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君になりたくて

第82話 - 拒絶されること

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2025年02月19日

#一次創作

#恋愛

#NL

#創作

#青春恋愛

#学園

さくら

明里と優成はパンケーキを口の中に入れ、頬を緩ませた。

涌井明里

ん〜〜っ

志保優成

おいし〜〜っ

尾瀬一颯

JKじゃん

涌井明里

JKです！

志保優成

そうそう

桐山凌

お前はちげぇよ

桐山凌

…にしても、店の外のメニュー表見て

桐山凌

2人同時に｢パンケーキ食べたい｣なんて

尾瀬一颯

意外な共通点だね

涌井明里

私はこのパンケーキの飾りが可愛くて…

涌井明里

もしかして、志保くんも？

志保優成

いえ

志保優成

俺甘党なんすよ

桐山凌

…マジか

尾瀬一颯

そんな顔して？

志保優成

はい

涌井明里

（そういえば昔、光ちゃんが志保くんとカフェ行ったって言ってたなぁ…）

志保優成

パンケーキとか大好きです

志保優成

まじ美味しいこの世の全て甘いものに変わってしまえばいいんです

尾瀬一颯

激・甘党じゃん

志保優成

はい

志保優成

桐山さんと尾瀬さんはそんなんでいいんですか？

凌たちはドリンクだけを注文していた。

尾瀬一颯

お腹すいてないし

尾瀬一颯

俺甘いの無理だから

桐山凌

俺もどちらかというと苦手ですね

涌井明里

えっ

涌井明里

りょ、凌くん甘いの苦手なの…！？

桐山凌

え？あ、ああ…

涌井明里

……

涌井明里

（バレンタイン……めっちゃ甘いカップケーキあげちゃったよ…）

明里は見るからにズン…と肩を落としていた。

桐山凌

でも、あのカップケーキは別腹だから

涌井明里

！

涌井明里

う、うんっ

尾瀬一颯

休日にもイチャイチャするのやめてね

桐山凌

コミュニケーションの1種なので

志保優成

あと俺、桐山さんがジェットコースター乗れないの意外でしたね

志保優成

好きそうなのに

涌井明里

たしかに…

桐山凌

…いや、別に＿＿

凌は少し赤くなりながら明里の方をチラッと見た。

涌井明里

？

尾瀬一颯

｢明里が乗らないなら俺も乗らなかった｣…だって

桐山凌

は！？

涌井明里

（かか、かか、可愛すぎませんか…）

志保優成

じゃあ本当は乗れるんですねー

桐山凌

ひ、人並みには…乗れる

涌井明里

もー

涌井明里

私に左右されないで乗ってきたら良かったのに

涌井明里

（と、言いながらも凌くんがここにいてくれて凄く嬉しい…）

志保優成

尾瀬先輩はなんで乗らなかったんですか？

尾瀬一颯

だって普通に怖くない？

涌井明里

…え

涌井明里

（意外…）

桐山凌

尾瀬先輩にも恐怖って感情があるんすね

尾瀬一颯

舐めすぎでしょ

一颯は顔をムッとさせて口を開けた。

尾瀬一颯

だってあんなもの、死にに行くようなものでしょ

尾瀬一颯

もし安全バーが外れたら？レールが壊れたら？

尾瀬一颯

｢もしも｣がある確率、つまり死ぬ確率上げにいくくらいなら

尾瀬一颯

俺はジェットコースターなんか乗らない

涌井明里

……

桐山凌

……

志保優成

……

涌井明里

ふっ……っははっ

尾瀬一颯

…なんで笑うの

涌井明里

ふふっ、すみませんっ

志保優成

尾瀬先輩が言いたいことはつまり、｢怖い｣ってことですよね

尾瀬一颯

…はぁ？ま、そ、そうだけど

尾瀬一颯

だけど、死ぬ確率を考えたらさ＿＿

桐山凌

尾瀬先輩…ってほんと、

桐山凌

捻くれてるっつーか…理屈っぽいですよね…

志保優成

俺も尾瀬先輩派なんで気持ちわかりますよ

志保優成

｢怖い｣なんていう恥ずかしい気持ちは理屈付けて正当化したいんですよね！

尾瀬一颯

…！

一颯は図星をつかれたように目を丸くさせた。

尾瀬一颯

……うっさい

一颯は少し顔を赤くさせた。

尾瀬一颯

｢恐怖｣ってのは人間の本能的な防御機制だし

尾瀬一颯

自然に湧いてくるものだから、恥ずかしい気持ちでもないし

桐山凌

あの尾瀬先輩を赤面させた…

桐山凌

やるな、志保！

志保優成

え、あ、はい

涌井明里

（尾瀬先輩のこと、少し知れたかも…）

涌井明里

（この人捻くれてるし、未だ謎多いもんね…）

尾瀬一颯

……

尾瀬一颯

そうだね。素直に認めるべき｢感情｣もあるもんね

一颯はそう言いながら明里の方をジッと見つめていた。

その目付きに思わず、ドキッとしてしまう。

涌井明里

…？

尾瀬一颯

なんでもなーい

涌井明里

（なんなの…）

涌井明里

…そういえば今ごろ、光ちゃんたちはジェットコースター楽しんでるかな

桐山凌

まだ並んでるんじゃないか？

涌井明里

そうかな

尾瀬一颯

遠くから陽真の叫び声が聞こえる

志保優成

耳良すぎじゃないすか…

尾瀬一颯

はぁ…陽真。アイツ、高所恐怖症のくせに

桐山凌

は？

涌井明里

えっ

涌井明里

む、無理して乗ったってことですか！？

涌井明里

（そんな様子なかったけど！）

尾瀬一颯

そうなんじゃない？

尾瀬一颯

光と倉見を2人にさせるのは危険だと思ったんだろうね

桐山凌

あのペアは……なんつーか

涌井明里

"本能"…って感じ！

涌井明里

特に光ちゃん、とか！

｢光｣という名前に優成は眉間に皺を寄せた。

涌井明里

後先考えずに行動、するイメージ…ある、よね……

涌井明里

（光ちゃんの話はしない方がよかったかも…）

志保優成

……

涌井明里

（志保くん……本当に光ちゃんのこと嫌いになっちゃったのかな…）

志保優成

…………

志保優成

自意識過剰なら申し訳ないんですけど

志保優成

今日俺を無理やり誘ってくれたのって

志保優成

光と関係を修復させるため、とか考えてたりします？

ドキッ…と胸が鳴った。

涌井明里

そ、それは…＿＿

桐山凌

……

涌井明里

（バレちゃった…？）

桐山凌

……

桐山凌

そうだと言えばどうする？

涌井明里

！

志保優成

……

志保優成

俺は＿＿

桐山凌

本当は光のこと、どう思ってるんだ

桐山凌

俺にはお前が無理しているようにしか見えないけど

志保優成

…迷惑かけてすみません

志保優成

でも、もう決めたことなので

志保優成

アイツにはちゃんと｢大嫌い｣って面と向かって言われたし

涌井明里

そんなの、嘘に決まってるよ…！

志保優成

俺には本当に見えましたけどね

涌井明里

………

志保優成

とりあえず、

志保優成

俺たちはもう戻るつもりなんてないんです

志保優成

何も心残りなんてない

志保優成

後悔なんて…これっぽっちもありませんよ

優成は苦しそうに顔を歪ませてパンケーキをゴクリと飲み込んだ。

涌井明里

……

涌井明里

（嘘つき…）

水木光

めっっっ

水木光

ちゃ！

水木光

楽しかったー！！

倉見修也

楽しかったなっ！

3人はジェットコースターを乗り終えた。

菊池陽真

……うぅ

陽真は涙目でゲンナリとしている。

水木光

ぷくく…

水木光

キャプテンの叫び声で鼓膜破れるかと思いました…

倉見修也

キャプテン絶叫苦手なら言ってくださいよー

菊池陽真

お前ら2人野放しにできるか

菊池陽真

よし。一颯たちと合流しよう

倉見修也

はーい！

菊池陽真

……。光

すると陽真は振り返って光に顔を向けた。

水木光

！

菊池陽真

……

菊池陽真

何度も図々しくて…ウザイだろうけど

菊池陽真

今日、光たちを仲直りさせるために遊びに誘ったんじゃないか？

菊池陽真

倉見は

倉見修也

え！！

水木光

そ、そうなんですか？

倉見修也

…あはは。半分遊び、半分その通りって感じ

水木光

……

光は2人から目を逸らしてギュッと拳を握った。

水木光

…っ、でも

水木光

できませんっ

菊池陽真

どうして？

水木光

……合宿中、

水木光

怒りに任せて｢嫌い｣なんて言っちゃって

水木光

凄く、…優成、傷ついてたんだ

水木光

あんな顔、初めて見た…

水木光

きっと優成も私のこと避けるくらい嫌いだし、

水木光

こんな奴に｢仲直りしよう｣なんて言われても…

菊池陽真

……

すると陽真はゆっくりと光に近づき、

俯く光の顔を覗き込んだ。

水木光

！？

光の顔はボッと赤くなる。

菊池陽真

言い訳だね

水木光

…うぐ

菊池陽真

光ってば、いつもはそんなネガティブ思考じゃないのに

倉見修也

ほんとにね。あかりんみたい

水木光

……

菊池陽真

光の気持ち、当ててあげようか

水木光

……

菊池陽真

｢自分の気持ちを伝えたい｣

菊池陽真

｢だけど、優成に拒絶されたくない｣

菊池陽真

｢だから逃げる｣

菊池陽真

…だろ？

水木光

……っ、

水木光

はい……

水木光

（言う通りだ…）

水木光

（私は…）

優成にもう一度拒絶されるのが怖くて

優成からも自分からも、逃げ続けている

水木光

……っ

涙が出そうになるのを光は我慢する。

陽真はそんな様子を見て、光の頭を優しく撫でた。

水木光

！

菊池陽真

…でもさ、

菊池陽真

そうやって逃げたくなるくらい光にとっての志保は大きな存在ってことだよな

菊池陽真

優成は光の大切な友人なんだろ？

水木光

…はい

菊池陽真

逃げたままでは何も変わらない

菊池陽真

友人に戻れない

菊池陽真

光はとっくにわかってるはずだ

菊池陽真

あとは、

菊池陽真

覚悟だけ

陽真はニッと微笑んだ。

水木光

……っ、はいっ

水木光

（またキャプテンに背中を押されてしまった…）

水木光

私、菊池さんがキャプテンでよかったです

菊池陽真

俺も、マネージャーが光でよかったっていつも思うよ

菊池陽真

ありがとな

ギュッと胸が苦しくなった。

水木光

（…キャプテンの言葉は、）

どうして私の鼓動を早くさせたり、

心臓を痛くさせたりするんだろ…

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毎回めっちゃキュンとするし、面白いし、これ考えられるの天才ですね！

さくら

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