ゆりか
ねぇほんとに行くの?
たくや
当たり前じゃん
たくや
廃墟の病院を目の前にして怖気づいたか?
ゆりか
そんなことないよ
ゆりか
行こ
たくや
よっしゃじゃあ入るぞ
ゆりか
暗いよ
たくや
まぁ夜の10時だからな
たくや
でも大丈夫
たくや
ちゃんと懐中電灯持ってきたから
ゆりか
ありがとう
たくや
おう
たくや
ちゃんとそばにいろよ
ゆりか
うんっ
右手に懐中電灯を持った彼が足元を照らしてくれる
怖がりながらもゆっくりと歩いていたその時
ガタン
ゆりか
ヒャッ
私は咄嗟に彼の右腕にしがみついた
完全に怖くなってしまった私はそれ以降目を開けることができなかった
「大丈夫怖くないよ すぐ終わるから」
私の右耳につぶやく声が聞こえる
ゆりか
やっぱり彼は優しいな