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シャオロン

前川……?

陽菜乃

あたしが

陽菜乃

見えるの…?

俺の名前はシャオロン

幽霊が見える事以外は いたって普通の男子高校生

シャオロン

………

シャオロン

わり、鬱せんせ間違ったみたいや

鬱先生

おお…そうか、そうやと思ったで

鬱先生

シャオちゃんの頭がおかしなったと思ったわ

シャオロン

へーへー

陽菜乃

え、ちょっと!

陽菜乃

あたしが見えてるんでしょ!

…いやいやいや

そんな訳ないやろ

幻覚やな、幻覚

うん、多分そう 絶対そうや

鬱の言う通り…ホンマに頭がおかしくなったんだ

陽菜乃

おい地毛が茶髪のシャオロン!

シャオロン

そう言って、彼女は俺の前に立った

今…間違いなく俺の名前を……

しかもあの時のこと覚えて…

シャオロン

…はぁあ

シャオロン

ほんまやめてくれよ…

鬱先生

どうしたシャオちゃん

鬱先生

ほら、教室の入口で突っ立ってないで俺らの教室行くで

陽菜乃

あ、ねえ待ってってば!

これは現実だ

どうしたものか

俺は好きな人の幽霊を見るようになった

キーンコーンカーンコーン

ホームルームが終わって、先生たちは会議があるようだった

前川と仲が良かった子たちは、ほとんどいない

学校全体が彼女の死を悲しんでいた

その彼女は、今俺の横にいる

着崩した制服に、茶色の髪、キリッとした目に

半透明の体

紛れもなく彼女は幽霊になった

陽菜乃

ねーねーシャオロン

陽菜乃

こうやって話すのも久しぶりだねー

陽菜乃

1年以来かな?

陽菜乃

ねーねーねー

うるせえ

あまりにもしつこいため、俺はノートを手に取って書いた

「なんだよ」

陽菜乃

陽菜乃

やっぱりあたしのこと見えてるんじゃん

陽菜乃

最初からそう言えばいいのにさー

「言えるわけないやろ」

「自分の状況、分かってんの?」

あ…少し言い過ぎたかな

陽菜乃

分かってるよ

陽菜乃

死んだよねあたし

シャオロン

シャオロン

そんな淡々と…言うなよ

彼女は、当然でしょ?って言うような顔でそう言った

陽菜乃

それを踏まえて、お願いがあるの

シャオロン

陽菜乃

あたしねー

陽菜乃

まだ家族にも今までありがとって言ってないし

陽菜乃

ゆかりとか咲希にもなんも言えてないわけ

陽菜乃

あとまあ、トントン先輩にも……

陽菜乃

だからさ、あたしの代わりに伝えてくんない?

シャオロン

はあ?

やべ

鬱先生

どうしたシャオちゃん…

ゾム

なんかキレるような事あった?

シャオロン

あーいやいや!

シャオロン

わり、なんもねえよ

「それは無理」

陽菜乃

陽菜乃

なんで?

「俺、変な人にならねーか?」

陽菜乃

…ふむ

陽菜乃

なるね!

「だろ?」

「だからその願いは叶えられん」

陽菜乃

でも…あたし

陽菜乃

あたし、何も伝えられないで逝っちゃったから…

シャオロン

……

頼むから、そんな悲しそうな顔をしないでくれ

シャオロン

はぁあ

「分かったよ、やってやる」

陽菜乃

えっ!!

陽菜乃

ほんと?ほんとに?!

陽菜乃

ありがと、まじでありがとう!!

そんなに喜ばれると思ってなくて、俺は顔を伏せた

彼女は…未練がなくなったら

本当に消えてしまうんだ、と

そう思うと……

シャオロン

叶えたくねぇな……

陽菜乃

ねえ、咲希とゆかりは?

シャオロン

…あー

「帰った」

陽菜乃

え''!!

陽菜乃

なんで?!

「前川の葬式に行ったんやろ」

陽菜乃

あたしの葬式…

陽菜乃

ねえ、じゃああたしの葬式に行って

シャオロン

はぁー

「言うと思った」

陽菜乃

当たり前でしょ?

陽菜乃

2人はあたしの大切な友達なんだから

陽菜乃

感謝くらい、伝えとかなきゃね

彼女は俺の机に座って、俺に向かってピースして見せた

そんな彼女を見て、思わず笑みがこぼれる

一生こんな時間が続けばいいのに

俺は葬式場の入口いた

陽菜乃

ねえ、入らないの?

多くの参列者がいて、まだまだ時間がかかりそうだった

シャオロン

人が多くて入れそうにないねん

陽菜乃

咲希とゆかりは…

陽菜乃

いない

シャオロン

シャオロン

そんなわけ…

シャオロン

クラスの人たちも先生達も来てるんやで

シャオロン

あの2人は絶対来るって

陽菜乃

もしかしたら、あそこにいるかも

シャオロン

あそこ?

陽菜乃

うん

陽菜乃

3人が出会った場所なの!

そう言った彼女は、急いで走り出す

シャオロン

あっ…!おい、待て…

俺は彼女について行くことにした

彼女についていくと、やはり2人はそこにいた

陽菜乃

見つけた…っ!

陽菜乃

やっぱりここに…

ゆかり

ほーんと陽菜は昔っから騒がしかったよねー

咲希

そーそー

咲希

うるさかったな

ゆかり

ここで出会った時もさ、「やめなさーーい!」って急に説教してきてね

咲希

あ、懐かしい

陽菜乃

……

シャオロン

俺、この状況で行く感じなん?

陽菜乃

行って

陽菜乃

お願い

シャオロン

……

人遣いの荒いこったと思いながら、1歩踏み出したとき

パキッと木を踏んでしまって、2人に気づかれてしまった

ゆかり

え、だれー?

咲希

シャオロン君だったっけ…?

シャオロン

あ、あぁ…

シャオロン

すまん先客がおったみたいや

ゆかり

あーううん、気にしないで

ゆかり

じゃあうちらもう行くね

シャオロン

あ、待っ…てほしい!

咲希

咲希

なに?

シャオロン

その…

シャオロン

俺、実は幽霊が見えるんすよ

咲希

え?

シャオロン

で…その、

シャオロン

実は……

ゆかり

そーいうのいいから

陽菜乃

シャオロン

え…

ゆかり

うちらを心配してそんな事言いに来たなら、もうやめてくんない?

ゆかり

冗談でもウザイから

シャオロン

……っ

咲希

今、ここに陽菜乃がいるの?

陽菜乃

陽菜乃

咲希…

シャオロン

………

シャオロン

うん

ゆかり

ちょっと咲希?

咲希

幽霊って科学的にいるって証明されてるからさ

咲希

……信じてみようと思って

陽菜乃

咲希…っ

咲希

それで…陽菜乃はなんて?

シャオロン

…その、

陽菜乃

……

シャオロン

な、なんか言えって…

陽菜乃

ちょっと待って、心の準備必要だから

シャオロン

えぇ…

シャオロン

あ、えっと…

シャオロン

心の準備が必要だからちょっと待って、だそうです

ゆかり

…ふふ

ゆかり

なにそれ、陽菜っぽい

咲希

たしかにね

咲希

陽菜乃なら、言うわそれ

陽菜乃

2人ともぉ…

陽菜乃

あたし、あたしね…

陽菜乃

2人に出会えてほんとに良かったあ…!

陽菜乃

趣味も性格もまったく違うのに

陽菜乃

2人のそばにいると居心地良くて

陽菜乃

サイコーだったよ…

陽菜乃

ありがとねー!!

シャオロン

…だって

咲希

陽菜乃、あんた今どこにいんの?

陽菜乃

ここだよ…咲希

シャオロン

あ、えっと…ここ

ゆかり

陽菜あ、あんたそれ言うためにこっち戻ってきちゃったの〜?

ゆかり

もう…ほんとバカだな〜

ゆかり

でもねうちも陽菜のそばにいるのが好きだよ

ゆかり

今もこれからもね

陽菜乃

ゆかり…

咲希

あんたは騒がしいし、うるさいし…

咲希

でも戻ってきてくれて嬉しかった

咲希

あたしらに伝えに来てくれて良かった

咲希

ありがと陽菜乃

陽菜乃

咲希…

彼女は涙を流すこともなく

ずっと笑っていた

{wrwrd}天国に愛をささぐ

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