夢を見た
一面が木葉で埋もれた道を
君と二人で歩いていく
赤や黄色に染まった木々が 立ち並ぶ
そこを君と
手を繋いで進んでいく
少し肌寒いね
なんて言いながら君は
僕の手を、力を込めて ギュッと握る
道の先はどうなっているのだろう
段々と足を早めて
風に煽られながら進んでいく
君の手を引いて
向こうを見たい
向こうの世界を見てみたい
どんな景色なのだろう
早く
早く
進まなきゃ
足元が葉っぱの中に埋もれていった
前に進めなくなった
どうして
どうして
お願いだから
僕を引き止めないで
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
いつもの病室だ
隣でカエデが心配そうな顔で こちらを見てくる
僕は気を落ち着かせるため 深呼吸をした
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
カエデはつまんなそうに あくびをした
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
だったの?
月ノ瀬アキ
さっきまで見ていた夢なのに もう忘れかけている
ぼんやりと頭の中で 黄色い道を思い浮かべる
月ノ瀬アキ
だったよ
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
ような気がする
黄葉カエデ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
方が早起きなのに
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
カエデがパンッと両手を合わせる
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
まだまだ残っているのを見て ため息をつく
黄葉カエデ
ないよねー
黄葉カエデ
外食させてもらってさ
黄葉カエデ
肥えちゃった
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
きたモンブラン…
月ノ瀬アキ
遠い昔の記憶
あれから母さんとは 会わなくなった
黄葉カエデ
怒られてたよね
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
あるのかな
黄葉カエデ
当たり前のよう
に言うよね
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
解明された方だよ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
かかってるのかな?
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
んだもん
黄葉カエデ
づらいだけだよ?
カエデはベッドから足を降ろして ブラブラとさせた
黄葉カエデ
てるだけじゃないの?
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
つまんないね
月ノ瀬アキ
僕とカエデは、もう7年も 病院暮らしだ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
人と喋る機会ない
っていうか
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
えー…?
黄葉カエデ
って感じ
僕は肩を落とした
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
だけどっ
月ノ瀬アキ
特別隔離室の患者は 絶対外出禁止
何故か今テレビは壊れていて
置いてある本くらいしか 娯楽がない
僕たちは
外に行ったら何をするか
という、想像力で楽しんでいた
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
窓の外を眺める
鳥のさえずりが聞こえた
月ノ瀬アキ
勉強したりとか
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
寄ったりとか
月ノ瀬アキ
いろんな想像をする
もっと、他にもあるかもしれない
黄葉カエデ
黄葉カエデ
なるじゃん
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
怖いねー
耳を澄ましても何も聞こえない
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
なんだよね?
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
話なんかない?
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
何があったか徐ろにしか 覚えていなかった
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
仲良い子がいてさ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
れるようになって…
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
ちゃって
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
気づいたんだ
僕は右手で、左胸を擦った
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
いったときも…
痛かったな…
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
なっちゃったね
月ノ瀬アキ
僕は寝返ってカエデの方に 背を向けた
駄目だ
思い出してしまう
思い出したら駄目なんだ
じんわりと胸が痛くなる
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
しばらく沈黙が続いた
カエデが気を遣ったのだろうか
黄葉カエデ
黄葉カエデ
しちゃって
黄葉カエデ
忙しくしてる…
黄葉カエデ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
僕ら二人は
『病気』というのもあるが
両親が家での療養生活 の面倒を見ることが出来ない
という理由もあって、 病院暮らしだ
黄葉カエデ
暗くなった…
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
嬉しいことがあったの
黄葉カエデ
が届いたんだよ!
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
みたいな文でさ笑
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
月ノ瀬アキ
って感じだね
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
可愛らしく笑う顔も
ふんわりした雰囲気なのに 活発な性格も
そんなカエデを見ていると 安易に想像できる
月ノ瀬アキ
会ってみたいな…
黄葉カエデ
ください!」って?
月ノ瀬アキ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
月ノ瀬アキ
カエデらしいよ
黄葉カエデ
黄葉カエデ
カエデは頭から布団を 覆いかぶさった
僕はカエデが寝息を立てる のを確認して
ゆっくりと目を閉じた
このまま
こんな毎日が続けばいいと思った
なんの変化もない
ただ二人で
笑い合う日常
どうか壊れないで
そう、僕は願った
でも
その『変化』が訪れるのは あっという間だった
この7年もの時間をかけて 築き上げた日常を
音も立てずに
突然に
このときの僕は
まだ
想像さえしていなかった






