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風にキス、君にキス。~君の為に走る想い~

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風にキス、君にキス。~君の為に走る想い~

7 - 生きること・君の答え

♥

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2022年02月12日

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日向

柚。

日向…

日向

今日退院だろ?

うん…

日向

柚?

日向…あのね?…考えてみたら、
怖くなっちゃった。

日向

何が?

…30年後でも…明日でも…"いつか"
あたし達はいなくなるんだよね。

日向

…そうだな

いつかいつかって思ってても…今日や
明日になると絶望を感じる。"いつか"
死ぬって分かってても、どうして人間
は人間であることに…人間として宇宙
に生まれおちたことに、絶望しないで
生きてるのかな…?

夜空に瞬く星野のうち… たった一つだけが一瞬、 きらりと光った。 そう。 ーーーーーーその答えは… 君が教えてくれた。

日向…?

日向

…ッ…守りたいものが、あるから
じゃねえの?

ギュッ

ひな…た?

気がつけば俺は抱きしめていた。 今はもう夜で… 夜風にサラ…と揺れる柚の髪は、 かすかに温かくて、 いい匂いがした。

ッ…

日向

いーじゃん。明日死んでも。多分また
"いつか"…この気まぐれな宇宙に、
堕とされるから

そのときは種さえ、 違うかもしれない。 国籍も性別も何もかも全て。 また会える。 その可能性はきっと、 計り知れないほど、 わずかなものに、 決まってる。仕方ない。 そういうもんなんだから。 …だからこそ余計に、 今を幸せに感じる。 この地球という名の星に。 この時代に。この場所に。 この足持ち名前を持ち。 かけがえのない、 ものに出会い。 かけがえのない、 ものに出会ったことを。 …どんな絶望の波に、 飲まれそうになっても。 それだけは後悔しないから。

日向…

きっと人は死や喪失に、 直面して初めて、 生きるということは、 どんなことなのかを知るんだな。 後幸福はどんなに、 暖かいものなのかを。

今日は泊まるの?

日向

あぁ。

あっという間に夜だね。

日向

結局一日延ばしてもらったもんな。

うん。

消灯したね。

日向

あぁ。

明日も早いから、よく休んでね

日向

ん。…おやすみ

おやすみぃ〜

暗闇の中で聞く柚の声は、 いつも以上に愛しく温かった。 …柚が眠った後、 俺はしばらく夜空を眺め続けて、 流れ星を待っていた。

ーーーーーー今なら。 君は何を願いますか?

風にキス、君にキス。~君の為に走る想い~

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