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桜の花嫁を、君ニ捧グ。

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桜の花嫁を、君ニ捧グ。

12 - 第二章。 時を刻ムその中デ

♥

558

2025年08月07日

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紫 side

何度目かわからない

薄暗い書庫の中を一人で歩く

イルマ

……

ただ、静かに俺の足音だけが響いた

この城への潜入を開始してから、早1ヶ月

普通にらんの護衛という役割も板についてきたが、俺の本来の目的は依頼をこなすことだ

イルマ

(Sacrificed bride)

イルマ

(生贄の花嫁…か)

ある本のタイトルが目に入ると、静かにそれを抜き出す

〝生贄の花嫁〟

それは、歴代何代にもわたり引き継がれてきた変えられぬ運命である

何百年かに一度寿命を迎える

神から与えられし桜の木

不思議な力持つその木がなくては、

本来枯れ果てた地であるこのシクスフォニアは生命を保つことができない

その生命を延命させるのが、選ばれし花嫁

花嫁であることは、まさにこの国の〝誇り〟である

生まれた頃から誰よりも桜の花が似合うその容姿は、まるで作り込まれた人形であるかのように美しく…

イルマ

……はぁ

そこまで読んだところで俺は静かに本を閉じた

どうしようもなく居心地が悪くなったからだ

イルマ

(どの本も同じようなこと書きやがって)

同時に、微かな怒りも湧いてくる

何故かはわからない

けど、花嫁であることを誇りなんて言い方をする本を馬鹿馬鹿しく感じた

イルマ

(好きでなるやつなんていないだろ)

城の領地の隅に用意された、騎士専用の宿舎

自室に戻っても、不快感が消えることはなかった

イルマ

(きっと……あいつといるからだろうな)

桜の花嫁であることを嫌がっているらんの隣にいるから

イルマ

(まじでムカつく)

イルマ

(生贄を誇りなんていうこの国も)

イルマ

(自分の運命を受け入れている、らん自身も)

らんは気づいていないのかもしれない

けど、

ラン

いいよ、すち

ラン

今日は大丈夫だから……

イルマ

(怖いから)

イルマ

(ずっと怯えながら過ごしてるから)

イルマ

(誰かに縋っていたいと願う癖に)

ラン

〜♪〜♫

イルマ

(そんな気持ちでさえ誤魔化そうと)

イルマ

(歌を歌って)

なのに、

ラン

食べれるうちに食べとかないと損じゃない?

イルマ

(自分が死ぬということは、自然と受け入れている)

それが、ここまで桜花妃を探ってみてわかったことだ

幼い頃からお前は生贄になるのだと教えて込まれてきたのもあるのだろう

けどきっとあれは、

イルマ

(らん自身が、自分は生贄になると決めている)

わからない、俺には

ひどい恐怖を感じながらも受け入れていることが

イルマ

バカだよ…あいつ

馬鹿だ

俺だったら受け入れることなんてできない

でも、

イルマ

(痛々しいから)

イルマ

(放っておけない)

そう頭によぎったが、すぐに思考を停止させる

イルマ

(俺は、依頼をこなすためにここにいる)

桜花妃につくことになったのは、依頼をこなす上で計画通りだった

だけど

イルマ

(相当厄介なやつに出会っちまったな…)

自分に半ば呆れながら静かに目を瞑る

一旦全てを忘れようと、その日は床についた

桜の花嫁を、君ニ捧グ。

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コメント

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主様お疲れ様です✨️💜くん🩷ちゃんを助けてあげて、続き楽しみです✨️無理しない程度に投稿頑張ってください

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