陽
母さん...。母さん...。
陽
なんで死んじゃったんだ...。
一週間前、母さんが死んだ。
病気だった。
凄く悲しかった。
そんなある日、こんな噂を聞いた。
陽
カナ、シミ、さん...?
悲しみを消してくれる霊、カナシミさん。
呼び方は簡単、自分の涙に向かって「カナシミさん、カナシミさん、カナシミさん」と三回唱えるだけ。
陽
本当かな...?
陽
この涙に向かって...。
僕は床に落ちている涙を見た。
陽
か...。
陽
カナシミさん、カナシミさん、カナシミさん...。
...。
陽
何も起こらない...。
陽
やっぱり嘘だったのかな...。
陽
こんな噂に頼って...。
陽
悲しみは消えないよね...。
バシャッ
陽
え...?
涙から音がした。
涙から音がするなんてあり得ない。
陽
なんで...?
僕が涙を覗き込もうとした次の瞬間、
ブクブク...。
陽
うわぁっ!?
突然、涙が膨らみ始めた。
涙はだんだんと女性の形になっていく。
陽
一粒の涙が...。
???
ふぅ...。
陽
あなたが...。
陽
か、カナシミさん...?
カナシミさん
はいぃ...。ぐすん。
カナシミさんは涙ぐんでいた。
陽
あの、悲しみを消してくれるって聞いて...。
カナシミさん
どんな悲しみでも消します...。
カナシミさん
どうして悲しんでいるのかを教えて下さい...。
陽
じゃあ...。
僕はカナシミさんに母さんの事を話した。
カナシミさん
うう...悲しい...。
カナシミさんは相変わらず泣いている。
カナシミさん
分かりました...。
ギュッ...。
カナシミさんは僕を抱きしめた。
だんだんその力が強くなる。
陽
う、苦し...。
意識が朦朧としてきた。
陽
息が...出来な...。
僕の意識は、そこで終わった...。
カナシミさん
存在自体を無くせば、その人の感情...。
カナシミさん
つまり悲しみを無くす事が出来る...。
カナシミさん
また一人死なせてしまった...。ううっ。
カナシミさん
もう私を呼ばないで...!
カナシミさん
呼ばないで...。
沙那
あなたが、カナシミさん?
カナシミさん
はい...。ぐすん。
カナシミさんは今日も呼ばれる。
沙那
いやぁぁぁぁっ!!!
カナシミさん
ごめんなさい...ごめんなさい...。
これは、かなしい幽霊の話。
作者
作者には悲しみを拭ってくれる人が居ない...。(`・ω・´)キリッ(ノд・。) グスン
作者
最後まで読んで頂き、有難う御座います。
作者
これからも頑張りますのでめぇぷるを宜しくお願い致します!