視界を遮るような雨が地面に打ち付けられる。
だんだんと強くなる勢いは、私の帰り道を塞いだ。
くすんでいる街と僅かな土の匂い。 暗い建物とあちこちに見える傘が気持ちを陰鬱にさせる。
周りにある光なんて、窓から溢れる人工的な明かりか車のヘッドライトしかない。 その光が、やけに目立って私の目を駄目にさせる。
今日も私は、傘を差すことはない。
このまま雨に隠されて消えてしまってもいい。
濡れた髪から水滴が零れ落ちる。 服は濡れて肌に張り付く。 冷たい。
湿った空気が私の呼吸を邪魔する。
傘なんていらない。長靴も必要ない。 私はそうやって雨を受け入れる。
受け入れなきゃいけない。
そう、きっと何も問題はない。 ただの一般人がいなくなったとて、何も変わらない。
私は、このまま生き続けていたくないよ。 生きる意味がないのに生き続けるなんて、苦行でしかないじゃん。
いっそ、死んだ方がマシだと思ってる。 死ぬのは怖いけど、生きるよりずっといい。
そう思って、既に数年は経過している。
私はずっと、偶然の死を探している。
雨の日に親友が死んだ。
車に轢かれた。ただ、それだけ。
青色の髪をした元気な子だった。 内気の私を外に連れ出して、その度に笑っていた。
あの子の笑顔が、脳に焼き付いて離れない。 いなくなってくれ。私を嘲笑って。
だってそうでもしないと、私は泣きそうだから。
私を呪って。
私が貴方を忘れられるように、私が雨を好きになれるように。
「生きて」だなんて、そういう言葉で私を呪わないで。
私はあの日からずっと、雨を好きになれない。