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陽菜乃

よかった…2人に伝えることが出来て

ひとしきり俺が通訳として話したあと

彼女は空を見上げて目を閉じた

何をしているんだと、彼女に言おうとした時

彼女の姿が一瞬見えなくなった

シャオロン

前川?

シャオロン

前川!!

咲希

どうしたの?

咲希

なんかあった?

シャオロン

前川の姿が見えなくなって…

どこや…どこに行ったんや

まさか、まさか…!

いや、そんな…

陽菜乃

ねえどこ見てんの?

シャオロン

シャオロン

まえ、かわ…

陽菜乃

はい、前川ですけど

陽菜乃

なにか?

シャオロン

…はぁ

焦った

焦った、ほんとに焦った

もう消えちまうのかと…

シャオロン

ん、前川って…

陽菜乃

お?

陽菜乃

なに?

シャオロン

あ、いや…

シャオロン

なんでもない

気のせいか…

彼女の体がやけに、ぼやけて見える

と、思ったら

すぐに元の半透明な姿に戻った

ゆかり

あ、ねえどうしよう

ゆかり

もう少しでお葬式が終わっちゃう

咲希

ちょっと…!何言ってんの?

咲希

今陽菜乃がいるかもしれないのに!

陽菜乃

…んーん

陽菜乃

気にしないでよ

陽菜乃

あたしもついてくから、一緒にあたしの葬式いこーよ

シャオロン

あ…、前川もついてくから一緒に行こうって…

ゆかり

いやあんたの葬式だよ?

ゆかり

あんたが目の前にいるのに、あんたの葬式なんて行けるわけないでしょ

ゆかり

うちらそこまで心に余裕ないよ

陽菜乃

あぁ…そっか

陽菜乃

うん、そーだよね…

陽菜乃

あたし死んだもんね

彼女は無表情でそう言った

シャオロン

そんなこと言うなよ…

陽菜乃

え?

陽菜乃

事実でしょ

あまりにも自分の死を軽く見ていた

陽菜乃

…なんでそんな顔してんの?

まっすぐ俺を見つめて、ニコッと笑っていた

俺は今、どんな顔をしているんだろう

分からない

だけど……

絶対に見せたくない表情だったんだろう

そして、親戚の人が探しに来てくれて、今、彼女の遺影の前で焼香をしていた

彼女は横にいるのに

陽菜乃

え、これあたし?

陽菜乃

ねえこの写真遺影にしたのだれ?バカじゃないの?

陽菜乃

こんな盛れてない写真遺影にすんなっつーの!

自分の遺影に文句を言っているようだった

シャオロン

前川…少しくらい静かにしてくれんか

陽菜乃

なんで?

シャオロン

こんな静かなのに、前川の声が響いて葬式じゃないみたいやん

陽菜乃

えぇ…?

陽菜乃

なーんか違うんだよね

シャオロン

…?なにが

陽菜乃

あたしは、こんな静かな葬式にして欲しくなかった

陽菜乃

もっと…もっと、ワイワイしてお別れして欲しいな

シャオロン

え…?

彼女は…

笑わずに、自分の遺影を見ていた

遺影を見ているはずなのに、彼女はどこか遠くを見ながら

そう言った

ゆかり

咲希、咲希…!

咲希

ん?

ゆかり

あれって陽菜の弟くんじゃない?

陽菜乃

え……

彼女は驚いて、2人の視線の方向を向いた

遺族の席にヘッドフォンを付けて紫色のパーカーを着崩した格好をして

イケメンくんが座っていた

陽菜乃

ショッピ…来てくれたんだ

シャオロン

ショッピ…?

咲希

陽菜乃、こっちに来てくれてんの?

シャオロン

おう

シャオロン

俺の隣にいる

ゆかり

そっかぁ

ゆかり

あんた自分の葬式に来てんだね〜

陽菜乃

ウケるよね〜

咲希

私たち陽菜乃の家族に挨拶しに行くね

陽菜乃

じゃあたしも行く

シャオロン

前川も行くって

ゆかり

じゃあシャオロンも行こ

シャオロン

え?

シャオロン

なんでやねん

シャオロン

俺部外者やで

咲希

いるだけでいい

咲希

陽菜乃の通訳やって

陽菜乃

ってことでよろ〜!

シャオロン

はぁ……

俺は3人について行った

遺族席には彼女によく似た女の人と

目がキリッとして、いかにもサラリーマンっぽい男の人

そして…彼女の弟と思わしき人物が座っていた

咲希

陽菜乃ママ…久しぶり

陽菜乃母

……

陽菜乃母

咲希とゆかり…?

陽菜乃母

ほんと…久しぶりね

彼女の母親は、放心状態だった

今日の朝の出来事なんだ

まだ心の整理が出来てないんだろう

陽菜乃

ママ…

彼女は母親の手を握って笑った

陽菜乃

ママ、あたしもう大丈夫だよ

陽菜乃

あたしは…まだここにいるから

陽菜乃

だから、ね……

そうして真剣な顔になって

陽菜乃

あたしのことは忘れて、パパとショッピと仲良くね

忘れる…

そんなことできるはずがない

できないだろ、そんなの

彼女の代わりなんていない

俺たちにも代わりはない

陽菜乃母

……陽菜乃は、学校ではどうだった?

陽菜乃母

あの子、私が学校のことを聞くと笑って平気で嘘をつくの

咲希

陽菜乃はー…自由奔放なやつでした

ゆかり

いっつも先生に反抗して、ちょーイキってた!

陽菜乃母

ふふふ、そうだったのね

陽菜乃父

陽菜乃らしいな

陽菜乃母

そうね

陽菜乃母

あの…そちらは?

シャオロン

あ、えっと陽菜乃、さんの友達…

シャオロン

え、あ、友達……っつーか

ゆかり

陽菜の友達だよー

シャオロン

そう、です友達っす

陽菜乃

え?あたしら友達じゃなかったの?

シャオロン

……

陽菜乃

ねえねえ友達じゃなかったの?

陽菜乃

ひどいな〜あたしは友達だと心から思ってたのにさ

彼女は俺の顔を覗き込んで、真顔で見つめてきた

怖い怖い

目がガン開きだ

ゆかり

ショッピも久しぶり〜

ショッピ

…誰やねんあんた

おっと……

これはまさか反抗期ってやつか?

見たところ中学生、くらいか

ゆかり

えぇ?うちのこと忘れたの?

ゆかり

陽菜の友達のゆかり、覚えてなぁい?

ショッピ

知らねー

ゆかり

…あ?

咲希

こらゆかり!なにキレてんの…!

陽菜乃母

ごめんね、ショッピったら今絶賛反抗期中で

ショッピ

反抗期じゃねーよ!

陽菜乃父

こらショッピ!お前のお姉ちゃんの葬式なんだ

陽菜乃父

今ぐらいは素直になったらどうだ

ショッピ

……んだよ

ショッピ

みんなして姉ちゃんばっかり…

シャオロン

……

陽菜乃

ショッピ…

ショッピ

姉ちゃんなんか死んでよかったんや!!

シャオロン

!!

バシッ…!!

陽菜乃

マッ…

目の前で起こったのは、彼女の母が弟くんを引っぱたいた

みんなの視線がこちらに注目した

ショッピ

い…ってー…

陽菜乃母

今、なんて言った…?

陽菜乃母

お姉ちゃんになんてことを言うのよ!!

ショッピ

うるせー!!

シャオロン

あ……!

陽菜乃

…ショッピ!

母親に引っぱたかれた弟くんは、泣きそうになりながらその場から逃げ出した

彼女は弟くんの後を追って行った

シャオロン

あ、待てよ!

咲希

シャオロンくん、陽菜乃は?

シャオロン

弟くん追っかけてった

咲希

わかった

ゆかり

この場はうちらに任せて〜

ゆかり

陽菜のことよろ〜

シャオロン

お、おう

俺は2人にその場を任せて、式場から出た

陽菜乃

もお…ショッピったらどこに行ったの!

シャオロン

俺住宅街のところ探してくる!

陽菜乃

あたし奥の方さがすわ!

そうして、俺と彼女は二手に分かれて弟くんを探した

シャオロン

えーと

シャオロン

前川の弟くーん!

シャオロン

出ておいでー

シャオロン

前川の弟く…

ショッピ

その呼び方やめてくれないっすか

シャオロン

シャオロン

シャオロン

いた!

ショッピ

うるせー!…っすよ

シャオロン

こんな近くに隠れてたんか…

シャオロン

ほら、帰ろ?

シャオロン

みんな待っとるで

ショッピ

……俺帰らん

シャオロン

なん、なんでや

ショッピ

帰ったら母さんに怒られるし

シャオロン

そらそうやろ…

シャオロン

前川……てか君の姉ちゃんが聞いたら悲しむで?

ショッピ

みんな姉ちゃん姉ちゃんって…

ショッピ

俺のことはどーでもいいんやろ!

シャオロン

そんなわけ…

ショッピ

姉ちゃんなんか…大嫌いや!!

{wrwrd}天国に愛をささぐ

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コメント

1

ユーザー

まさか自分の葬式に行く人がいたとは… というか、遺影に盛れてるとか気にしてる方、いたんですね… にしてもまさか、弟にショッピくんがいたとは… しかも反抗期の(?) 反抗期のショッピくんなんて、 めちゃくちゃ可愛いじゃないですか!(きっsy ん゙ん゙ンッ、失礼しました、 今回も面白かったです!次回も楽しみに待ってます!見るのが遅れてしまうときもたまにあるのですが、お許しを…

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