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例えば魔法が使えたら

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例えば魔法が使えたら

2 - 君に少しでも近づいて

♥

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2023年01月05日

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注意!! ・青黒大前提!(ココ重要) ・他のメンバーさん達には特にカプ要素を考えていませんが、書いてる人が赤桃・白水脳なのでそう見えるところもあるかもしれません💭 ・nmmn ・地雷さんはUターン⚠️

特別広くも狭くもない部屋に、彼の歌声が響く。

バックで流れるミュージックがその立体感を余計に際立たせ、臨場感が高まっていく。

お得意のロングトーンが空気を揺らし、鼓膜を揺らした。痛さを感じない高音は、寧ろ耳によく馴染む。

程良く薄暗い部屋。程良く小さめに設定された音楽。その全てが心地良い。

(・・・凄いなぁ)

何度聴いても聴いても、彼の歌声には圧倒される。

・・・っしゃ!97点〜!

うわー

表示された高得点に、彼のガッツポーズが飛び出した。90点代常連の彼の点数は段々見慣れてきたが、こんな点数を軽々と出されると思わず感嘆の声が漏れる。

ほら次りうらやで!曲入れたか?

うん、入れた

この後歌うのやだな、なんて。何巡目かにして思いながらマイクを手に取った。

今日は、あにきとカラオケに来ていた。

あにきと2人で出かけるのは珍しいことだった。あにきは基本あにきにべったりなまろと一緒か、大人組3人で集まったりしている。あとはショートケーキの3人でも仲良くしてるな。

俺とあにきは公式ペアだけど、実際2人でよく出かけているのかと聞かれれば答えはノーだ。勿論仲が悪いわけじゃないけど、ショートケーキみたいに気軽に集まってわちゃわちゃする程ではなかった。

今日は2人でのレコーディング日で、時間がかかるかと思っていたけどそんなこともなく。2人で歩いていた帰り道にカラオケを見つけて、あにきを誘ってみた。

2人で何処かに行くこと自体珍しいのに、それが俺からの誘いというのもあってか、あにきびっくりしてたな。

おー!ええやん!

俺が歌い終わり、画面に表示されたのは93点。まぁまぁ良い点数の筈なのに、あにきといると感覚がバグって低く感じる。

2人カラオケはすぐに順番が回ってくる。再びマイクを手に取ったあにきが立ち上がった。

この一室は今、彼の独壇場。彼だけのステージ。

こんなカラオケのとある一室を、彼は秒で輝かしいステージに変えてしまう。

隣にいるのに、まるでステージの下から彼を見上げているみたいだった。

洗練されている技術。圧倒的な経験値。音楽に対する愛と熱。

その全てに日々圧倒されて、俺の熱も彼に乗じて熱くなって。相方なのに敵わないなと感じながら、だからこそ少しでもその背中に追いつけるようにとやる気が湧く。

この世界に俺を引っ張ってくれたのはないくんだけど、その後の俺をより高みへと導いてくれているのは、他でもないあにきだ。

実際は小さいのに、誰よりも大きく見えるその背中は、俺に沢山のことを教えてくれる。

時に背中で見せて、時には後ろから支えてくれる彼は、やっぱり最年長なんだなぁと改めて感じさせられる。

〜♪

さっきまでバチバチなボカロを歌っていたあにきは、今度はバラード系のしっとりとした曲を歌い出した。これが歌枠とかであにきっずの子達に刺さってるんだろうなぁ。

あにきの感情表現と言うか、歌の表現力は半端じゃない。

抜ける声や芯がずっしりとある声、まるで潤んでいる声。どの声も彼のものなのに、全て違う。

その技術は、まるで魔法みたいに。

・・・あにきってさ

丁度一曲歌い終わったあにきに、ぽつりと言葉を溢した。

人の5倍くらい感情ありそうだよね

・・・はぁ?

突然何を言い出すんだと言いたげに、あにきがきょとんとした表情を浮かべる。

突然どしたん

どんな感情も表現して、俺には作り上げれないような歌を歌うから

そんなあにきが今や憧れで、尊敬してる。

・・・

あにきからの返事が中々返って来ず、どうかしたのかとその顔を見れば、何やらあにきが唖然としたまま固まっていた。

・・・え、何?

なんか変なこと言った?

・・・いや、悪い。お前にそんなこと言ってもらえるなんて思ってなかった

・・・えぇ?

今度は俺がそんな声を漏らす番だった。けれどあにきはネタでも無く至って本気らしく、小さく驚いた表情はそのままだった。

・・・そんなのさぁ、普段から思ってるよ

なんなら出会った当初から、初めて彼の歌を聞いてみた時から。・・・初めて6人でカラオケに行った時から、その歌声に圧倒されていたと言うのに。

何度も聞いていれば慣れるものだと思っていたのに、歌において努力を怠ることを知らない彼の日々進化していく歌声には、聞き惚れるばかりで。

でも確かに。それをこうして彼に直接伝えたことは、あまり無かったかもしれない。

・・・あにきの歌は俺の憧れだし、いつもその背中に追い付きたいって思うような、目標だよ

そんな告白。不思議と、照れ臭さは無かった。

きっとこれが紛れも無い本心で、心の何処かで彼に伝えたいと思っていたからなのかもしれない。

・・・っはは、

くしゃっと表情を緩ませて、あにきが笑みを溢した。

・・・嬉しいこと、言ってくれるやん

(・・・あ、)

頭に乗せられた彼の手はあったかくて、やっぱり大きく感じた。

じゃあとりあえず、りうらに抜かされないようにこれからも頑張んなきゃな〜

・・・抜かすかどうかは置いといて、隣に並ぶようにはなるから

ふはっ、言うやん。待ってるわ

歌うのは好きだ。でも昔の俺だったら、ここまで頑張ることは出来なかった。

それが今、頑張る理由はここにある。

・・・俺も、早く魔法使えるようになる

・・・魔法?

きょとんとするあにきに、なんでもなーい。と適当に返しておく。

あ、りうら。次歌う曲決まってるん?

いや、ちょっと待ってね今決める

じゃあ

マイクを手に取って立ち上がったあにきを見上げれば、あにきはにっと笑みを浮かべた。

一緒に歌おうぜ、相棒

差し出された手に、俺も笑みを浮かべてその手を取った。

勿論!

魔法だって手に入れて、いつか君と肩を並べる日まで。

黒さん生誕祭まで後5日

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