一生
(な、何だよ...この空気...)
殺気...いや、隠れていた
恐ろしい何かを目覚め
させてしまったかのような
形容し難いものだった。
彼岸
ナイフをしまって?★
刹那
離しなs
彼岸
ナイフをしまえ★
刹那
....
すると、血洗島は
ナイフを制服のポケットに
しまった。
一生
....
榊原は血洗島の首を
鷲掴みにすると
床に叩きつけた。
一生
なっ....
幸い背中から床についた
血洗島だったが
起き上がろうにも
起き上がれない様子だった。
彼岸
ねぇ、どうしていっせーを殺そうとしたの?★
刹那
....
彼岸
答えろ★
一生
おい、やめろ‼︎手離せっての‼︎
彼岸
ん?何で?★
ゆっくりと俺の方を見てきた
コイツの目はまるで獲物を狙う
ライオンのような目をしていた。
彼岸
手を離したら、いっせーが殺されちゃうんだよ?★
一生
確かにそうかもしれねーけど、取り敢えず話し合おうぜ?なっ?
彼岸
ダメだよ、そんな甘い考えじゃ★ここで殺しておかないと★
一生
(ダメだ、話が通じねぇッ‼︎)
一生
ホラ‼︎俺はどこも怪我してねーから、一旦首を絞めるのは止めようぜ?
彼岸
本当にどこも怪我してないの?★
一生
本当に怪我してない‼︎だから...
彼岸
分かった、力は込めない★でも、首からは手を離さない★
一生
(チッ...まあ、ひとまず良いか...)
一生
おい、血洗島...何で俺を殺そうとしたんだ?
刹那
それはあなたが一番よく分かっている筈です
一生
俺が?何のことだ...?
彼岸
いっせーは何をしたの?★
一生
いや、マジで分からねーんだけど...
彼岸
答えろ★
その声に俺は強い殺気を
感じ、全身に鳥肌が走った。
今にも逃げ出してしまいたい。
だが、足がすくんで
俺は動けなかった。
そんな中、俺は恐る恐る
何も知らないという旨を
何度も榊原に話した。
彼岸
...ふーん★本当に知らないみたいだね★
一生
だ、だから...そう言ってんだろ...
彼岸
じゃあ、刹那ちゃんの勘違いなの?★
刹那
私の...勘違い...?
刹那
それならどうして、遊様は瑠流様の件やあの教室での出来事を知っていたッ‼︎
一生
退学のフリと...教室って、俺が首絞められた時のヤツ?
彼岸
首を...絞められた...?★
その言葉に反応したのか
榊原の手に力が入り
血洗島を苦しませた。
一生
馬鹿馬鹿ッ‼︎やめろッ‼︎未遂だって‼︎
彼岸
いっせーを二度も殺そうとするコイツなんて、生きてる意味ないよね?★
刹那
...ッ‼︎...ッ‼︎
一生
やめろってッ‼︎離せよッ‼︎
俺は必死に榊原の手を
首から離そうとしたが
まるでビクともしない。
一生
離せッ...この...ッ‼︎
一生
(クソッ‼︎このままじゃ本当に死んじまうッ‼︎)
一生
(力でも言葉でも駄目...いや、言葉...)
一生
(そうか、“コレ”なら...‼︎)
俺は榊原の手を開こうと
両手で格闘しながら
大声でこう言った。
一生
一生
“あーあ‼︎もう彼岸姉ちゃんのことなんて大っ嫌いッ‼︎”
束の間の静寂の後、
榊原を見ると魂の抜けた
ような顔で俺を見つめていた。
彼岸
あーしのことが...大嫌い...?★
彼岸
あ、あーし...だい...き、きら...い...★
彼岸
び...
一生
び...?
彼岸
びやあああぁぁぁぁぁッッッ‼︎‼︎☆
一生
!?
彼岸
いっせーに...いっせ...に...嫌われた...☆
彼岸
しかも...だいっ...きらい...って...☆
彼岸
びえええぇぇぇッッッ‼︎‼︎☆
一生
うわぁ...
突如、廊下で奇声をあげながら
泣き出した榊原に
普通に引いてしまった。
一生
じゃなくて、血洗島ッ‼︎大丈夫かッ⁉︎
榊原が泣き出したと同時に
首への力が弱まったのを
確認した俺は血洗島を
壁際まで遠ざけた。
刹那
ゲホゲホゲホッッ‼︎‼︎
刹那
エホッ‼︎ガハッ‼︎
刹那
はぁ...はぁ...
刹那
はぁ...何故...私を...?
一生
...アイツが人殺しにならないようにしただけだ
一生
俺は二度もテメェに殺されかけたんだ
一生
正直、助けたくもねぇ...けど、学校を心霊スポットにするのは違うだろ
刹那
...正直に死体を見るのが怖かったと言えばいいのに
一生
バッ...‼︎テメ...ッ‼︎ちげーよ‼︎
刹那
何はともあれ、助かりましたが...今の私に殺されるとは考えなかったのですか?
一生
あっ...
刹那
まったく...あなたは本当にお人好しですね
刹那
(こんな世界で騙されないで生きてこられたのは、“彼女に守られてきた”からでしょうか...)
刹那
ご安心ください、もう私はあなたを殺しませんよ
一生
二度あることは三度あるって言うぞ
刹那
確かにそうですね
一生
否定しないのかよ‼︎
刹那
それより、あなたは彼女をどうにかした方がよろしいのでは?
一生
ん?ああ...げっ
するとそこには滝のような
涙を流しながら
泣きじゃくる榊原の姿があった。
一生
...どーすっかな、これ