見てヒソヒソと話し始めた

社員

まぁでも

社員

部長のお気にらしいぜ?

…気にしない、気にしない

表向きは「新入社員」だけど

実際はこの会社の「次期社長」

もちろん

その事を知っているのは部長とごく1部だけ

お父様とお母様の反対を押し切って

新入社員として入社をした

私は…私の力で登り詰める

小雪

あ、○○さん

小雪

おはようございます

デスクからひょこっと顔を出して挨拶してきたのは

1年前に入社した女の子の

小雪ちゃんだった

○○

小雪ちゃんおはよう

小雪

今日も頑張りましょう!

そう言って私にガッツポーズを向けた

可愛いな…

小雪

お昼一緒に食べませんか?

○○

うん食べよっか

私はそう小雪ちゃんに言い

自分のデスクに着いた

私はかなりの仕事を任されている

それは社長の娘だからではなく

成績を残しているから

それでも…枕を疑われたりするのは

仕方ない事なのかな

○○

はー…

私は仕事をしながらも

頭を悩ませた

そしてお昼休み

私たちは会社を出て

オシャレなカフェに入店した

小雪

うわー…美味しそう

○○

でしょ?

○○

前来た事あるけど

○○

とても美味しかった

小雪

○○さんが言うなら

小雪

ぜったい美味しい!

私たちは注文をし

料理が運ばれてくるのを待った

そして数分後

店員

大変お待たせ致しました

私たちが頼んだ料理が運ばれ

それぞれ口にした

小雪

美味しい!

小雪ちゃんはキラキラした目で私を見てきた

○○

ほんと?良かった

小雪

ほんとですよ!

美味しそうに食べる小雪ちゃんを見ていると

小雪

あ、そうだ○○さんって

○○

ん?

小雪

彼氏いましたっけ…?

○○

彼氏?

○○

うんいるけど…

私と治はあれからもずっと付き合っている

小雪

あ、やっぱりそうですよね

○○

やっぱり?

○○

急にどうしたの

小雪

いや…なんか

小雪

経理の山田君が

小雪

○○さん紹介して欲しいって

小雪

うるさくてうるさくて

○○

あー…

確か前に費用のあれで顔出したんだっけ

小雪

でもやっぱそうですよね

小雪

世の中の男が

小雪

○○さんを放って置くわけないですよね

○○

いやいや…

小雪

あ、そこ謙虚にならないでください

小雪

○○さんは完璧です

○○

ありがと小雪ちゃん

小雪

それにしても…

小雪

○○さんをゲットした彼氏!

小雪

何者ですか!

○○

え…?いや

○○

普通の人だけど

小雪

嘘ですよー…

小雪

絶対かっこいいですよ

○○

んー…まぁ

○○

かっこいいけど

小雪

ほら!

小雪

やっぱりそうですよね

○○

でも私は性格が好きなの

○○

彼の

小雪

うわ…いいです

小雪

すごくいいです

○○

え?

小雪

羨ましい…彼氏さん

そう言って小雪ちゃんはカフェオレを飲んだ

小雪

でも○○さんって

小雪

すごく忙しいですよね

小雪

会えてるんですか?

○○

あー…

そう

私たちの一番の問題は

会えていない…ということだった

○○

近くにはいるんだけど

○○

2週間ぐらい会えてなくて

小雪

え…まじですか

○○

うん

○○

彼はお店を経営してて

○○

それが最近忙しいみたいで

小雪

まさかの経営者ですか

○○

まだ小さいお店だけど

○○

とてもいい店なの

小雪

いつか行きたいです!

○○

もちろん

夜、私が仕事を終え

治の店の前を通ると

店のあかりは既に落ちている

治は仕込みもあって朝は早いため

夜寝るのが早い

睡眠時間を削ってしまうと

負担になってしまうかもしれない

そう考え顔を出すのは控えていた

逆に治が仕込みを終え

私に連絡をしても

私は会議中のことがほとんど

つまり、殆ど会えないということ

お互い仕事だから仕方ない…

でも

小雪

でも…それって

小雪

寂しいですね

○○

うん

○○

仕方ないことだけど

○○

少し…寂しいかも

私は視線を落としてスマホを見た

もちろん治からの連絡は無い

きっと今はお昼時で忙しいはず

小雪

どこら辺にお店構えてるんですか?

○○

あ…えっとね

○○

結構近くて

○○

ビジネス街のもう一本奥

○○

裏入ったところだよ

小雪

近いじゃないですか

小雪

お昼食べに行ったらいいのに…

○○

ううん

○○

仕事中に行ったら

○○

迷惑になるかもだし…

私がそう言うと

小雪ちゃんは「そんなことないのに」

とボソボソ言っていた

そしてその日の夜

私は12時に家に帰り

疲れ果てた状態で

私がお風呂に入り

髪の毛を乾かそうとしたその時

ガチャとドアが開いた

○○

うわ…なんや

治が家に来た

○○

え、なんで

いや…

顔見たかっただけや

そう言うと私の横に腰をかけた

○○

明日早いんじゃないの?

ん?

さぁ

少しはぐらかしながら

私の頭をタオルでわしゃわしゃと拭いた

というか

もう寝てるかと思たわ

○○

うん…今日忙しかった

そうなんや

お疲れ様

○○

治は?

○○

忙しかったでしょ

んー…そやな

忙しかったわ

今日北さん来てな

○○

あ、そうだったの

そろそろバイト雇わな

店回らんかもな

○○

そっか…

バイトか…若いことか

入るのかな

何考えてるん

○○

いや…

俺の彼女は可愛ええわ

ほんまに

○○

は…なに急に

心配せんでも

俺は○○一筋10年目

○○

嘘つきですね

○○

6年目じゃないですか

あ、ばれた?

○○

うん

○○

バレバレ

少し他愛もない話をしながら

治は私の髪を乾かしてくれた

○○

ありがと

ええよこんぐらい

○○

というか…なんで来たの?

なんで来たあかんねん

○○

そういう訳じゃ無いけど

○○

忙しいのに

忙しいから来たんや

癒されるために

本当は寝顔だけ見ようと思ったんやけど

起きてたからな

○○

そっか…

癒されるため…か

○○

あのさ…治

ん?

○○

私すごく

○○

寂しかったし…

○○

会いたかった

うわ…なんや○○

誰に教わったんそれ

可愛すぎやろ

なんなんマジで

俺を苦しめる気か

○○

え、は?

○○

何が

急に素直になられたら

心の準備いるから

○○

なんでよ

○○

そう思ったんだよ…ほんとに

まぁ…俺もやけどな

治はそう言うと私を引き寄せ

ハグをした

落ち着く…

少し目を閉じると

私は眠りについてしまった

○○

ん…

○○

あれ…

○○

治?

確かに昨日来たはずなのに

私の隣は冷たかった

○○

疲れてて寝ちゃったのか

○○

はー…

○○

久しぶりに会えたのに

○○

なんか…勿体ないことした気分

キッチンに行き

グラスを取り出す時に

あるものが視線に入った

○○

ん?

それは

治が握ったおにぎりだった

○○

あ…おにぎりだ

治の握るおにぎりはピカイチで美味しい

これは彼氏贔屓なしに美味しい

○○

やった…

私はそのおにぎりを食べ

会社へ向かった

そして会社のエントランスに入ると

小雪

あ!○○さんだ

○○

小雪ちゃんおはよ

小雪

おはようございます!

小雪

いい事ありました?

○○

え…いや、特に

小雪

えーほんとですか?

小雪

なんかツヤツヤしてます

○○

え、嘘そんなことない

小雪

私の目はごまかせません

○○

いや…今日ちょっとだけ

○○

彼氏が来て

小雪

良かったですね!

○○

とは言っても

○○

すぐ寝ちゃったんだけど

小雪

仕方ないですよ

小雪

昨日は忙しすぎました

○○

うん...ほんとにね

そしてオフィスに着くと

小雪

ん…?なんか人多いですね

○○

確かに...

いつもよりオフィスの中は

人でいっぱいだった

小雪

なんですかね

すると

部長

皆1度こっちに来てくれ

そう部長が声をかけた

みんなが静かになり

部長の方を見ると

部長

中途採用で今日から

部長

この会社に入った

部長

綾瀬くんだ

部長の横には小雪ちゃんぐらいの

男の子がいた

綾瀬

初めまして

綾瀬

綾瀬光樹です

綾瀬

よろしくお願いします

簡単に挨拶を済ませた彼は

部長と会議室に入っていった

綾瀬くんか…かなり静かそうだったけど

小雪

え、イケメンすぎません?

小雪

なんですか今の人

横の小雪ちゃんに目をやると

目が点になっていた

小雪

あれは夢ですか?

小雪

とてもタイプです

○○

小雪ちゃん大丈夫?

小雪

あ、はい

○○

仲良くなれるといいね

小雪

はい!

私が席に着こうとすると同時に

部長が会議室からちょいちょい

と私に手招きをした

○○

ん...?

なんだろ

そう思いながら私は会議室に向かった

会議室に入ると

そこにはちょこんと綾瀬君が座っていた

背丈は高くガッチリしているが

座っている姿はとても小さく見えた

部長

急に呼び出して済まない

○○

いえ、大丈夫です

部長

白井くんに頼みたい案件があるんだ

○○

案件…ですか

部長

そうだ

部長

今から頼む案件を

部長

新人の綾瀬と

部長

一緒にやってくれないか?

無茶な頼みだった

私はまだ新人なのに

新人の世話をしながら

案件を回すなんて

そんなの…

と、最初は思った

でもこれはきっと

お父様が考えたことだと

私は瞬時に理解し

○○

はい

○○

任せてください

そう言ってしまった

前に座っている綾瀬くんは

私のことをじっと見ていた

○○

あ...白井○○です

○○

よろしくお願いします

綾瀬

はい

綾瀬

よろしくお願いします

綾瀬

白井先輩

さっきの印象とは違い

ハキハキと喋る人だった

部長

それで

部長

頼みたい案件はこれだ

そう言って

部長は私たちの前に資料を広げた

○○

本物の手作りを届ける...?

部長

そうだ

部長

今回は地方の味を守るため

部長

若手企業とコラボするんだ

詳細を見るとそれは

「おにぎり宮」と表記されていた

○○

え...?

○○

ちょっと待ってください

○○

このお店とですか?

部長

あぁそうだ

部長

上からの指示でだ

部長

何かあるのか?

○○

...いえ

部長

それじゃああとは2人で

部長

頑張ってくれ

○○

あ...はい

それだけ伝えると

部長はそそくさと会議室を出た

なんで治のお店と?

そんなこと聞いてなかった

綾瀬

あの

と、今まで静かにしていた綾瀬くんが

口を開いた

綾瀬

俺が参加していいんですか

綾瀬

そのプロジェクト

○○

え?

○○

あー...うん

○○

大丈夫だよ

大丈夫と言ったものの

不安は募るばかりだった

あまり知らない相手と

私が扇動を切ってプロジェクトを進める

○○

その前に

○○

色々綾瀬くんの事を知っておきたいから

○○

今日のお昼一緒にどうかな

綾瀬

はい

綾瀬

もちろんです

とは言ったものの...

何から聞けばいいんだろ

○○

あ...えっと

○○

好きな物頼んで下さい

綾瀬

あ、はい

綾瀬

なんで敬語なんですか?

○○

あ、いや

○○

ちょっと緊張して

私にはまだ後輩が少ない

自分が上の立場だとまだ少し緊張をしてしまう

○○

綾瀬くんのこと何も知らないから

○○

少しだけ教えてくれるかな

綾瀬

年齢は24で

綾瀬

前はIT企業に勤めていました

○○

え、

まさかの私より年上だった

すごく童顔なんだ...

○○

私23歳なので

○○

敬語やめてください

綾瀬

それは無理ですね

綾瀬

俺は後輩なので

○○

でも...

綾瀬

気にしないでください

○○

はい

話を聞いていくと

前のIT企業に勤めている時

この会社との企画でお父様に目をつけられ

引き抜かれたとの事だった

○○

そうだったんですね

綾瀬

はい

綾瀬

でもあの会社は辞めようとしていたので

○○

そうですか

営業としての顔も技術も

何もかも十分すぎる逸材だった

○○

今回のプロジェクト

○○

私も頑張りますので

○○

一緒に成功させましょう

綾瀬

はい

こうして私たちは

プロジェクトに向けての1歩を踏み出した

そしてその日の夜

会議が長引き11時ぐらいに会社を後にした

あ...やっときた

○○

え、なんでいるの

迎えに来た

○○

迎え...?

そんなこと今まで無かったのに

○○

ありがとう

○○

うちに来る?

ん、いや

明日も早いから送るだけ

○○

そっか...

綾瀬

あ...

綾瀬

お疲れ様です

○○

綾瀬くんお疲れ様

綾瀬くんは治の方をチラチラみていた

綾瀬

誰ですか?

○○

あ、えっと...

彼氏って言いたいけど

一緒に仕事する事になったから

どうしよう

○○

友達だよ

綾瀬

そうなんですね

綾瀬

じゃあ

綾瀬

お疲れ様です

○○

うん

○○

お疲れ様

綾瀬くんを見送ってから

治の方を見ると

案の定不貞腐れていた

はー...?

なんやねん今の

何が友達や

○○

いや...こっちにも言い分が

なんや言うてみ

○○

そっちこそ

○○

仕事するって

○○

なんで昨日言わなかったの

○○

知ってたでしょ治

あー...

その事か

だって○○すぐ寝たやろ

○○

それは...そうだけど

で、友達ってなんや

○○

違う違う

○○

だって一緒に仕事するのに

○○

付き合ってる事分かったら

○○

綾瀬くん気まずいでしょ

へー...そうなんや

○○

ねぇ

○○

怒らないでよ

○○

私も私で考えてるんだから

別に怒って無い

○○

怒ってるでしょ

いや、なんか

あいつ嫌や

○○

ちょっと...

○○

喋った事ないでしょ

○○

関わってもないし

だってあいつイケメンすぎるわ

完成されすぎやろ

なんやあれ

○○

まぁたしかに

お前は否定しろ

○○

はいはい

○○

治もかっこいいから

まぁな

○○

..それこそ否定しなよ

するかよ

ほら帰ろや

そう言って治は歩き始めた

治は歩き始めてからも

しばらく黙っていた

○○

...なに

○○

どうしたの

いや

ちょっと考え事

○○

さっきのことなら

○○

綾瀬くんは後輩だから

ちゃう...わかってんけど

心配になるんだわ

○○

それって

○○

信用してないって事?

○○

私を

は?

そうやないって

○○

でもそういうことだよね

○○

私だって心配なのに

○○

最近女の子のお客さんも増えたんでしょ

○○

私も普通じゃいられない

○○

でも...

○○

お互い仕事だから

うん

そやな

今のは俺が悪かったわ

○○

いや...

○○

私も少し疲れてて

○○

当たっちゃった

○○

ごめん

大丈夫

もう帰って寝や

○○

...うん

またな

○○

あ...治

ん?

本当は一緒に暮らして

一緒にご飯を食べて

一緒に眠りにつきたい

でもそれって

私のわがままですか...?

○○

いや...なんも無い

○○

また今度

私は手を振って治を見送った

この作品はいかがでしたか?

136

コメント

3

ユーザー

わがままなんかじゃないしむしろお互いの心配も解消されるよ!! 続編まってます!!!!

ユーザー

やばー!○○ちゃん今までの生活上わがまま言い慣れてないんだよね💦続き楽しみすぎる!

ユーザー

すれ違いというか…なんというか…ああ、続き楽しみすぎます…!😭💗

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