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日は落ち、夜になっていた。

倉見 修也

いやー!たくさん遊んだー!

水木 光

ですねっ

涌井 明里

(もうこんな時間か……)

涌井 明里

(結局光ちゃんたちは仲直り出来なかった……)

菊池 陽真

……

菊池 陽真

最後にさ

菊池 陽真

あれ、乗らないか?

陽真は観覧車を指さした。

倉見 修也

いいっすね!

涌井 明里

(でもキャプテンは高所恐怖症じゃ__)

明里は不安そうに陽真のことを見る。

陽真は人差し指を口元において「内緒」だと合図をした。

涌井 明里

(……そっか)

涌井 明里

(キャプテンは……もしかして光ちゃんたちにチャンスを与えようとしてくれてるのかな)

菊池 陽真

じゃあ行くぞ

ー並ぶこと 数十分ー

尾瀬 一颯

……陽真

尾瀬 一颯

もうすぐ順番来るけど、7人全員でゴンドラに乗るわけじゃないよね?

尾瀬 一颯

どうやって振分ける?

菊池 陽真

あー……

菊池 陽真

ど、どうしようか

涌井 明里

(なんとかして光ちゃんたちを同じゴンドラに乗せたいけど……)

涌井 明里

学年別とかでいいんじゃないでしょうか

水木 光

水木 光

ちょ、あ、明里さ……

菊池 陽真

そうだな。それがいい

菊池 陽真

んじゃ、俺と一颯が___

すると黙り込んでいた一颯は口を開けた。

尾瀬 一颯

……嫌だ

涌井 明里

えっ

菊池 陽真

はっ?

一颯は凌の方に顔を向ける。

尾瀬 一颯

ごめん、桐山

尾瀬 一颯

少しだけ、借りるね

一颯は明里の腕をガシッと掴んだ。

涌井 明里

え"

桐山 凌

は……?

尾瀬 一颯

……行こ、涌井さん

涌井 明里

え…

涌井 明里

えええっ!?!?

一颯は強引に明里を引っ張ってゴンドラへと入っていった。

明里と一颯は2人、ゴンドラへと乗り込んだ。

桐山 凌

はぁっ!?

桐山 凌

おい、ふざけんなっ!

菊池 陽真

……はぁ、あいつは勝手だな

菊池 陽真

よし。じゃあ、俺らも乗り込むぞ

陽真は修也と凌の肩を持った。

倉見 修也

俺っすか?

桐山 凌

……

菊池 陽真

じゃ、2人とも楽しんで

陽真は光と優成の方を振り向き、ニコリと笑った。

水木 光

え……

水木 光

(嘘、でしょ……)

そして3人はゴンドラへと乗り込んで行った。

水木 光

……

志保 優成

……

水木 光

(やや、やややばい)

水木 光

(こんな……強制的に2人にさせられるなんて……!)

キャスト

すみませーん。早くゴンドラ乗り込んでもらえますか?

水木 光

……あ、は、はい

志保 優成

……はい

水木 光

……

でもこれはキャプテンが作ってくれたチャンス

ちゃんと自分の気持ちを優成に伝えなきゃ___

ガタン、ガタン……とゴンドラはゆっくりと上へと上がっていく。

明里と一颯は向かい合って座っていた。

涌井 明里

……

窓の外を見ながら一颯は呟く。

尾瀬 一颯

夜景、綺麗だね

涌井 明里

は、はい……

涌井 明里

(凌くん怒ってるよね……)

涌井 明里

(尾瀬先輩と2人きりだなんて…)

涌井 明里

(無理やりでも手を振り払った方がよかったかな)

尾瀬 一颯

大丈夫

涌井 明里

……え?

尾瀬 一颯

密室で2人きりだからって心配してるんでしょ

涌井 明里

尾瀬 一颯

手とか出さないし

尾瀬 一颯

……ふっ

尾瀬 一颯

ほら、あれ見てよ

一颯はニヤニヤしながら1つ後ろのゴンドラを指さす。

そこには凌が窓にへばりつくようにして明里たちの様子を監視していた。

涌井 明里

……っふ

涌井 明里

あははっ

尾瀬 一颯

こっわ、なにあれ

涌井 明里

ふふっ…

尾瀬 一颯

あんなやつに監視されてちゃ、身動き取れないや

涌井 明里

(ごめんね凌くん…)

涌井 明里

……あの

涌井 明里

尾瀬先輩はなんで私と観覧車に乗ったんですか

尾瀬 一颯

…………

一颯は窓の外を見つめて黙り込んだ。

涌井 明里

…?

尾瀬 一颯

……一緒に、見たいものがあって

涌井 明里

見たい、もの…?

すると一颯は携帯を取り出し、画面を見つめた。

尾瀬 一颯

あと10秒…かな

涌井 明里

な、なんですか?

尾瀬 一颯

……

尾瀬 一颯

5

尾瀬 一颯

4

尾瀬 一颯

3

涌井 明里

なんなんですか!

尾瀬 一颯

2__

その時、

ヒュー……………………

明里は笛のような音が聞こえ、窓に顔を向けた。

その瞬間

パアンッ!!

大きな花火が音と共に空中で咲いた。

涌井 明里

……わぁ

パアンッパアンッパアンッ……

花火は立て続けに夜空に咲いていく。

涌井 明里

す、っごい……

涌井 明里

すごい、すごいっ

涌井 明里

すぐ近くで花火が咲いてる…!

涌井 明里

めっちゃ綺麗ですねっ

明里は興奮して、一颯の方を振り返った。

尾瀬 一颯

……

一颯はじっと明里の様子を伺うように見つめていた。

涌井 明里

涌井 明里

す、すみません……興奮しちゃって

尾瀬 一颯

ううん。そういう反応が見たかった

涌井 明里

……というか、見せたいものって

涌井 明里

この『花火』ですかっ!?

尾瀬 一颯

うん

尾瀬 一颯

俺以外の皆、知らなかったらしいけど

尾瀬 一颯

今日はたまたま花火上がる日だったらしくて

尾瀬 一颯

涌井さんと見たかった

その言葉に、思わずドキリとしてしまう。

涌井 明里

…………

涌井 明里

(もしかして、)

まだ、

尾瀬先輩は私のことを__

尾瀬 一颯

涌井さん

涌井 明里

涌井 明里

は、はいっ

尾瀬 一颯

俺、結構頑固なの

涌井 明里

知ってます

尾瀬 一颯

……だよね

尾瀬 一颯

だから、決めたことは自分の思い通りになるまで

尾瀬 一颯

何がなんでも手に入れるつもりだった

尾瀬 一颯

……君だよ、涌井さん

涌井 明里

……っ

涌井 明里

すみま、せん……

涌井 明里

私は凌くんのことが__

すると一颯は手を伸ばし、明里の口を塞いだ。

涌井 明里

んん!?

尾瀬 一颯

……これ、

尾瀬 一颯

告白じゃないから

尾瀬 一颯

振らないでくんない?

一颯はムッとして明里から手を離す。

涌井 明里

す、すみません……

尾瀬 一颯

…………

尾瀬 一颯

さっき、涌井さんが花火を見てた横顔__

尾瀬 一颯

すごく綺麗だったよ

涌井 明里

明里は顔をかあっと赤くさせた。

尾瀬 一颯

でも、ここにいるべきは"俺"じゃないなって思った

涌井 明里

…………

涌井 明里

ごめんなさい

涌井 明里

話が見えてこないんですけど……

尾瀬 一颯

………ちゃんと聞いて

涌井 明里

は、はあ…

涌井 明里

(何を伝えたいんだろ、尾瀬先輩は……)

尾瀬 一颯

…………あ

尾瀬 一颯

頂点だ。

ゴンドラは観覧車の頂上にいた。

涌井 明里

……!

涌井 明里

ほんとだっ

尾瀬 一颯

……ねえ知ってる?

尾瀬 一颯

この観覧車の頂上で願い事すると叶うって話

涌井 明里

尾瀬 一颯

なにお願いしようか?

涌井 明里

もちろんっ

涌井 明里

「これから先も凌くんの隣にいれますように」

明里はニコッと笑った。

尾瀬 一颯

……

一颯は目を丸くさせる。

バンッと大きな花火が一颯の心の中で咲いたような気がした。

尾瀬 一颯

…………

涌井 明里

尾瀬先輩は?

一颯は俯いて、明里の方に顔を向ける。

尾瀬 一颯

……

尾瀬 一颯

「涌井さんの願いが叶いますように」

涌井 明里

……え

涌井 明里

ええっ!?

涌井 明里

勿体ない!

涌井 明里

自分のために使ってくださいよっ

涌井 明里

ちゃんと、自分が心の底から願ったことを__

尾瀬 一颯

願ったよ

尾瀬 一颯

悔しいな、ほんと

涌井 明里

……え?

尾瀬 一颯

心の底から君たちの幸せを願ったんだ

尾瀬 一颯

……はは

尾瀬 一颯

やっと……腑に落ちたよ

尾瀬 一颯

この気持ち、認めるしかなさそうだね

涌井 明里

な、なにを言って__

尾瀬 一颯

俺は今、

尾瀬 一颯

俺が涌井さんを幸せにするより

尾瀬 一颯

桐山に幸せにさせてもらってほしい

涌井 明里

……そ、

涌井 明里

それ……って___

一颯は明里の目を見据えた。

尾瀬 一颯

好き"だった"よ

涌井 明里

尾瀬 一颯

今は"桐山の彼女"として……

尾瀬 一颯

君のことが"人"として好きだ

涌井 明里

……せ、んぱい__

尾瀬 一颯

涌井さん。

尾瀬 一颯

俺の頑固な感情に付き合ってくれてありがとう

尾瀬 一颯

それは今日で終わりだよ

一颯は口角を上げて、優しく微笑んでいた。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

2

ユーザー

続きどこ〜?楽しみすぎて寝れない!笑

ユーザー

このお話大好きですっ!いつも素敵なお話をありがとうございますm(_ _)m

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