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写真のお節料理は非リア家のお節です😌。非リアは5人家族で食べ盛りの弟が2人いるので量は多めです。かまぼこ、数の子、焼豚は第2部隊が控えておりました。黒豆に至っては第3部隊まであります。3人家族の柚月君たちのお節にしては量が多いのはそう言うことです😌。 説明を省いたんですが、黒豆は「マメに働く」伊達巻きは「学力向上」の意味があります。煮干しは頭に良いと言われています。
鳴沢 柚月
父
鳴沢 真由子
年が明けた。
テーブルにはお取り寄せしたお節(せち)料理とお母さんが追加で用意した伊達巻きや黒豆、お雑煮が並んでいる。
割りばしを割りながら、最初にどれを食べようかなと綺麗に盛り付けられた料理を眺めていると、お父さんが僕の取り皿を手に取った。
父
父
僕のお皿には伊達巻きと黒豆と煮干しがたくさん乗せられた。
鳴沢 柚月
父
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
父
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
鳴沢 柚月
父
鳴沢 柚月
鳴沢 真由子
父
父
父
年が明けた。
私の隣には今年も柚月君がいる。
毎年年末から電車を使って実家に帰省する為、初詣も電車で3駅の大きな神社で行おう、と言う話になった。
学業の神様に縁がある神社じゃないけど、規模が大きいので何かしらの御利益は得られそうな気がする。
石段を上がり切る前に、賽銭箱に続く長い列を確認することが出来た。
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
相原 澪
山川 のぞみ
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
山崎 孝太
相原 澪
山川 のぞみ
山川 のぞみ
山川 のぞみ
山崎 孝太
相原 澪
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
___と、談笑しているうちに列は進み、私たちの番になった。
それぞれ10円玉を賽銭箱に放り、柚月君が鈴を鳴らし(鳴らしたそうにしてた)、二礼二拍手。
目を閉じて祈る。
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
前を歩いていた澪と孝太君も振り返って柚月君に注目する。
3人分の視線を集めた柚月君は巻いていたマフラーに口元を隠すと観念したように呟いた。
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
柚月君はそのまま顔を赤くして小さい声で告げた。
鳴沢 柚月
え何この子かわいい
__沈黙が不安になったのか上目遣いでこちらの様子を窺った柚月君はさらに顔を赤くした。
鳴沢 柚月
この子が天使だ
ヒロ
西谷 春翔
ヒロ
西谷 春翔
先に屋台で食事を買うか おみくじを引くか悩んでいると聞き覚えのある声がした。
声のした方に目をやると向こうもこっちに気づき、後輩さんが笑顔で駆け寄って来た。
ヒロ
ヒロ
ヒロ
山川 のぞみ
西谷 春翔
ヒロ
西谷 春翔
相原 澪
西谷 春翔
「センパイの妬みがしんどいのでマジで昼ご飯だけでもお願いしますっす…」 後輩さんが切実に訴えて来てどうしようかと思っていると
古いお守りやお札を納めに行って貰った柚月君と孝太君が戻って来た。
山崎 孝太
ヒロ
西谷 春翔
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
山崎 孝太
山崎 孝太
相原 澪
西谷 春翔
春翔がポツリと呟くと、がるがる唸っていた柚月君が春翔に顔を向けた。
目は とろん と半目になっていて頬は上気している。 形のいい唇から鈴の鳴るような声が溢れた。
鳴沢 柚月
チェリー
①【名】さくらんぼの英語表記
②【名】童貞を卒業していない者を指す言葉。言われるのも自覚するのもキツい。
独り身が交際相手のいる人から言われると結構なダメージ。
これまでの経緯から柚月君に言われるとダメージは2倍。
西谷 春翔
ヒロ
舌を噛もうとする春翔を後輩さんが必死で止める。 柚月君の破壊力が半端ない。
幸い水を飲ませると10分ほどで元に戻った。
鳴沢 柚月
西谷 春翔
西谷 春翔
鳴沢 柚月
西谷 春翔
人波に揉まれながら屋台に並び昼食を食べた後、皆でおみくじを引いた。
暫し無言で結果に目を通す。
私のおみくじには「恋愛」の項目に 〈試練あり〉 と書かれていた。え……。
試練って何、と思っていると何やらめっちゃ照れ照れしてる澪と孝太君が目に入った。 何が書かれてたんだ…。
ヒロ
西谷 春翔
西谷 春翔
ヒロ
西谷 春翔
柚月君はどうなんだろう、と柚月君を見ると、興奮してる春翔のお喋りに付き合わされていた。
後輩さんですら聞き流してるのに柚月君はちゃんと相槌を打って聞いてあげていた。 無償であそこまで出来るってすごい。
山川 のぞみ
このままだと私が春翔に「優しさ料金」を請求しそうなので、柚月君を春翔から引き剥がした。
鳴沢 柚月
柚月君は私にも結果が見えるように紙を掲げるとちょっとだけ肩を落とした。
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
私が指差した箇所を柚月君は真剣な顔で見つめていた。
「いやーほんま残念やわ。圭佑優勝出来んくて」
「俺マジでショックやったわ。周りにも五連覇するって触れ回った手前どうしようって」
溝口 圭佑
知るかお前が鼻伸ばしたいだけだろ
「あ別に責めてるんちゃうで。圭佑は俺達の宝やからな」
溝口 圭佑
昔は散々馬鹿にしたくせに
「だから新年から嫌な気分になることないで」
お前が蒸し返してんだろ。何回全国の話するんだよ
「切り替えよ。……あ、そうか圭佑はまだ酒飲めへんのか」
「ほろ酔う」しか飲めねぇくせにマウント取ってくんな。お前の方がよっぽどガキだよ
___溝口 圭佑は関西のイトコ宅を訪れていた。
4歳年上で飲酒を許可された年齢になったイトコの口撃に、内心で毒づきながら にこやかに相槌を打つ。
昼過ぎに到着して夕食の席に着くまで ずっとこんな感じだった。
なんで新年からこんな目に…と父親に恨みがましい目を向けると、父親は片手で謝る仕草をした。
嫌味を言われるのは圭佑だけじゃない。 何か明確な目的があって父親はここに連れて来たのだ。
圭佑はため息を堪えて再び笑みを貼り付かせた。
圭佑の母親とイトコの母親が用意した すき焼きがあらかた無くなると、父親が箸を置き背筋を伸ばした。
溝口 慎太郎
____馬鹿馬鹿しいことだが、圭佑の家族の諸事情はイトコの家族に逐一報告しないといけないことになっている。
経済力に至るまで何もかも劣っている為、分かりやすい上下関係を定めて安心したいんだろう。馬鹿馬鹿しい。
溝口 慎太郎
急に出て来た外国人の名前に、イトコ家族が一様に「誰それ」みたいな顔になる。
上に立ちたいならこれぐらい把握しとけ、と舌打ちしたくなるのを堪えながら補足する。
溝口 圭佑
「つまり戦友か」 イトコが腕を組んで、誰が聞いても同じ解釈になる事をしたり顔で呟いた。
父親は同じような顔をしているイトコ家族に愛想笑いをサービスすると再び口を開いた。
溝口 慎太郎
溝口 慎太郎
「つまりマイクって人の指導受けるために圭佑がアメリカに行くと」 イトコの問いに、しかし父親は首を横に振った。
溝口 慎太郎
溝口 慎太郎
溝口 慎太郎
溝口 慎太郎
溝口 慎太郎
溝口 慎太郎
初耳だった。
父がそんな計画を立てていたことなど何も知らなかった。
それも2年も前から。 秘密裏に計画し2ヶ月後の開催までこぎ着けた。
自分に知られないように、父はいったいどれほどの気を配ったのだろう。 「依怙贔屓」と糾弾されない為だ。でも
「そんなん参加したら圭佑がアウェイすぎひん?」
そうだ。 主催者は父親だ。色眼鏡で見られることは目に見えてる。
溝口 慎太郎
父親の答えは実質圭佑に向けられていた。 場にいる全員の視線が圭佑に集まる。これは___
これは俺を試してるんだ。 親父は俺の気持ちをちゃんと見透かしてる。
アメリカ留学は魅力的だ。可能ならば是非 渡米したい。 しかし大会に参加すれば妬みの的になる。
何故か。 父親が主催者だから?違う。 父親が有名人「すぎる」からだ。
父親がワールドレベルのテニスプレイヤーだったからこそ「恵まれてる」と中指を立てられる。 ___それに屈するのは
父親より劣ると言うこと。 その程度の人間と言うこと。
溝口 圭佑
父親の記録を塗り替えたいなら、父親の業績故(ゆえ)に生まれた悪感情に屈するわけには いかない。
____それに高山 昴の名前も出た。 リベンジすると誓った。
溝口 圭佑
挑戦の無い者に進化はない。 挑戦が吉だ。
俺は強くなる
溝口 圭佑
溝口 圭佑
年が明けた。
新しい年が始まる。