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behead

僕は世間の言う「クビカリ様」だよ

behead

君に会って、話をしてみたいな

behead

会ってくれるかい?

私は驚いて、この事実をよく受け止めきれなかった。

私の孤独を癒してくれた存在が実在し

かつ私にコンタクトをとってくれるなんて!

……でも、そんな虫のいい話はあるのだろうか?

ひょっとすると、なりすましかもしれない。

そう思って「behead」のプロフィールを開いてみた。

……

「君は今まで頑張ってきたんだね、もう楽になっていいんだよ」

「『死なないで』なんて言ってくる周囲は」

「君がどんなに辛くても、己の見栄のために生きてさえいてくれればいいと思ってる」

「結局自分の保身しか考えてないんだ」

 

そのアカウントは、おおよそ「みんなの倫理」からは大きくかけ離れていて

優しい言葉で「自殺願望」を持つ事を肯定してくれていた。

……私が想像してた通りだ

きっと、本物の「クビカリ様」なんだ!

……なあ、ちょっと!

瑠奈

授業、もう始まってんぞ!

そう言って背中を叩いたのは、後ろの席のクラスメートだった。

彼女の名前は瑠奈、髪染めなどの校則違反常連者で

遅刻も多く、先生たちも匙を投げるほどだ。

周囲に馴染もうとしない性格からも、教室で私と同じく孤立している。

先生

えっと、三島さんも気づいた事だし

先生

授業を始めましょうか

そうおずおずと切り出したのは、今年教師になったと言う担任の先生。

授業に集中していなかった私も、くすくす笑う周囲も諌める事なく

くるりと黒板に向かい、板書を始めた。

生徒との衝突を避ける先生らしい態度だ。

 

先生

……はい、ではプリントを配ります

先生

どんどん後ろに送っていってね

……出た、私の嫌いな瞬間。

弱気な先生の授業の時、こう言う時は決まって……

……ねえ、プリントちょうだいよ

 

……

前の席の子がわざと無視をして、私へとプリントを送ってくれないのだ。

先生

……ちゃんと送ってあげてね

 

……

先生

ど、どうしようかな、アハハ

先生は困ったように笑うだけ。

瑠奈

……

すると、瑠奈ちゃんがおもむろに立ち上がり

ツカツカと前の席の子の所へと向かった。

瑠奈

なあ、ガキみたいな事してんじゃねえよ

 

……!

 

何よ、偉そうに

 

ふんっ!

前の席の子は私と瑠奈ちゃん、二人分のプリントを投げて寄越した。

先生

……じゃあプリントは行き届いたね

先生

じゃあ教科書の39ページから……

トラブルを見てみぬふりしながら、先生は授業を続けた。

 

 

昼休み 校舎裏

 

……やっと見つけた!

瑠奈

は?何?誰?

瑠奈

瑠奈

ああ、三島か

菓子パンの袋を開けながら、瑠奈ちゃんは振り向きながら不機嫌そうに答えたが

声の主が私だと気づいてすぐに警戒を解いた。

隣でご飯食べていい?

瑠奈

まあ……いいよ

瑠奈

好きにしたら?

ありがとう!

じゃあ、お邪魔します

そう声をかけて瑠奈ちゃんの横に座り、昨日の残り物を詰めた弁当箱を開けた。

さっきは、ありがとう

二人で黙々と昼食を食べつつ、タイミングを見計らって声を掛ける。

瑠奈

別に、褒められることでもないし

瑠奈

私だってプリントないと授業にならないし

そう強気で答えて俯いても、頬がほんの少し赤くなっていた。

瑠奈

さっき見てたの、「クビカリ様」だろ?

恥ずかしさを打ち消すように話題を無理やり変えられた。

……え?

瑠奈

悪い、画面が見えちゃって

瑠奈

……私も昔、いろいろあって

瑠奈

フォローしようとしたら即ブロされてな

瑠奈

私がネットにあげてた写真で髪色がバレてたんだろう

瑠奈

噂の「黒髪好き」は本当らしいな、はは

瑠奈ちゃんは頬を人差し指で掻きながら、悲しそうに笑った。

……意外だ、あんなにも強い瑠奈ちゃんが自殺を考えるなんて。

きっと、私の窺い知れないことがあるんだろうな。

(クビカリ様といえば)

(さっきのDM、返さないと)

先程のやりとりを思い出し、スマホを取り出してSNSを開いた。

 

 

 

 

behead

返事は頂けないのかな……?

behead

まあいい、また今度メッセージを頂戴?

behead

会うのはその時にしよう

(……待たせすぎちゃった)

(怒らせてしまったかなあ)

 

瑠奈

……どうだった、「クビカリ様」は?

返事を返すのがちょっと遅かったみたい

飽きられちゃったかもな、へへ

……そろそろ昼休みも終わるね、帰らないと

瑠奈

あーー……

瑠奈

最後にいいか?

瑠奈

多分だけど柚、介護してるだろ

……え!?

瑠奈

バ先に、介護してて同じような臭いに苦しんでる人がいたからさ

……そうなんだ……

瑠奈

なんか……愚痴とか聞いてやるからさ

瑠奈

クビカリ様頼る前に、話し相手になってくれよ

瑠奈

周りを言い負かす才能はあっても

瑠奈

ダチを作る才能がねえ私を助けると思って!

……

うん!

 

 

その日から、昼休みには2人で校舎裏に寄り

昼ごはんを食べながら話をするようになった。

瑠奈

……んで、その客なんて言ったと思う?

瑠奈

「子供がやった事だから目くじら立てるな」って!

瑠奈

店の商品の菓子、勝手に開けてバリバリ食べてた子供を

瑠奈

注意すらしないの、信じられないっしょ!?

……ちょっとわんぱく過ぎるよね

瑠奈

そうそう!

瑠奈

何が「ウチは叱らない方針」だっての

瑠奈

んで最後には

瑠奈

「店員さんが怒ってるから謝りなさい」って!

瑠奈

てめえが叱る勇気はねえのかって話じゃない!?

でも瑠奈ちゃん偉いよ、きちんと対応できてて

瑠奈

まあ……

瑠奈

仕事だからな

瑠奈

……うち、親が働いてないんだ

瑠奈

母親がアル中でね、家に常に酒がないと荒れちゃうのよ

瑠奈

パートもすぐに辞めちゃうし

瑠奈

父さんからの養育費も酒代に使うどうしようもないヤツ

瑠奈

そんなだからアイツの酒も私が……

瑠奈

お酒が、どうしたの?

瑠奈

あ、いや……

瑠奈

……そう、バイト関係の人!

瑠奈

その人に代わりに買ってきて貰ってんだよねー!

瑠奈ちゃんは一瞬目を泳がせ、半ば言い訳のようにその後の言葉を紡いだ。

瑠奈

あ、あーっと!休憩時間が終わる!

瑠奈

私は授業なんてどうでもいいけど、柚は戻らないと!

お酒なんて、瑠奈ちゃんのお母さんが買いに行けばいいはずなのに

なんで未成年である瑠奈ちゃんが準備しないといけないんだろう……?

腑に落ちない事はあったが、急かす瑠奈ちゃんに手を引かれ

校舎裏を後にする事になった。

親愛なるクビカリ様

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