夢夏
あっつー…
夢夏
真夏だなー…
夢夏
ん、
夢夏
花火大会…か
雪斗
何見てんのー?
夢夏
な、なんでもない。
雪斗
へー、花火大会か…
雪斗
夢夏彼氏いねーじゃん笑笑
夢夏
う、うるさいなー!
夢夏
友達と行くんだもん…!
雪斗
え、まじか。
雪斗
先約いるとは…
夢夏
先約…?何の話?
雪斗
俺と花火大会行ってほしいなって思ってさ。
夢夏
雪斗と私が…?
雪斗
うん。
夢夏
ま、本当は誰とも約束なんてしてないんだけどね
雪斗
はぁ?!
ほんのすこし赤くなった雪斗は
白い肌がより赤さを際立たせている
夢夏
なに怒ってんの…笑笑
雪斗
お、怒ってねぇし!
夢夏
相変わらずツンデレだなー
雪斗
はあ…?
夢夏
一緒に行こうよ、花火大会
雪斗
う、うん…
もう女子なんじゃないかって思っちゃう。
まあ…だいぶヤバいけど…
夢夏
そういえば花火大会って何日なんだろ?
夢夏
8月5日かー
雪斗
え…
夢夏
どうかした?
雪斗
いや、なんでもない
夢夏
嘘、絶対嘘。
雪斗
う、嘘じゃねーし
夢夏
雪斗が嘘つく時くらいのクセくらい分かるよ。
雪斗
…………
夢夏
ね、正直に話して…?
雪斗
…………
夢夏
お願い…
雪斗
俺……入院しないといけないんだ…。
夢夏
え……?入院…?
夢夏
大丈夫なの…?
雪斗
ああ、気にすんなよ
雪斗
じゃ、俺帰るな。
夢夏
あ……
夢夏
行きたかったな…
夢夏
雪斗と花火大会…
秋華
あ、夢夏ー!
夢夏
あ、秋華
秋華
こんなところで何してるのー?
夢夏
何って…部活帰り。
秋華
あ、そっか。笑笑
秋華
なんかあったでしょ。笑笑
夢夏
え、何もないよ。
秋華
あ!まさか告られたとか?
秋華
もー、そんなことならもっとはやく言ってよー
夢夏
違うって…笑笑
秋華
そういえば、
秋華
私、引っ越すんだ。
夢夏
え?
秋華
今年の夏。
秋華
8月5日…。
夢夏
何で…
夢夏
やっと仲良くなれたのに…
秋華
ごめんね…
秋華
私ももっと夢夏と一緒に居たいよ。
夢夏
ありがとう……
秋華
じゃあ…また明日。
夢夏
うん…バイバイ
夢夏
雪斗は入院…
夢夏
それに、秋華は引っ越し…
夢夏
私…生きていけるのかな…
夢夏
あ…雪斗じゃん
雪斗
あ…夢夏…
夢夏
今日もあっついねー
雪斗
うん…
雪斗
なあ…
俺明日から入院なんだ
夢夏
そうなんだ…
夢夏
退院はいつぐらいになりそう…?
雪斗
分からない。
夢夏
そっか…
どんな病気なの…?
雪斗
脳の病気…
夢夏
どんな…?
雪斗
癌なんだ、俺。
雪斗
脳に腫瘍がある…
雪斗
本当は無かったんだけど転移した…
夢夏
助かるんだよね…?
雪斗
助からない。
雪斗
俺は…
雪斗
雪斗
8月5日に死ぬ…
夢夏
雪斗が…死ぬ…?
雪斗
ああ…死ぬのは確実
夢夏
やだ……
夢夏
勝手にどっか行かないでよ…
雪斗
ごめんな…
雪斗
あと数日くらいしか一緒にいれないけど一緒にいてくれるか…?
夢夏
もちろん…!
秋華
二人して何泣いてんのー?笑笑
夢夏
秋華…
雪斗
実は俺…
秋華
いなくなるんでしょ…?
秋華
全部聞いてたよ…
秋華
私も8月5日に引っ越すの
雪斗
え…?
秋華
これが別れと永遠の別れだね…
夢夏
永遠……
夢夏
雪斗ー?
雪斗
あ、夢夏
夢夏
体調はどう?
雪斗
特に変わんないかな
雪斗
もう明後日か…
雪斗
はやいな…
夢夏
そうだね……
夢夏
雪斗ー
雪斗
夢夏…
夢夏
何寂しくなってんの笑笑
夢夏
大丈夫だって!
雪斗
だよな……
夢夏
明日は秋華も来るってー
雪斗
え、引っ越すんじゃなかったのか…?
夢夏
ちょっと時間を遅くしてもらったらしい。
雪斗
そっか…
夢夏
最後まで三人でいれる…ね
雪斗
だな…
秋華
夢夏ー!
秋華
お待たせ
夢夏
ううん
夢夏
よし、行こう。病院
夢夏
雪斗ー
雪斗
あ、二人とも…
夢夏
調子はどう…?
雪斗
分かんない、
雪斗
ちょっと息切れする
雪斗
あと…頭も痛い
夢夏
そっか…
秋華
そういえば今日は花火大会だね。
夢夏
三人で…行きたかったね…
秋華
大丈夫だって!
秋華
もう会えないわけじゃないんだよ!
夢夏
そうだよね…
秋華
夢夏はさ、私達二人がいなくなったら何をする…?
夢夏
んー、今までと変わらないと思うなー。
秋華
ふーん…
秋華
私はさ、夢を叶えようかなって。
夢夏
秋華の夢…?
秋華
うん…
秋華
絶対叶える…
夢夏
凄いなあ…秋華は…
夢夏
しっかり夢を持ってて…
秋華
夢夏もきっと持てるはずだよ、もう近いうちに。
夢夏
雪斗は…?
夢夏
生まれ変わったら何がしたい…?
雪斗
んー、俺は
雪斗
‘‘一生懸命生きる’’かな
夢夏
雪斗らしい…
秋華
もうそろそろ…じゃない?
夢夏
花火だ…
雪斗
うっ……
雪斗
そろそろヤバいかも…
夢夏
大丈夫…?
雪斗
見とけ…
雪斗
ずっと…花火を見とけ…
花火がなる度に雪斗が生きていられる時間が割れていく気がした
夢夏
雪斗…
雪斗
夢夏…夢夏なら大丈夫…
雪斗
夢を持てる…
雪斗
自分を信じろ…
雪斗
失敗しても誰かが助けてくれる…
雪斗
たとえ近くにいたのが俺じゃなくても。
私は何も言わずにただただ涙をこらえるのに必死だった
夢夏
雪斗…ありがとう…
私は雪斗よりもちょっと先の花火を映し出した窓を見続けた
秋華
私ね、なんでこの三人が出会えたのか考えてみたの。
夢夏
うん…
秋華
きっと、奇跡だったんだよ
秋華
私達は
秋華
皆で歩み続けたから出会えた奇跡。
夢夏
奇跡は起こる…
夢夏
奇跡は起こせる…
秋華
だからね、私達なら大丈夫だよ。
秋華
また…巡り会える
秋華
だから…奇跡を信じ続けよう
夢夏
そうだね…!
秋華
私そろそろ行かなきゃ
秋華
夢夏はどうする?
秋華
この後
夢夏
夢夏についていくよ
秋華
え、雪斗といなくていいの?
夢夏
雪斗とはもうさよならしたから…
夢夏
一人一人さよならをしたいから。
秋華
夢夏のそういうとこほんと大好き…!
夢夏
な、何言ってんの…!
秋華
じゃあ行こうか…
夢夏
うん。
夢夏
バイバイ…雪斗
夢夏
秋華はどこに引っ越すの?
秋華
どこだと思う?
夢夏
分かんない…
秋華
夢夏と遠く離れた所
夢夏
そんなに…?
秋華
うん…
秋華
もしかするともう会えないかも。
夢夏
え、嫌だよ…!
秋華
嘘うそ。笑笑
秋華
また会おうね…!
秋華
あ……!見て!
夢夏
わあ…!
秋華
じゃあね…夢夏
夢夏
うん…
秋華
大丈夫…!
秋華
夢夏なら。
夢夏
ありがとう…!
秋華
約束だよ…!
秋華
またね…!
夢夏
またね…!
夢夏
綺麗な夜空…
夢夏
この夜空をずっと忘れない…
夢夏
三人で夢を語り合ったこの夜空をずっと…
夢夏
夢夏
忘れない
夏ということで夏をイメージしたストーリーにしました