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外の空気にふれて帰ってきた シェアハウスの玄関。

扉を開けた瞬間、ふわりと いい香りが鼻をくすぐった。

山下永玖

わぁ……

一歩先に声を上げる

リビングに入ると、テーブルには 彩り豊かな朝ごはんが並んでいた。 卵焼きに味噌汁、焼き鮭、 それから小さなおかずたち。

その中心に立っていたのは―― 沢村 玲(さわむら れい)

沢村玲

おかえり朝散歩、
気持ちよかった?

山下永玖

うん!

上村謙信

めちゃくちゃ外気持ちかった!!

武藤潤

空綺麗だったよー

吉澤要人

んふふ笑

玲は一人ひとりにごはん を手渡しながら、言った。

沢村玲

〇〇ちゃんも、
お腹すいてるでしょ。
いっぱい食べて

〇〇

……うん

返事はした。 でも、心はざわざわしていた。

いただきます!!

草川直弥

うんま、

桜木雅哉

なにこれ美味すぎるー

小泉光咲

なにこれ!天才じゃん、

関哲汰

おかわりー

沢村玲

早すぎ笑お前はちゃんと
味わって食え笑

みんな口々に言いながら箸を動かしていた。

けれど、私は…… お箸を持つ手が、少し震えていた。

目の前のごはんは美味しそうで、温かくて、 “やさしい”が詰まってるのがわかるのに―― 喉が、動かない。

その様子を、 誰よりも早く気づいたのは哲汰だった。 彼はなにも言わず、 ただ少し目を細めて、静かにかなたを見つめた。

そのあと、そっと潤の耳元で何かを囁く。 すると、潤もちらりとこちらを見て、眉を下げた。

次に要人が、謙信が、光咲が…… 誰も口には出さないけれど、 全員が“気づいた”ようだった。

玲はゆっくりとお椀を手にしながら、 私の隣に座って、柔らかい声で言った。

沢村玲

食べたくない時は、
無理しなくていいよ。
でも……ひとくちだけ、
口に入れてみない? 
喉、びっくりするかもよ。

私は、玲のその静かな声に救われた気がして、 ゆっくりと箸を持った。

ごはんを少しだけ口に運ぶ。 それだけで、胸の奥がぎゅっと痛んだ。

でも、優しい味がした。 涙が出そうになったけど、出さないように、 ゆっくり噛んだ。

〇〇

……ありがとう

そう小さくつぶやくと、玲はにこっと笑った。

沢村玲

どういたしまして。
今度はもっと豪華にするから、楽しみにしてて

少し冗談っぽくウインクをしてくれた。

みんなは何も言わないけれど、 あたたかい空気で包んでくれていた。

ここにいるのは、 “見守ってくれる人たち”だと、そう感じた。 それが、たった一口のごはんから伝わってくる。

それだけで―― 少し、救われた朝だった。

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