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年が明けた。

最近は吹雪く日も多く、史上最高の寒波到来なんて世の中では謳われていた。

そして久しぶりに晴れた日、私はあの場所へ向かった。

すると、彼がいた。

でもいつもの彼と違うかった。

点滴をし、鼻からも管を通している。

そしてピッピッと心電図と思われる音も鳴り響いていた。

前よりもさらに痩せ細った体で、近くには車椅子が置かれてある。

その車椅子には○○病院と書かれていた

そんな彼を見た私はすぐに気づいた

こはる

(もう、長くないんだ)

って。

彼は私に気付き、優しく手を振ってくれた。

とあ

こはるさん、久しぶり

こはる

とあくん、久しぶりだね

とあ

もう会えないかと思ったよ

こはる

ごめんね、なかなか来れなくて

とあ

って言った僕も来るのあの日以来なんだけどね笑

彼はニコッと笑って見せた。

でも以前よりも骨が際立って見えた。

それから今日は彼と色んな話をした。

そして彼についてわかったことは、

・彼は先天性の疾患を持っていて、今までの大半を病院で過ごしてきたこと ・学校には行ったことがないこと ・看護師に止められたものの、抜け出してここに来たということ(今までは外出可能時間を使って来ていた)

そして、

分かってはいたことだけど、

もうそんなに長くないこと

私はどうしたらいいか分からず、俯いた。

それからまた日が経った。

冬も厳しくなり、部屋に籠る日も増えた。

 

そんなある日、

小春の母

小春、あなた宛に手紙が届いてるけど…

差出人は○○病院だった

急いで封を切って手紙開く。

そこに書かれていたのは、

もうとあくんは長くないってことだった。

だから会いに来てほしいと。

次の日私は用意してすぐに向かった。

病院へ着き、受付の人に手紙を見せながら声をかけるとすぐにとあくんのいる病室を教えてくれた。

 

414号室 青海冬空様

 

そう書かれていた。

ノックしようと手を伸ばした瞬間、中が騒がしいことに気がついた。

私はノックを忘れて扉を開けてしまった。

するとそこには先生や看護師が複数人いた。

みんなとても忙しそうで。

私は恐る恐る入り、覗くと、

そこには体をたくさんの管に繋がれたとあくんの姿があった。

ベッドに寝て、とても苦しそうな顔をしている。

酸素マスクをしている彼はそれでも息苦しそうに荒い呼吸を繰り返している。

私は呆然とした。

そして何もできず、ただただ自分の手を握り祈った。

 

懸命な処置が続き、やっと落ち着いたようで先生や看護師は帰っていった。

そして看護師さんに話しかけられた。

看護師

あなたが桜川さんね
来てくれてありがとう

そしてとあくんの様子を伝えられた。

どうやら先ほど急変したらしく、生死を彷徨っていたらしい。

落ち着いたものの、今も油断できない状況だという。

そしてその看護師さんも帰っていき、とあくんと二人きりになった。

私はとあくんが眠るベッドへ近づき近くの椅子に座る。

そしてとあくんの手を握っていると、とあくんは目を覚ます。

とあ

…こはる、さん?

こはる

うん、そうだよ!

こはる

とあくん、大丈夫…?

とあ

…う、ん

とあ

さっきよりはマシかも…

こはる

そっか…

とあ

…もうすぐ、3ヶ月なんだ

とあ

僕も、もうすぐなのかな…

私は言葉に詰まる。

とあ

ごめんね、こんな見苦しい姿…

こはる

ううん、気にしないで…

とあ

こはる

沈黙が続いた。

結局その日は沈黙が続いたまま、短い面会時間が終わり帰ることになった。

心残りが残るまま、私はその後も何度も病院に通った。

でもやっぱりあまりとあくんの調子が良くないらしく、面会を断られる日がほとんどだった。

そんな日が続いたある日、今日も面会を断られ、帰ろうと廊下を歩いていた時、看護師さんに話しかけられた。

どうやらその看護師さんはとあくんの担当看護師らしい。

看護師

桜川さん…?

こはる

あ…えっと…

看護師

私ね、冬空くんの看護師なの

こはる

あ、あの時の…

看護師

毎日来てくれてありがとう

看護師

冬空くんもね、いつも桜川さんの話をしてくれるの!

看護師

最近もよく話してくれるんだ、元気にしてるかなって…

こはる

…!!

看護師

まだ時間ある?ついてきてくれないかな?

こはる

は、はい!

私はその看護師さんの後を追う。

そしてついたのはナーススーテーション。

そしてその中の細い道を通り、

看護師

ここ、覗いていいよ

そう言われて窓を覗くととあくんの姿があった。

看護師さんとかが様子を見る用にこの部屋につけてあった窓だった。

私は泣きそうになった。

そしたらとあくんがこっちに気づいてくれて、

手を振ってくれた。

そして受話器を見せられたので私もすぐそばにあった受話器を取った。

とあ

…もしもし、こはるさん?

か細い声だけど、確かにそう聞こえた。

こはる

…とあくん…!

とあ

話したかったんだ、ずっと。

こはる

私も、私もよ!

とあ

えへへ

そうやって彼は私に笑ってくれた。

その後何か呟いたように見えた。

でもそれは受話器にも私の耳にも届くことはなかった。

それは一瞬だった。

とても、一瞬だった。

次見た時には苦しそうに丸まるとあくんの姿があった。

看護師さんや医師はすぐにとあくんの部屋へ行き、懸命な処置をしている。

点滴がさらに繋がれたり、注射を打たれたり。

他にも色々、されていた。

それは瞬きをするような、とても一瞬の出来事だった。

鳴り響く心電図の一定の長く伸ばされる音と赤く光る心電図。

さっきまで苦しんでいたとあくんの動作も止まっていた。

医師が心臓マッサージを終える瞬間。

看護師もみんな涙を流しながら頭を下げる。

私の目から一筋の涙が流れた瞬間、 全てを悟った。

私はその場に泣き崩れた。

その後さっきの看護師さんが来てくれて泣きながら背中をさすってくれた。

私は看護師さんに案内されてとあくんの部屋に入る。

ベッドには安らかに眠るとあくんの姿があった。

さっきまでの苦しそうな顔はなく、長年の苦しみからやっと解放されたような、そんな穏やかな顔をしていた。

私は涙を堪えた。

そうしないと、とあくんも後悔なく天国へ行けない気がして。

 

それからはとても一瞬だった。

とあくんの家族の方も来た。

といってもお母さんだけだった。

スーツを着ている姿から察するに、仕事中だったけど早退して来たのだろう。

とあくんのお母さんは泣きながらも平然を装いながら、医師からの説明を聞いていた。

そしてとあくんは別の場所へ運ばれた。

そこからは親族ではない私は関われないことなので、私は病院の受付の椅子に座っていた。

『死にたがりの私が余命3ヶ月の君に恋した話。』

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