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『何でも相談所』【完結】

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『何でも相談所』【完結】

14 - 「んひぃぃぃぃい」「うぐふっ」

♥

21

2024年08月20日

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嫁いだ先は最悪だった。

セクハラ発言を連発する義父。

パワハラ発言を連発する義母。

そして、

それらを見て見ぬふりをする夫。

ここに、

私の味方は一人もいなかった。

バカだのアホだの、

下半身を撫でろだの、

愛想が無い不細工だの言われながら、

私は小汚い店で

小間使いのように扱われてきた。

去年の暮れに義父が

”美紀ちゃんの乳を触らせてくれたら、

元気になるかもしれない”

そんな下らない言葉を最後に亡くなった。

バカな義父だと思った。

葬儀で涙一つ見せなかったら、

薄情なヤツだと義母に罵られた。

それから、

コイツのパワハラ発言はさらに悪化し、

最近では手を出してくるようになった。

殴られ、蹴られ、

物を投げつけられ、

それでも

安月給の夫は何もしてくれなかった。

私が怪我をしても

”大丈夫か?”

の一言も無かった。

だから、

あの掲示板を見つけたときは

神の導きだと思った。

そして、

私は迷わず

アイツの名前を書き込んだ。

『何でも相談所』

20211025013356

投稿者:名無しさん

加藤 ハル(かとう はる) まんぷ〇食堂

1949/05/14

すぐ近くで物音がして、

加藤ハルはゆっくりと目を開ける。

豆電球が灯ったままの薄暗い部屋の中で

動く人影を見つけた。

加藤 ハル

…あんた…

 

あ、はい

しゃがんでいた人影は

驚く風も見せず顔を上げる。

それは肌が異様に白い黒髪の青年だった。

加藤 ハル

そこで何をしてるんだい?

 

まだ何もしていません

加藤 ハル

まだ、ねぇ

加藤は目を細めて、

じっと青年を見つめ

加藤 ハル

だが残念だね

枕元にあるボタンを押した。

 

それは?

加藤 ハル

これを押すと警備会社に連絡が行くんだよ

加藤 ハル

すぐに人が来るだろう

加藤 ハル

捕まりたくないんなら

加藤 ハル

さっさと出て行きな

 

はぁ…

 

そうですか…

加藤 ハル

…なんだい

加藤はいぶかしげな顔をする。

 

いえ

 

そのボタンのコードが

 

途中で切られていなければ

 

ちゃんと警備会社に連絡は行ったと思いますよ

加藤 ハル

なっ!!

加藤は驚きの表情を浮かべ、

コードを手繰り寄せる。

加藤 ハル

コードが切れてる!!

 

そういう危なっかしいものは

 

最初に取り除くことが大事ですからね

青年はにこやかな笑みを浮かべる。

加藤 ハル

あ、そ、そんな…

 

では、あまり気乗りしませんが

青年はベッドに一歩近づき、

加藤の右耳をつまむ。

加藤 ハル

何を

───ざりっ

青年はよく使い込まれた包丁で

右耳を削ぎ落した。

加藤 ハル

ひゃぁぁああああ!

加藤 ハル

耳!耳がぁ!

 

良く切れる包丁ですねぇ

 

手入れが行き届いている証拠です

加藤 ハル

やめて…

加藤 ハル

やめてちょうだい!

さらに左耳を削ぎ落す。

加藤 ハル

耳ぃぃぃぃい!!

 

思ったより出血が少ないですね

加藤 ハル

こ、こんな老いぼれ…

加藤 ハル

殺して何になるんだい…

 

さぁ?

 

何になるんでしょう

青年は首を傾げる。

 

私は貴女を殺すよう依頼を受けただけですので

加藤 ハル

こ、こ、殺す!?

加藤 ハル

こ、こんなババアを殺すのかい?

 

はい

加藤 ハル

しかも、依頼ってことは

加藤 ハル

誰かが私を殺すよう頼んだってことかい?

 

そういうことですね

加藤 ハル

……

考え込む加藤の腹に

容赦無く包丁を突き立てた。

加藤 ハル

ひあああぁぁああ

 

ちゃんと胃まで届きましたでしょうか

 

ふむ…

 

もうちょっと右側でしたっけ

言いながら包丁を捻じる。

加藤 ハル

んひぃぃぃぃい!!

細い手を伸ばし、

青年の腕を掴んだが

何の抵抗にもならなかった。

加藤 ハル

うっ…ごほっ…

 

あ、血を吐いてるんで大丈夫そうですね

加藤 ハル

ごほっ…ごほっ!

 

では

 

こっちをよく見て下さい

加藤 ハル

へ?

 

では、失礼して

青年はどこからともなく取り出したフォークを

加藤の右目に突き刺した。

加藤 ハル

はぁぁぁああああああ!

加藤 ハル

目ぇ!!

加藤 ハル

目ぇ!!目がぁぁぁぁああ!!

 

こうして捩じると…

───ぐぽっ

加藤 ハル

ぎゃぁぁぁああああ!!

 

ほら、綺麗に眼球が取れました

加藤 ハル

痛い痛い痛い痛い…

 

ではもう片方も……

加藤 ハル

やめ、やめておくれ

しかし、

抵抗虚しく

左目にもフォークが突き刺さった。

加藤 ハル

あぎゃぁぁぁああああああ!

加藤 ハル

ゴホッ!ゴフッ!!

加藤 ハル

おえっ……

加藤は口から大量の血を吐くと、

仰向けに倒れ、

動かなくなった。

加藤 ハル

……

 

おや?

 

なんと呆気ない…

 

ああ

 

私としたことが

 

持病があるのをすっかり忘れていました…

加藤 美紀

あ!

加藤 美紀

あ、貴方…もしかして…

 

……

声がして振り返ると、

そこには中年の女性が立っていた。

加藤 美紀

『何でも相談所』の”管理人”さん?

 

……

加藤 美紀

あ、いいんです!

加藤 美紀

答えなくても

加藤 美紀

……あ!ババアが死んでる!!

彼女は嬉々としてベッドに近づく。

加藤 美紀

あはははっ!

加藤 美紀

すっごい!

加藤 美紀

目にフォーク刺さってる!!

加藤 美紀

苦しそうな顔!

加藤 美紀

口から凄い血を吐いてる!!

加藤 美紀

あははっ!

加藤 美紀

ざまぁみろ!!

加藤 美紀

いっつも私をいじめやがって!!

加藤 美紀

早くくたばらないからこういうことになるんだよ!

加藤 美紀

あはははははっ

 

あの…

加藤 美紀

あ、ごめんなさ

振り返った瞬間、

青年は持っていたナイフを

彼女の腹に突き刺した。

加藤 美紀

……え?

 

誰であろうと

 

目撃者は殺すことにしていますので

加藤 美紀

え…

加藤 美紀

そん…な…

ナイフを横に滑らせると、

腹から大量の血が噴き出した。

加藤 美紀

うぐふっ

血を吐き、

お腹を押さえ、

両膝をつく。

加藤 美紀

い、言わないから…

加藤 美紀

貴方が殺したこと…

血に濡れた手を

青年に向けて伸ばすが

何も掴むことが出来ず空を掻く。

加藤 美紀

お願い…

しかし、

そんな彼女を見る青年の目は

冷ややかだった。

 

その言葉って

 

何よりも信憑性が無いって

 

ご存知ですか?

加藤 美紀

あ…ああ……

加藤 美紀

ぐふっ…

加藤 美紀

そん、な……

 

では、仲良くお揃いにしましょう

やんわりと笑みを浮かべた青年を見て、

美紀は隠し持っていた物を取り出す。

加藤 美紀

いやっ!

───ザクッ!

 

おや…?

青年がゆっくりと視線を落とすと、

己の腹に深々と包丁が刺さっていた。

 

これはこれは…

しかし、青年の表情に変化は無い。

加藤 美紀

バ、ババアを殺す手間が省けたって思ったのに

美紀は力任せに

包丁をさらに奥へと突き刺した。

 

……

加藤 美紀

まぁいい

加藤 美紀

あんたもここで殺

その言葉の途中で

青年は素早く

美紀の喉元にナイフを突き刺した。

加藤 美紀

おぶっ

 

いやぁ

 

フォークを四本持ってきておいて正解でしたね

己に刺さった包丁など全く気にせず、

爽やかな笑みを浮かべ、

ポケットからフォークを二本取り出す。

加藤 美紀

あ…あ…

加藤 美紀

あああぁぁああぐっ!!

両目に深く突き刺さったフォーク。

それを抜こうとして

包丁の柄から手を離した瞬間、

喉元に刺さっていたナイフが横に滑り、

切り裂かれた頸動脈から

鮮血が噴き出し

綺麗な弧を描く。

彼女もまた

ゆっくりと仰向けに倒れ

事切れた。

 

…はぁ…

青年は己の腹に突き刺さった包丁の柄を

指先で撫でる。

 

この服、気に入っていたんですけどね…

 

さて

 

片付けをして帰りましょうか

『何でも相談所』【完結】

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