客間
玉藻
うっす
天
あれ?
天
もう帰ってきたの?
葛葉
また海音ちゃん泣かせたの?
玉藻
泣かせてねぇよ
玉藻
俺らの待ち人が来たんだよ
天
てことは…
葛葉
海音ちゃんのお父さんだね
海音
それ長ったらしいからパパの名前で呼んであげてよ
玉藻
まだ分からないから呼べねぇだろがアホ
海音
一言余計なんだよクソ妖怪が!
篤紀
落ち着きなさい海音
篤紀
とりあえず私が話すから海音は部屋に戻ってなさい
海音
はーい……
篤紀
篤紀
さて、待たせてしまいすまないね
篤紀
私が海音の父【篤紀】(あつのり)だ
玉藻
どうもです篤紀さん
天
よろしくお願いします
葛葉
よろしくです
篤紀
では、いきなりですが
篤紀
皆さんお名前の方をお伺いしても?
玉藻
俺は玉藻です
玉藻
先程察して頂いた通り妖怪です
天
俺は烏丸 天 玉藻と同じく天狗の妖怪だよ
葛葉
そして僕は鬼ヶ島 葛葉 ていいます
葛葉
もちろん僕も鬼の妖怪です
篤紀
つまり皆様妖怪ということでよろしいですか?
玉藻
その通りですね
篤紀
何故あなたがたのような高等妖怪がバイトを?
玉藻
実は今とある家に居候してましてね
天
そこの家主である未来ちゃんに働けと…
葛葉
でも僕らは妖怪だから正社員とかはなれない
玉藻
代わりにバイトなら出来るらしいので
天
そのうえで僕らでも採用してくれそうなところを探した結果
葛葉
この街の見回りって言うバイトをみつけたんです
篤紀
なるほど
篤紀
ちなみにその未来さんとはどんな方ですか?
玉藻
えっとー…
玉藻
春日原 秀喜て人ご存知ですか?
篤紀
それはもうこの界隈では有名人ですからね
玉藻
未来ってのはその人の娘さんです
篤紀
なんと!?
篤紀
それはそれは……
篤紀
だから妖怪相手でも難なく接してるわけですか
玉藻
そゆことです
天
ところでなんですけど
篤紀
ん?
天
今自分たちは妖怪と名乗りましたが
天
城ヶ崎家は陰陽師のような家系と伺いまして
天
自分達を倒そうとは思わないのですか?
篤紀
本来はやらなければならないが
篤紀
君達は害がなさそうですし
篤紀
何より秀喜さんの娘さんの”家族”ですから
葛葉
そんなことできませんよ
篤紀
それに私が本気で退治しようとしても勝てませんしね
葛葉
じゃあ今回採用ってこと?
篤紀
そうですね
篤紀
あなたがたを見た最初から採用は決めてました
篤紀
しかし本当に高等妖怪なのかを確かめたく
篤紀
少しお話させて頂きました
玉藻
採用ってことになったのか…
天
勤務内容は本当に見回りだけなのですか?
篤紀
本当にそれだけです
篤紀
ただその中で下位妖怪が襲ってきますから
篤紀
それらを退治できるまたは生きて戻れる
篤紀
これが出来なければならないのですが…
篤紀
皆様なら安心して任せられそうです
玉藻
アラクから聞いた話だと報告書なるものを書くとか…
篤紀
そうですね
篤紀
見回りの際こちらの書類を持って見回りをしてもらいます
篤紀
その書類にいくつか項目があると思いますが
篤紀
異常がなければチェックマークをつけてください
篤紀
何かを感じた際はその隣の欄にどんなことを感じたのかを記入してください
篤紀
そして一番下の欄はもし妖怪を退治した場合
篤紀
その妖怪の名前もしくは特徴を記入してください
篤紀
やることは以上です
篤紀
勤務時間は夜11時過ぎから翌朝の5時までです
篤紀
まぁこの時間はあくまで目安ということで
篤紀
基本は皆さんの意見を尊重します
篤紀
何曜日のいつ頃やりたいのかをお聞きしても?
玉藻
そうだなぁ…
玉藻
俺は月火水の22〜06までいけるぞ
天
俺は木金土の23〜05かな
葛葉
僕は月水金日で22〜04行けますよ
篤紀
かなりハードなスケジュールになるが大丈夫ですか?
玉藻
まぁ問題ないでしょ
篤紀
分かりました
篤紀
本来は色々書類を書いたりするのですが
篤紀
今回は省きましょう
篤紀
ではいつ頃から始めますか?
篤紀
今日からできる方がいるならばもちろんやってくれて構わないのですが
玉藻
ならやろうかな
天
じゃあ俺も
葛葉
僕も僕もー!
篤紀
皆さん今日からでいけますか?
玉藻
行けますよ
篤紀
では、今日の23までにここに来てください
篤紀
最初は私と回りましょう
玉藻
分かりました
城ヶ崎神社(夜)
篤紀
皆さん遅れずに来ましたね
玉藻
遅れたらまずいからな
篤紀
では、行く前にルートだけ確認しましょう
篤紀
基本はここを基準にし縁を描くように回っていきます
篤紀
時計回り反時計回りどちらでも構いません
篤紀
また、大きく円を描くように回ってもいいですし
篤紀
逆に小さめの円を描くように回り数回こなすなどでも構いません
篤紀
最低でも書類に記してある円は見回るようお願いします
葛葉
はい質問です
葛葉
その最低でも見ないといけない円って時間内にって事ですか?
篤紀
その通りです
篤紀
なので小分けにして見回るでも大丈夫です
玉藻
何となくわかった
玉藻
とりあえず最低で基準となる範囲を時間内に見てチェックをすればいいわけだ
篤紀
そういう事です
篤紀
では、軽く見ていきましょう
天
天
(ん?)
天
(今木陰から視線を感じたけど……)
玉藻
天どうした?
天
いや、なんでもない
天
(気のせいだったか?)
玉藻
チェック欄意外と少ないな
篤紀
見て回る分には少ないんですが
篤紀
何かしら異変を感じたりすると増えてくんですよ
篤紀
何事もなければほんとにここの欄だけで終わりです
玉藻
何事もなければね〜
葛葉
それって例えば幽霊でも記入するんですかー?
篤紀
異変を感じれば書いてもらうことになってるね
葛葉
ふーん……
天
とは言っても最近は下位妖怪達は大人しいと思うんだけどな
玉藻
それほど暴れてる感じは出てないかな
葛葉
どっちかといえば妖怪よりも幽霊関係が増えてる気がする
玉藻
妖怪は人と違って”よく見える”からな
天
一般人に普通に紛れ込んでるよね
葛葉
大半は自分が死んでることに気がついてないんだけど
篤紀
やはり妖怪を雇ったのは正解だな
篤紀
気配を人より早く的確に察知できる分
篤紀
事件なんかを解決しやすいからな
葛葉
現代は妖怪よりも幽霊多いからね〜
天
天
(やはり見られてるな…)
天
(場所が特定できないのが悔やまれる)
天
(度々見る方向が変わるようだが…)
天
(見てるやつは同一人物なんだよな……)
玉藻
天?
天
ん?
玉藻
もしかしてお前もか?
天
てことは玉藻もか?
葛葉
んー……
葛葉
なんかムズムズするなぁ
篤紀
?
玉藻
篤紀さんストップ
篤紀
どうしたんだ?
玉藻
今俺ら見られてますよ
篤紀
なに?
天
この感じは妖怪ですね
葛葉
色んなところから見られてるけど複数人ではないかな?
玉藻
んー…
玉藻
何となくわかったぞ
玉藻
とりあえず今見てきてる妖怪は目目連だな
篤紀
障子の妖怪である目目連?
天
恐らく”擬人化”したんでしょうね
篤紀
擬人化とはなんですか?
葛葉
人でない妖怪が人と同じ形になる進化のことを指すよ
玉藻
さて、そろそろお出ましだな御本人が
目目連
目目連
なーんだ今日は妖怪のお兄ちゃんたち連れてるんだ
目目連
それはずるいよね〜
そう話しながら薄暗い夜道の奥から一人の少女が歩いてくる
篤紀
小さな女の子?
目目連
おじ様は私をまだ妖怪と認知できないのね
目目連
やっぱり人達は妖怪と戦う術も見破る力もなくしたのね
目目連
あれだけ分かりやすく見てたのに今まで気づかなかったんだから
目目連
それはそうなのかもしれないわね
玉藻
表舞台に出てきたがどうするつもりだ?
天
3人いるよ僕達
葛葉
篤紀さんには触れさせないぞ!
目目連
ふふっただの偵察よ偵察
目目連
でもそうね…
目目連
力試しも悪くないわ
目目連
そこの小さいの
玉藻
呼ばれてるぞ葛葉
葛葉
小さくて悪かったな!
目目連
私と勝負しないか?
葛葉
売られた喧嘩は買ってやる!
葛葉
負けてから何か言うのはなしね!
目目連
当たり前でしょう?
玉藻
んじゃおれらは見回り続けるから
天
葛葉頑張ってね
篤紀
し、しかし彼を置いてくのは…
玉藻
大丈夫大丈夫
玉藻
負けはしないし書き方は後でしっかり教えるから
玉藻
俺のペットが潜伏してるしそいつ経由で伝えれる
天
だから俺達はこの場を離れましょう
篤紀
し、信じるぞ2人とも
目目連
ギャラリーがいなくなるのは残念ね
目目連
あなたの死に様誰にもみられないなんてさ
葛葉
君はよく喋るね
葛葉
そんなに話すってことは自分に自信ないのかな?
目目連
煽り返しなんて余裕だこと…
目目連
でも相手をわきまえて発言する事ね!