TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シロとクロ

シロとクロ

「シロとクロ」のメインビジュアル

1

シロとクロ 『出会い』

♥

20

2020年05月08日

シェアするシェアする
報告する

女性

グス...グス...

年寄りの女性

うわぁぁー...

年寄りの男性

グス...

ザァーーーー

『君』のお葬式は 生きてる時の『君』の心の中を表しているように 大雨の日に行われた

だけど、その雨音がかき消されるほど 室内はたくさんの人の泣き声で溢れていた

『君』はよく 「自分なんて誰にも必要にされてない」

って言ってたよね

だけど、『君』の死に こんなにもたくさんの人が 涙を流している

『君』はこんなにも たくさんの人に必要とされてたんじゃないかな?

この光景を『君』が見たら なんて言うだろう

『自分』の目の前には 笑った顔の『君』の写真が たくさんの花と共に置かれている

『君』もどこかで見てるかな

そんな事を 『君』の笑顔を見つめながら 1人で考える

あれはまだ 桜が満開だった時

『私』はこの病院で働く事になった

『私』

初めまして、今日からここで働く事になった者です。

石屋先生

初めまして、僕はこの病院の医院長、石屋と言います。

『私』

よろしくお願いします。

石屋先生

早速なんだけど、__さんに担当してほしい患者さんがいるんだ。

『私』

分かりました。

石屋先生

病室は301号室。
よろしくね

『私』

はい。

石屋先生

あ、そうだ
今から__さんに担当してもらう患者さんはね、

石屋先生

不治の病なんだ

『私』

不治...

石屋先生

そう、治る事の無い
死ぬ事を待つしかない患者さんなんだ

『私』

分かりました。

『私』

それでは行ってきます

『私』

(不治の病...か...)

だけど、『私』には関係ない

『私』は基本的に他人に興味が無い

そのうえ、無口無表情

不治の病だから もうすぐ死ぬから と言っても同情する気は無い

『私』

(301。ここか)

『私』

(そういや、名前聞いてなかったな)

『私』

...

『私』

は?

301号室 × × × シロ!!!

つい声が出てしまった

なんで患者の名前が書かれているはずの場所に『シロ!!!』って...

『私』

(随分、思い詰めた患者なのかな)

『私』

(それとも、少々頭がおかしいか...)

コンコン

『私』

失礼します

ガラガラ

『私』

...

『君』は病室の窓際に立っていた

『私』

(私の声とノックの音が聞こえてない)

それにしても...

『私』

(凄く綺麗な人だ)

そこには綺麗な真っ白の髪をした 少年が立っていた

『私』

(こんな若い人が...)

世界は残酷だ

『私』

あのー...

『君』

フンフフーン

『君』

せーの、

『君』

いっちにー、いっちにー

『私』

...

『君』

いっちにー、さんしー

『君』

ごーろく

『君』

ピース!!!

彼はピースをしながら くるりとこちらに1回転した

『君』

...

『私』

...

『君』

わ...

『私』

わ...?

『君』

わぁぁぁぁぁああ!!!!!

『私』

...

ほらね、

『私』は無表情

『君』

えぇぇぇー、いつからそこに...ってか、え、ちょ、

『私』

...

『君』

み、見てました...?

彼は真っ赤な顔をしている

『君』

見ましたよね!??

『私』

はい。

『君』

わぁぁ、恥ずかしー!

『君』

あ、で、あなたは?

切り替え早くない?

『私』

今日から『君』を担当する事になった者です

『君』

そっか、よろしくね

彼は満面の笑みで挨拶した

『君』

俺の名前はシロ!

『私』

...え?

『君』

ん?

『私』

『君』は外人なの?

『君』

違うよ?
日本人だよ、ちなみに高校生ね

『私』

そうなんだ

『私』

よろしく

『君』

『あなた』の名前は?

『私』

私は...

『私』

黒須と言います

『君』

黒須さんかぁ〜

『君』

黒須、黒須...

『君』

クロさんだ!

『私』

は?

『君』

だって、『あなた』の髪の色!
真っ黒だし!

『君』

名前にも黒が入ってる!

『君』

クロさん!下の名前は?

『私』

そんなの、『君』に言わなくてもいいでしょ

『君』

うわはは!!
それもそうだね!

『君』は大きな口を開けて 笑った

この会話のどこがそんなに面白いのか『私』には理解出来ないけど

きっと『君』が死ぬまで 理解する事はないだろう

『私』

それじゃあ、今日は挨拶に来ただけだから

『君』

ねぇねぇ、クロさんさ、

『私』

なに?

『君』

看護士さんなのに患者にタメ口でいいの?

『私』

じゃあ、どういう喋り方をすればいいでございましょうか?

『君』

敬語下手だね

『私』

この喋り方で喋ってほしい?

『君』

絶対嫌だね

『君』

ていうかさ!

『君』

俺、もうすぐ死ぬんだよね!

『君』

不治の病?っていうのなんだって

『君』

はぁ〜ほんと、美人薄命って俺のための言葉だよね

『私』

『君』のための言葉ではないよね

『君』

うわはは!!

『君』はまた大きな口を開けて笑った

『君』

まぁ、何にせよ、俺はもうすぐで死にます

『私』

...

『私』

知ってる

『君』

...

『君』

いいね、クロさん

『私』

何が?

『君』

いやぁ〜、今の一言でクロさんの事気に入ったよ!

『君』

これからよろしくね

『私』

それじゃあ私はこれで

『君』

またねー!クロさん!

トコトコ

あんな『君』がもうすぐ死ぬ?

あんなに元気な『君』が?

全く信じられない

『私』

(またね...か)

美人薄命はともかく

おそらく、「またね」って言葉は 『君』のための言葉じゃないだろうな

『私』

(もしかしたら、今日死ぬかもしれないのに...)

『私』

(『君』に「また」会うことはないかもしれないのに...)

そんな事を思いながら、 『私』は 医院長室に向かっていた

この作品はいかがでしたか?

20

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚