スノ短編集

玄関を開けて思わずそう言ってから『あぁ、今日はいないんだった……』と思い出してため息をつく

いつもだったら元気な声で『おかえり〜』と聞こえて走ってくる大きな身体

今、その彼は海外にいる

思わずポロッと口から出た言葉

それは空気に溶けていった

『翔太くん、大好き』

『可愛い』

声を思い出して、胸がキュッとする

『僕がいなくて淋しいの？ふふっ、可愛いね』

『素直な翔太くんも可愛いね』

『照れてるwwほら、ベッド行こう』

脳内で再生される声に促されてフラフラと寝室のドアを開けた

『ほら、服脱いで？』

ベッドに座り、シャツに手をかける

パサっと服が落ちる音にすらゾクっと身体が震えた

『見て、乳首立ってる』

『ほら、触って？』

『指で摘んでみて……ふふっ、感じてるね』

ヤバい……

止まらない………

🎶〜

と、そこに突然着信が

その音に現実に戻り、自分がしていた事に気付いて慌てて服を着る

スマホに映されていた名前は

それは思い浮かべていた彼

しかもFaceTimeだ

急いで息を整えて、通話をタップした

先程までの行為を頭から追いやり表情を作ってラウールと話す

画面越しに鋭い目に射抜かれる

その目に一瞬にして先程の熱が再燃した

お前を思い出して1人でシようとしてたなんて…

そんな声で呼ぶなよ……

頭がボーッとして……

ラウールの声に頭が痺れて……

言われるがまま、さっき脱いだシャツをベッドに落とす

突然の指示に戸惑いながら言われるままクローゼットに向かう

そこには見慣れない箱が一つ

箱を持ち、ベッドに戻ってゆっくりとその箱を開けた

中を見て、思わず固まってしまった

そこには色とりどりの所謂大人のオモチャと言われるモノが……

いつの間にこんなに、しかも俺の家に……

なんでだろう……ラウールの声を聞くと……

そっとソレを手に取る

画面のラウールはニッコリと笑った

ｶﾁ…ｳﾞｳﾞｳﾞｳﾞｳﾞｯ

スイッチを入れると勢いよく震え出した

目を閉じて、ラウールの声とローターに感じる

まるでラウールが目の前にいるような感覚

促されるまま勃ち上がるそこに……

あまりの快感に怖くなって離したくなるけど、ラウの声がそれを止める

だんだんと目の前がチカチカしてきて……

目を閉じたまま、白濁を思いっきり吐き出した

そのまま、ラウの声が遠くなっていって………

俺は意識を飛ばした

数日後

帰国して初めての全員での仕事

あれから翔太くんに会えてない俺は急いで準備して勢いよく楽屋に入った

でも中を見渡しても目当ての人物はいない

そうなのだ

あのFaceTimeで翔太くんの痴態を見た日から、何度電話しても出てくれない……LINEしても既読スルー……

みんなの目線が痛い

苦笑いしながら後ろに下がると、ドアが開いた

ドアにぶつかった俺に驚いて謝ろうとした翔太くんは、俺の顔を見るなり固まった

そのままの姿勢で一気に顔が真っ赤に

俺を見て後退った翔太くんが逃げようと踵を返すのを慌てて腕を掴んで引き止めた

翔太くんの大きな声にハッとして口が止まった

目の前には真っ赤で泣きそうな顔をした翔太くん

目の前の翔太くんに必死すぎて、ここが楽屋だってこと忘れてた

メンバーがニヤニヤしたり赤くなったりしながら俺たちを見ている

怒って楽屋を飛び出した翔太くんを慌てて追いかけようとする

岩本くんから許可を得て、走り出した

その後、トイレに篭ってしまった翔太くんをなんとか宥めてしっかり30分後には楽屋に……

照れてしまってみんなの前で真っ赤な翔太くんが可愛くて、やっぱりあの箱は捨てずにこっそり持っておこうと決めた

無意識にニヤけていたのか、こっそりと舘さんに怒られちゃったw

おしまい