スノ短編集

日産スタジアム

あと数分でライブが始まるためみんなで円陣を組んで、ステージに向かう

なんとなく、心にザワザワと不安が蠢いていて落ち着かない

こんな調子じゃダメだ、しっかりしないと……

考え込んでいたのか、声をかけられてやっと翔太の顔が目の前にある事に気付いて驚いた

心配そうに覗き込んでくる幼馴染

“不安そう”

流石、よく気付く

思わず出た言葉に反応する翔太

いつもツンツンな翔太からの甘い言葉

でも言っておいて照れちゃうところが“らしい”

俺の言葉にすぐに真っ赤になる翔太は愛らしいと思う

こんなんだからバブいとか言われるんだろうな

笑ってる俺を見てため息をついた翔太は声色を戻して尋ねてくる

ふと視界に入ったソレに思わず声をかける

俺の言葉に怪訝な表情をしながら俺が指差した“ソレ”を見る

そう言って外した金色のブレスレットがチャリっと音をたてて俺の手のひらに

翔太の熱が残るそれを右手に巻きつけた

右手首に輝く金を眺め、唇を寄せる

無事にライブが終わった

熱が冷めないまま、目の前の翔太に声をかける

全力を出し切って翔太はフラフラで今にも倒れそうだった

俺は右手からブレスレットを外してからその身体を支える

思わずシンクロして顔を見合わせて笑う

なんか後ろから聞こえた気がするけど気にしないことにする

手のひらのブレスレットにキスをして翔太の細い手首にソレを戻した

おしまい